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0007愛想笑いばかり上手くなってどうするの?

「それじゃあ、留守番お願いね」


 豪華なドレス(赤)を着た相手Aが言う。


「勝手に抜け出したら、どうなるかは分かってるわよね?」


 豪華なドレス(黄)を着た相手Bが凄みをきかせる。

 豪華なドレス(水)を着た相手Cもそれに同調していた。


「にゃはは」


 それに対して地味なドレス(灰)を着た私は口を半開きにして苦笑する。しかし、本来ならば聞こえるか聞こえないかのこの苦笑も、今の状況では大音量にならざるを得ない。


「変に笑ってないで、スマイルっ!」


 にっ、と笑うと、Bは満足いったのか一つ頷いた。


「そうそう。それでいいのよ。最初からそうしていなさいな」


 Cが長い鬘を揺らしながらそう言う。


「それじゃあ、お客さんが来たら、ちゃんと接待するのよ。いいわね」


 Aが傲慢にそう言うと、さっさと歩いて行った。他のBとCも続く。

 私はここで溜め息を一つ吐いた。


「愛想笑いばかり上手くなってどうするの?」


*******


 コンコン

 そんな音が聞こえてきたのは、大分経ってからだ。

 遅い。

 ついついそう言いそうになるが我慢する。


「いらっしゃいま――」


 私の言葉は途中で止まる。

 目の前にいた人物は。


「おおおおおお、おおおじ様?!」

「いや、私は君の大おじ様ではない、だろうね」

「しし、失礼しました、王子様。ど、どうぞこちらへ」


 そういって、その地味な服装をした王子様を招き入れながら深呼吸をする。

 精一杯の落ち着いた声と、愛想笑いを顔に張り付けて。


「どうぞ、お座りください」


 そう言うと、王子様はこう言った。


「笑顔が素敵だね」


 私はその台本にない台詞を聞いて、愛想笑いも役に立つんだ、と思った。

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