第二十一週:紅茶と少女(水曜日)
「またゴツイ人を連れて来たわね」
「博士ニ言ワレタンンダヨ、ちからノ強ソウナノニシトケッテ」
「確かに腕なんか丸太みたいだけど」
「生体ちぇっくハおっけーダッタシ、ボケタつらシテひとり立ッテルだけダッタカラナ」
「ひょっとして、あの人も騎士かしら?」
「サアナ、ソレヨリがきノ方ハ?」
「処置は済んだし生命力も強そうだから、このまま病院まで運べれば大丈夫ね」
ブブブッ。
「――博士カラ?」
「本部からのオッケーが出たって。あっちの女の人の方にも行って貰いましょう」
「あんたヤルカ?」
「じゃあ、生体コントローラー返してよ」
「ソラヨ。――シカシ、アノでかいノすげえナ、片手デがきヲ持チ上ゲタゾ」
「やっぱり騎士とか強化人間かしら」
「別ニ何デモ良イダロ?救助ノ役ニ立テバ」
*
「――女の人はどうですか?」
「坊やと同じですね。生命力が半端ないからメディカルガンも少しで済みました」
「ランダムさんは何て?」
「詳しいことは調査中ですけど、この辺りの時空連続体が不安定になっているみたいで、それがチェッカーに影響したんじゃないかって――助けること自体は問題なさそうです」
「……と云うか“時空連続体が不安定”の方が気になりますね」
「この前の地球での一件もありますしね――あ、女の人に気付いてくれたみたい」
*
「あん?」
と、ロン=カイ少年を肩に担いだまま、大男が喋った。
「おどりゃあ、大帝んとこのシズカか?こりゃまたエライやられようじゃのお――覚えとるか?ワシじゃ、イン=ビト王んとこのサン=ギゼじゃ」
(続く)




