アルミラからの好意
ランキング入った!
とりあえず装備とか称号の確認は後回しにする。
先にアルミラを家まで連れて帰ろうか。
アルミラはプレイヤーでないためか、死んだらもう二度と生き返ることはないそうだ。
だから万一のことが起きないためにも気をつける必要がある。
「まあ私より強い敵なんて滅多に存在しないがな」
「さいですか」
自信満々にドヤ顔で言う彼女。
かわいい。
「あと私は料理が得意だ!」
唐突なカミングアウト。
「家での食事は私が全部作ろう!」
ああそういうことか。
得意げにこちらを見てくる。
アルミラが料理上手か…。
うーん。
なんというか、ビジュアル的になさそう。
すらりとした流麗な曲線を描く彼女の身体は、肩までかかる黒いショートヘアと相まって、例えるならば運動神経のいい後輩みたいな、少なくとも料理が得意ではない印象を受ける。
「本当に得意なの?」
「ああ。料理に関しては自信がある」
「そうか。なら任せることにしよう」
判断するのは彼女の料理を食べてからだな。
今までショップで買ったパンしか、俺は家で食べてこなかった。
誰かの手料理が食べれるのは嬉しいことだ。
今回のアップデートによってたくさんの食材やスパイスが追加されたとのことだから、食のレパートリーに関して心配することはないだろう。
一面真っ暗だった空がだんだんと白みはじめている。
時計を見ると、今は朝の5時くらいであった。
大通りを2人並んで歩く。
彼女の頭にのる二房のウサ耳が揺れている。
今の彼女の両耳は前に軽く垂れているので、俺の視界の端にちらちら映るのだ。
ついつい見つめてしまう。
兎の耳というのは、長い半楕円の弦の部分が縦に細長くなるように閉じていて、中がちょっとした空洞になっているのだ。
耳の黒い毛はもふもふで、それでいてサラサラであって、とても触り心地が良さそうだ。
「そんなに気になるなら後で触らせてやろうか?」
「ああ頼む」
即答する。
「私の耳を触れさせてやるやつなんて、主のみだからな」
「おう」
さりげなく男の琴線に触れるようなセリフを言ってくるアルミラ。
頰は薄く朱に染まっている。
それでいて何にもないように振る舞うところがいじらしくて堪らない。
こんなにも彼女に見惚れてしまうなんて。
俺はアルミラに恋でもしてしまったのか。
「ん?」
「…」
アルミラがすっと身を寄せて腕を絡ませてくる。
彼女のふんわりとした柔らかいショートヘアが俺の右肩にこてん、と預けられた。
ふわっといい匂いがする、と思ったのちに彼女の纏っている皮鎧の上からほのかに柔らかな膨らみを感じた。
触れ合う彼女の細い二の腕が、華奢ではあるのに吸い付くようなハリもあるようで、とても艶めかしく思われた。
やばい。
理性が飛びそうです。
女性にこう抱きつかれただけでここまでなるのか。
今まで経験したことのないこの状況はなんというか、うん。あれだよあれ。
緊張のせいで言葉も飛んでしまう。
いまいちよく思考もまとまらない。
「ミナト。私はお前を愛しているぞ」
「おう。ありがと」
彼女の視線は俺の視線と甘く絡み合う。
俺の心の中に忌避感など感じない。
彼女の魅力は俺の心を捉えて離さない。
アルミラの所作一つ一つに気を取られてしまう自分がいる。
「そうか」
お返しに彼女の頭をなでてやる。
目を細めて嬉しそうにするアルミラ。
腕を抱きしめる力が少し強くなった。
(俺も愛してるぞ)
心の中でそう付け足す。
その感情が本物かどうかは分からないが、彼女からの好意はとても心地よいように感じた。
アルミラも相当追い詰められていたので…




