第二十二週:雨と栗キントン(土曜日)
ちょ!ちょっとストップ!!
『はい?なんでしょうか?Mr.樫山?』
あ、ご、ごめん。いまのところもう一度繰り返して貰って良い?
『はい。分かりました。“――バクスター・ウェルは地上からは決して覗けない平行世界なのでしょうか?”』
あ、いや、そこじゃなくて、いや、そこも気になるんだけど、その“機械による喧騒が”云々ってところ――、
『はい。分かりました。“――そうして、機械による喧騒が拡大し、バクスター・ウェルがそれを排除しようとしたのも、地球が 《滝つぼ》に落とされたのも、理の当然なのであります。”――こちらでよろしかったでしょうか?』
あ、うん、ここで合ってるんだけど……合ってるんだけど…………ううん?
「どうしたんだよ、急に?」
あ、いや、えーっと、地球が一時期消えてたってのは、デュさんも知ってますよね?
「まあな、例のオリンピック絡みで……ってか、俺も同じ所に連れて行かれてたワケだからな、知らないってことはないよ」
ええ。詳しくは、私が書いた、とっても楽しく面白く、宇宙物理学の勉強にもなる (ウソ)、第一部『夢物語の痕跡と、おとぎ話の物語』を読んで頂ければと想うんですが――、
「あ、宣伝入れて来た」
で、あのデュさんも行ったあの 《宇宙の終わりの直前》の場所、名前を覚えてます?
「え?あ、いや、名前?…………なんだっけ? 《ホーライ》何とかだったっけ?」
そうです。 《ホーライ・カスケード》。
「それがどうかしたのか?」
別名、《女神たちの滝つぼ》。
「だから?」
地球が 《滝つぼ》に落ちた話は、TPによって戒厳令が敷かれているんです。
(続く)




