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第二十四週:庭と重ね合わせ(木曜日)

 さて。


 昨日私は「生と死の状態を“重ね合わせた状態”」とそれがまるで当然かのように書いたワケだが、この一種奇妙な状態を示す実験結果は、原子や電子のような極めて小さな粒子の物であれば、地球レベルの惑星であっても、実は無数に存在していたりする。


 が、しかし、この実験結果が、我々の日常生活の論理や実感と乖離していることもまた事実ではあろう。


「だって、ある何かが起きているのに、それとはまた違う何かが同時に起きているなんてこと…………普通はないですよね?」


     *


「君たちは友だちか?」と、男性が訊き、


「あ、」と、フラウスは少し躊躇ったが、


「うん、そうだよ」と、フェテスが答え、


「まあ、さっき会ったばかりだけど」と、エリシャも続けた。


「一緒にアイスも食べたし」


 すると、そんな三人のやり取りに、その大きな耳と鼻をピクピクさせつつ男性は、


「なるほど、興味深いな」と言った。


「だがしかし、いずれにせよ、この下にいる誰かさんの狙いはこっちの坊やだから…………うん。誰かラチェットレンチは使えるか?」


     *


 プラネタリウム下部の出口、その三つのうち一つには何故か“暗がり”が出来ていた。


 扉は吹き飛ばされ、館内には非常時用のライトが明々と点き、その周囲に影を作るようなものは何もないのに、である。


「おーい!」と、大柄の男性が上から叫び、


「なんだー?」と、先ほど彼を“ジイさん”と呼んだ声が下から返した。


「何も見えないぞー?」


「影って云うか穴を出たり入ったりしてんだ。上からだと見えねえよ、下に降りて来なーー」


 すると、その声が言い終わるが早いか男性は、例のマントを使い、ひとり階下へと降りて行ったのであった。



(続く)

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