0004ハロー、神様
「は、ハロー、神様」
僕は目の前に立つ人(?)に対して、そう言いました。
日本語、通じるかな?
「……」
無反応?
えっ、無反応ですか?
いや、そりゃあ学校では影の薄い存在でしたけど、目の前にいる人物が声を(精一杯)かけているのに無反応。
正直、自信、失くします。
目の前に立つ人(?)の容姿は、それはまるで神様のようです。
高い背、黄金色の輝く足下まで届きそうな髪、瞳の色はこれまた黄金。服装は白一色。袈裟のようなもののようです。肌も真っ白で、服と肌の境目が分かりにくくなっています。
後光のようなものも見えて、それで更に体や服の輪郭がぼやけます。裸足です。寒そうです。
顔は。よく見えません。
「ハロー。こんにちはー。ぼんじゅーる。アンニョンハセヨ? グーテンターク。にーはお? ズトラーストヴィ。ブエノスディアス」
えっと、他には他には他には。
「ぁ……///」
ん?
さっと顔を見ると、目の前に立つ人(?)の口元が動いているのが見えます。
でも、ぁ以降何も聞こえてきません。
「何ですか?」
顔が見えない目の前に立つ人(?)に向かって、声をかけます。
その目の前に立つ人(?)が一瞬、微笑んだように感じました。
その行為に首を傾げ、もう一度尋ねます。
「なんです、か?」
静寂が世界を支配しているように感じました。
目の前に立つ人(?)の口の動きが止まり、その顔が上に向けられ。
ん? 上?
――ゴッガーン
僕が最後に見た光景は、たらいの裏面でした。