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前編 消える

 最終決戦、女神が見たものは。


 私は・・・。

 宙を漂っている。



「女神イシュタル!ともに、あの方の元へ世界を無とするのだ」

 やがて滅するハデスは、女神を抗えないよう闇の力で拘束する。

「世界は無になりません・・・決して」

「何故っ!」

「康治と嫁たちがいるから」

「ほざけっ!あの方の元へ我らと共に召されるのだ」

「・・・いいでしょう。まいりましょう。そして見守りましょう」

 イシュタルはみんなに向かって、にこやかに微笑む。

 そして魔王、女神は消失し真っ暗の無が訪れた。

 何もないただの暗闇がただそこにある。



 そうか・・・そうだった。

 私は・・・女神。



 神々を飲み込み、真の姿を見せたヴェリシファーその姿は赤子のようだった。

 だけど、みんなは攻撃を止めることはしない。

 攻撃、増殖。

 攻撃、増殖。

 永遠とも思われるほど、何度も何度も繰り返す。

 無に飲み込まれてしまえば、みんなは世界も無に落ちてしまう。

 ただ、ただ、みんなを愛する人たちを信じて。

 康治と嫁たちは諦めない。


 やがて・・・。

「ギギギギギギギギギギギギ・・・」

「・・・ギギギギギギ・・・ギ?」

 ヴェリシファーの増殖が止まる。

 しかし、みんなの器、精神はボロボロであった。

 それでも攻撃は止めない。

 一体二体、赤子は消えゆく。

 康治と嫁たちは無意識のまま、ひたすらに繰り返す、繰り返す。

 

 1000000から100000へ10000に10000そして1000ついに100・・・。

 10、9、8、7、6、5、4・・・。

 あと少し・・・。

 希望がみえた刹那。

 ヴェリシファーは結合し、無空間となってみんなを丸飲みにした。


「そんなっ!」

 シャロットはくしゃくしゃに顔を歪める。

 みんなはふいに訪れた絶望にうな垂れる。

 意識が消えかかる。

「まだっ!」

 康治は叫ぶ。

「諦めないっ!」

 ポランは続く。

「いくぞっ!最大出力!」

 康治と嫁たち15名は手を繋ぎ、思いを一つにする。

 強く強く願い信じる。


「!!!」

 ヴェリシファーの腹の中で、ビックバンが起こる。

「!!!!!!」

 無の世界が弾ける。

 なにもない無から宇宙(そら)が広がった。


「やった!」

 みんなは繋いだ手を離し破顔する。

 喜びもつかの間。

 それは刹那。

 ヴェリシファーの残骸が、再びみんなを取り込もうと襲いかかる。


 康治とポランはぎゅっと強く手を握りしめ、それからみんなに微笑んだ。

 襲いかかるヴェリシファー無の境界の中に2人は飛び込み消えた。

 一瞬の静寂。

 やがてもう一度、大きな光が宇宙に広がり、無は完全に消え去った。



 そっか・・・。

 そうでしたね・・・。

 私はいない・・・。

 この宇宙(そら)に漂う。

 残留思念。

 私はただ永遠に彷徨うだけ。




 漂う心。

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