表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/18

これはチートですか?


こんな時俺はどうすればいいのだろうか。



「んっ…」



彼女の膝に体重をかけっぱなしだったことを思い出して、ひとまず上体を起こす。


そして真正面に向き合った。



彼女のために何かをしてやりたいが、非力な自分ではどうすることもできない。



ましてや月ときたもんだ。


そもそも月に兎が住んでいたことすら知らなかった。



事情を知らない俺では、彼女をなぐさめる権利なんて持ち合わせていない。



ここで気の利いたセリフの1つや2つかけることができたらどれ程良かったことか。




沈黙が場に響く。



彼女は唇を閉じたまま、紅く澄んだ瞳をピッタリと俺の瞳の上に据えている。



小さく見開いたその両眼には滴るほどの涙が燦然と浮かんでいる。



意を決して俺は口を開いた。



「…君はさ、帰るところがないんだろ。

それなら俺んとこ来いよ」



「……………」







ああああああああああ!!

なんだよそれ!!

俺はナンパしてるんじゃねーんだよぉ!!!


自分で言っといてだが、これはひどい!!

しんみりとした雰囲気ぶち壊しじゃねーか!!



心の中で激しい焦燥に駆り立てられる。


あかんやらかした。




と思っていたら、彼女は急に笑い出した。



「……ふふっ。ははははっ!


…傷ついて泣いている人に普通そんな言葉をかけるか?」


「いや、それはだな…」


「そもそも一度お前を襲った私とこうやって腰を落ち着けて話してることがおかしいのだ」



お前は面白いやつだな。と涙を指で拭いながら話す少女。


先程までふにゃんと萎れていた耳が今はぴんと立っている。



「そうだな。じゃあお前の言う通り私はお前の家に居候させて貰おうかな」


「えっ」


「もしや先程の言葉は嘘だったか?」


「いや、来てくれても構わないさ。ただ2人で暮らすには少し狭いかもしれないかなって」



嘘である。


え、まじで来んの?


いいの?俺男だぞ?



「冗談のつもりだったなら遠慮するぞ?

本来私はひとりでのたれ死…」


「まあいいから来いって!!お金には困ってないから!!」


彼女の言葉を途中で遮る。

なんか不吉な言葉が聞こえた気がした。



「じゃあ家に帰るか」


その場から立ち上がる。


俺はまだ蹲っている彼女の手を握って上に引っ張りあげた。


少し躊躇ってから、彼女は俺の手をとった。



「……待って」



家に向かおうとした時、ちょうど彼女の手を握っている手が後ろに引っぱられた。



「どした?」


「…私に名前をつけてもらえるか」


「なんで?」


「私は月にいた頃の私を捨てる必要がある。この世界では別の私として生きていきたいのだ」


要するに心機一転。

新しい人生を送るから新しい自分の名前が欲しいってことか。



「そっか。分かった」


うーん。どうしよう。


本当は月関係の名前が良かったけど、そんなんじゃ彼女が過去と決別できないだろう。



ムーンアルミラージねぇ。


アル。ラージ。アルミラ。


よしこれにしよう。



「じゃあ君の名前はアルミラだな」


「…アルミラ?

もしかしてアルミラージからとったのか?


ふふっ。さすがに安直すぎるだろう」



愛嬌よく笑う彼女はとても可愛らしい。



「やっぱりダメか?じゃあ…」


「だか悪くはないな。そう名乗ることにしよう」


軽快に笑いながら、こちらをからかうような目で見てくるアルミラ。



「こういう距離感もいいものだな」


「なにが?」


「いやなんでもないぞ、主」



ぽーん。

耳元で突然電子音が響いた。


「うおっ!」


「っ!どうした!?」



視界に透明な画面が現れた。




ユニーククエスト〈月兎は舞い降りた!〉Pルートクリア



獲得称号【月兎の忠誠】【夜の王】





「あっごめん。たった今クエストをクリアしましたっていう連絡がきてさ」


「むぅ…急にびっくりさせるでない」



頰を膨らまして服の裾をちょこんとつまんで引っ張ってくるアルミラ。


いじらしくてとても可愛らしい。



「もうひとつお願いがあるのだがいいだろうか」


「おう」


「私と契約を結んでくれないだろうか」


「契約?」


「月の兎はみな自分にとって大事な人とは契約を結ぶのだ。だから私は主と契約を交わしたい」


「ああいいぞ。俺はどうすればいい?」


「じゃあ利き腕の方の手を出してくれ」


言われた通りに右腕を前に出す。


アルミラは少し屈むと俺の右手の甲に口づけをした。


「えっ」


「これで完了だ」


すると、右腕の手首あたりに黒い腕輪のような紋章がついた。


腕をぐるっと一周しているそれは、シンプルでいて美しい。


「これは何?」


「月兎の腕輪というものだ」



鑑定スキルを使ってみる。



〈月兎の腕輪〉


月兎が将来を誓った相手と契約を交わしたときに現れる紋章型の腕輪。

月兎の絶対の忠誠の証。

ただしつけ外し不可能。


装備時の恩恵:【常時全ステータス強化(小)】

【夜間行動時全ステータス強化(大)】

【契約した月兎のスキルを使用可能】



「おおー!!」


こいつはすげぇ。

常に全ステータス強化がかかる装備なんてあるとは思っていなかった。

特に夜間の戦闘だと全ステータスがいつもの1.5倍になるのだ。


これはチートギリギリの装備なのでは。



「ありがとうアルミラ」


「いえいえ」


「そういや月兎の使えるスキルって何があるんだ?」


「代表的なものはやはり跳躍スキルと優れた五感強化スキルだな。そこから派生して俊足や突進、あとは空歩なんかも得意だな」



「…」


「どうした?」





あっ、これチートですわ。







最近ナチュラルに毎日二回投稿してる気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ