第二十一週:紅茶と少女(火曜日)
「――そうなんです。現場用のチェッカーじゃ正否判定が出来なくて。――ええ、マクミラン先生に判断して貰うのが一番だと想います。――はい、お願いします」
「――本部ハ何ダッテ?」
「直ぐには判断つかないって――、ランダムさんに診て貰うようお願いした」
「名前トカハ合ッテルンダロ?」
「ええ、ロクショア・シズカさん。西銀河帝国の騎士で、死ぬのはずっと先……って本部の記録にもあるそうよ」
「ジャア、助ケリャ良イジャナイカ」
「確実にそうなら良いんだけど、本部の記録に不備があるのかも知れないし」
「相変ワラズ、面倒ナ話ダナ」
「歴史を変えるわけにはいかないからね。とにかくあなたは人を連れて来てよ」
「アア、ソウダッタナ」
「先ずはライリーさんが治療してるあっちの子の方に誘導して。本部からの報告が入り次第、こちらにも来て貰うかどうか連絡するわ」
「分カッタ。ジャア、行ッテ来ルヨ」
「二人同時に運ぶことになるかも知れないから、力の強そうな人が良いわね」
「リョーカイ」
「さて。大丈夫だったとき用に一応の処置はしておくとして……同じ人間の仕業なのかしら、傷の感じが……きゃっ!」
「あ……あの……」
「……あ、安心して下さい。タイムパトロールです。別件の救助活動中にあなたを――」
「あの、あの……」
「あの、すみません。いまはなるべく喋らない方が――」
「お……おとこ、おとこのこ……」
「あ、あの子なら大丈夫です。実を言うと私たち、あの子を救けるために来ていて――」
「……たすけ……たすか……たすかる?」
「ええ、ですから、安心していて下さい」
(続く)




