第二十七週:終わらぬ戦と飲酒癖(火曜日)
ブブブ。
グオン。
シュン。
ギギギギギギギギギーーーーーギャース。
星団歴4239年――えーっと、だから西暦に換算すると、22……あ、今回は地球じゃないから気にしなくて良いのか。
えーっと、それで場所は……、
西銀河帝国領土内。惑星 《ウー=シュウ》。北半球のとある山岳地帯――と云うか、《サ・ジュジ騎士学校》のあるスザン山山中。
*
「それでは、あなた方お二人が、彼女とあの少年を救ってくれたと云うことですか?」
と、非常に広い額の男性が博士に訊いた。
そのギョロ目とコクン頭のせいでパッと見は魚型星人のようにも見える彼だが、これでもれっきとしたヒューマノイドであり、且つ、当騎士学校の学校長を務める手練れの騎士であったりもする。
「ええ、まあ――」と、出された黄緑色のお茶に手を付けようかどうしようか悩みながら博士。「それがお仕事ですから」
「何とお礼を申し上げれば良いのやら」
「いえ、お礼とかは結構ですし、どうせこの後、私たちのことは忘れるんで」
「あ、なるほど、タイムパトロールの方でしたな」
「そうそう。それで、教えて頂きたいことがありまして――」
「……“抜け穴”ですか?」
「はい。こちらの生徒さん?と、卒業生の方?を襲った相手が出て来た“穴”の方が問題でして――何か心当たりとかは?」
「はてさて……うーーん?少年の方は今回初めて来る子ですし、ロクショア殿の方は私がこちらに来る前に卒業されておりますからな…………おお、そうだ!おーい、誰か?!」
と、そう呼ばれて偶々然々この部屋の前を通り掛かったのは、なんと我らがシャーリー・ウェイワードであった。
(続く)




