【漫才】宇宙旅行にいきたい
※ゲラゲラコンテスト3応募用の漫才台本です。
漫才コント「宇宙旅行」
宇宙旅行にいきたいツッコミと、やる気のないボケのやりとり。
ツッコミ「はいどうもー。よろしくお願いします」
ツッコミ「宇宙って謎が多くて憧れますよね」
ボケ「憧れません。どうもありがとうございましたー」
ツッコミ「……終わっちゃったよ。ネタ始まったばっかなんだから喋らせて」
ボケ「えー。早く帰って海外ドラマを一気見したいんですけど」
ツッコミ「やる気なさすぎだろ。何のために芸人やってんだよ」
ボケ「(客席に向かって)テレビに出るためです!」
ツッコミ「テレビに出るためには、しっかりネタをやって認められないとだめなの!」
ボケ「そうなの!?」
ツッコミ「初めて知ったみたいな顔すんな。不安になるからやめて」
ツッコミ「あと20年もすれば、宇宙旅行も普通になってると思うんですよ」
ボケ「ほう」
ツッコミ「僕、宇宙に行ってみたいんですよね」
ボケ「俺は行かなくてもいいや」
ツッコミ「……ネタが進まないんで無視しますね。宇宙旅行に行きたいんで、今から練習させてください」
ボケ「宇宙旅行の練習ってなんだよ!」
ツッコミ「うん、それはごめん。自分で言いながら変だなって思った。20年も待てないから、ここで宇宙旅行気分を味わいたいんです」
ボケ「絶対にだめです」
ツッコミ「なんで!」
ボケ「重力がなくなって、酸素もなくなったら、俺とお前だけじゃなくて、お客さん、スタッフさんまで死ぬんだぞ。お前は、俺たちのネタのために集まってくれた優しい人たちを殺す気か!」
ツッコミ「実際にここを『宇宙』にするわけないだろ!僕にそんな技術ないし。できたとしても、ここにいる人だけじゃなく、世界中の人が死ぬからな。やらないよ?」
ボケ「ああ、そうか。俺たちのネタを見に来てくれない、優しくない人たちも死ぬってことか」
ツッコミ「言い方悪いな!その人たちは僕らを知らないだけで、優しくないわけじゃないだろ……って言わせんな!」
ボケ「あなたが勝手に言ったんですけれども」
ツッコミ「(笑う)売れたい!」
ツッコミ「とにかく宇宙旅行ですよ、宇宙旅行。ここは重力も酸素もある地球ですが、今から僕が演技します。あなたは僕の演技に付き合ってください。いいですか?」
ボケ(頷く)
ツッコミ「(手を体の横に広げて上下に動かし、ゆっくり足踏みをしながら)うわー、月ってこんな感じかあ。地球より体が軽いぞ」
ボケ「(ツッコミを指さし)あっ!えっ?」
ツッコミ「えっ、なに?」
ボケ「丸腰で宇宙に来てる!酸素ないのに生きてる!化け物!宇宙人?」
ツッコミ「この格好のままなわけないだろ!宇宙服着てるの。見えないけどそういう体だから。お願いしますよ」
ボケ「あっそうか。ごめんごめん」
ツッコミ「(手足を動かす)うわー、ここが月かあ」
ボケ「お客様」
ツッコミ「ん?旅行会社の添乗員さんかな?……なんですか?」
ボケ「展示室内ではお静かにお願いします」
ツッコミ「え?」
ボケ「他のお客様のご迷惑になりますから、お静かになさってください。展覧会にわざわざ宇宙服でいらっしゃるくらいですから、お客様が宇宙の大ファンなのはわかりますが」
ツッコミ「待って。今、僕、博物館にいるの?」
ボケ「え?宇宙の写真展見に来たんじゃないの?」
ツッコミ「違うよ!博物館でこんなん(手足を動かす)やってたらおかしいだろうが!そりゃ注意されるよ!」
ボケ「てっきりそうかと思った」
ツッコミ「どうしてそう思ったんだよ。ちゃんとやって」
ツッコミ「(手足を動かす)わー、ここが月かあ」
ボケ「(手足を動かす)わー、楽しいな」
ツッコミ「宇宙は初めてですか?」
ボケ「あ、俺、2回目なんですよ」
ツッコミ「えっ、そうなんですか!先輩じゃないですか」
ボケ「ええ。月は1回行ったんで、今回は火星に来てみました」
ツッコミ「距離感!月と火星で喋ってたの?今」
ボケ「はい。たった数千万kmしか離れてないんで」
ツッコミ「それを『たった』と表現できるのは、宇宙に憧れすぎだよ」
ボケ「そうかなあ」
ツッコミ「そうだよ。お前、本当は宇宙に行きたいんだろ?」
ボケ「そんなことないよ」
ツッコミ「地球から月までの距離は?」
ボケ「38万km」
ツッコミ「地球から一番遠いのは?」
ボケ「今のところ遠方銀河『GN-z11』。光行距離は134億光年。これはつまり、134億年前の星が見えたということなんだ!なんと、ついにビッグバンまであと『たった4億年』のところまでせまったんだよ!」
ツッコミ「詳しすぎるな」
ボケ「別に宇宙とか興味ないし」
ツッコミ「もう無理だよ。認めよう?本当は宇宙に憧れてるんだろ?」
ボケ「……ごめん。ウソついてた。俺も宇宙に行きたい」
ツッコミ「やっと素直になったな。じゃあ、ネタが認められて、テレビにばんばん出るようになって、お金持ちになったら、二人で宇宙旅行しよう」
ボケ「こいつが金を稼いでくれている間、俺は家で海外ドラマを観たいと思います」
ツッコミ「いいかげんにしろ」
二人「どうもありがとうございました」