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その名は、エリス!


気取った書き方をやめてみました。


こっちの方が読みやすいかも?


彼女との会話がひと段落したところで、ひとまずシャワーを浴びてもらう。



「タオルはそこのかごに置いてあるから」


「分かった。替えの服とかって持ったりする?」


「んー、ない。当分は今着てる服の使い回しかなあ」


「りょーかい」


そういって、浴室に入る直前になってこちらを振り返る。


「覗いたりしないでね?」


「しねーよそんなこと」


ならいいけど。

そう言いながら浴室のドアを閉めた。



こんな会話のやり取りが交わせるまでには余裕が出てきたようだ。


少し安心した。




十分くらいたった頃か、浴室のドアが開いた。


「本当に覗かなかったんだね」


「ああ」

適当に返事をする。


「んで、これからどーすんの?」


「そう、そこなのよねー。…ねえ、君。兎倒すの手伝ってくれない?」


こちらに身を乗り出してくる。

ふわっと、シャンプーのいい匂いがした。

使ったシャンプーは同じもののはずなのに。



ふと気づく。

1匹も兎を倒せてなかったということは、彼女は家クエストすらクリアしてないことになる。


さすがに持ち家がないのは可哀想だ。

というか生活していけない。



「まあそんくらいだったらいいよ」


「ほんと?」


「じゃあ行くか」


「え、もう?」


「他に何かすることでも?」


「そうだね、行こっか」


と、そのまえに。


「これ、君の分の朝ごはん」


鞄から袋に入ったパンを差し出す。

彼女が目覚めるまえに、下見ついでに神殿のショップで買ったパンだ。

なんの味付けもないただのパンだ。


「…いいの?」


「ああ。余ってたパンだからな」


「…ありがと」


そう言って彼女は袋を開け、小さい口を開けて食べ始めた。


少しの間沈黙が流れた。



「そういえばあなたの名前は?」


「俺か?俺はミナトだ。そう呼んでくれ」


「分かったわ。ミナトね」


聞いてきたからには聞きかえしておくべきか。


「それで君の名前は?」


「私はエリスね。エリスでいいよ」


「分かった。そう呼ばせてもらうよ」


エリスはそれを聞いて微笑んだ。

年相応な可愛らしい笑顔である。


なんか恥ずかしくなったので、つい目を逸らしてしまった。




家を出て草原までの間、横に並んで歩く。


兎を倒すコツをエリスに教えた。


「兎を倒すといっても大した技術はいらないんだよね」


だからこそみんなできてるわけだし。


「兎の後ろからこっそり近づいて、サクッと。これだけで普通に倒せる。昨日の君は真正面が行ったから気づかれただけだ」


「へー…」


「まあとりあえずやってみ?」


前方にいる白い兎を指差す。


それを見て、決意したかのように小さく頷いて剣を握るエリス。



そろそろ、と兎に背後から近づく。


「ていっ!」


ぐさっ。


キュッ!



「ほんとだ。私にもできた…」


「言っただろ?簡単だって」



1発目にあっさりと成功させた彼女は、その後も続けて2匹連続で兎を倒すことに成功する。



「じゃあここまででいっか」


俺は充分役目を果たした。

家クエストも完了したみたいだし。


「あとは神殿行って報告すれば報酬はもらえると思うさ」



「……うん」


エリスは下を向いて俯いたままだ。


「?どした」


「…またクエストに困ったら、ミナトに手伝ってもらってもいい?」


上目遣いでそう言ってくる。

凄まじい破壊力だった。

もともと可愛かったとはいえ、こんな風に言われたら心に何かくるものがある。


身長差が15センチほどあるだけで、こんなにあざといように感じさせるのか。


「お、おう。いつでもいいぞ」


「ん、良かった!」


エリスは破顔して笑い、そう言った。

とても魅力的で眩しい笑顔であった。


フレンドコードをお互いに交換して彼女と別れる。


俺は気恥ずかしい心持ちで、エリスに背を向けて平原の奥へと早歩きで向かった。


最初の頃に比べ、エリスがだいぶ心を開いてくれたことが少し嬉しく感じるのであった。









エリスはヒロイン枠じゃなかったのに…!!



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