後編 復活降臨
復活降臨。
イシュタルの思いは宇宙に通じた。
長い時間をかけて少しずつ、女神は再生を果たす。
女神の願いはただ一つ。
願い祈る。
わずかずつ、蘇る神体。
何憶何万年の時を経てイシュタルは復活した。
神の衣を身に纏い、後光がさしこむ。
美しいすべてを見通す慈悲の瞳に、金色の腰まである長い髪、透き通る白い肌。
(よしっ)
瞬きをする。
両手を開いたり閉じたりする。
「いけます」
女神は呟いた。
「この願いが叶ったのなら、時を超えることなど造作もない」
イシュタルはニケの杖を掲げる。
「いこう、あの人の元へ!」
唇が自然と綻び、女神はつややかに微笑んだ。
時をかける。
何憶何万年の果てしない時を遡る。
時間遡航の旅。
(私は待ったこの日を、だからどれだけ時が経とうと構わない)
逢える・・・。
会える・・・。
会いたいっ!
会うんだっ!
女神は咆哮する。
そ、だ。
おめかししよう!とびっきりの!
もう、ほら、そこ。
イシュタルは懐かしい世界へ降臨した。
「呼ばれて、飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」
女神の愛しい人が振り返ると、天蓋つきのベッドがもくもくと煙だっていた。
「げほっ、げほっ、何だあ?」
「おひさ~です。コォジィ!」
「イシュタルっ!」
それは女神イシュタルだった。
女神は純白のウェディングドレスを着ている。
「戻って来てくれたのか」
「はいと言いたいところですが・・・いいえ(へへ、そうですよ)」
女神は答えた。
「どゆこと?」
康治は首を傾げる。
「選択を求めに来ました」
「選択?」
「そう・・・コォジィ、あなたの人生の・・・」
「・・・・・・」
「思いあたる節はありますね」
「異世界転生か・・・」
「そうです・・・功刀康治、あなたがこの世界を導いたことにより、あなたの未来の扉が開かれました」
「・・・選択」
「今を生きるか元の世界に戻るそれとも・・・それはあなたの心次第なのです(どうか、このまま留まって)」
「・・・・・・」
康治は眉間に皴を寄せる。
「難しいことを考えなくてもいいのですよ。自分の心のままに」
イシュタルはそっと、康治を抱きしめ、頭を優しく撫でる。
「ああ、愛しい人。長き間、宇宙を漂い、時を超え戻ってきました。また会えて良かった」
その瞳は慈愛に満ちていた。
「イシュタル・・・俺は」
女神は、康治の唇に人指し指を置く。
「そうね、ちょっぴり妬けますけど・・・あなたはそういう人だわね(だからいい)」
イシュタルは康治にキスをした。
「いつか、また会いましょう(近いうちに必ず)」
女神は微笑むと姿を消した。
女神はこの世界の空を飛んでいる。
新たに運命は動きはじめました。
あなたもみんなもそして私も・・・。
「好きです!」
女神イシュタルは空を駆け、歓喜の涙を流す。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
書きたいと思っていたエピソードなので、出来はともかく良かったです。
えっ、話しらないと分らん・・・そだねー、いや、そんなもんだと思って(笑)、ねっ。
重ねて感謝です。
次回は学園モノか(笑)・・・予定は未定。