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村人から英雄へ〜元勇者を倒すため〜  作者: 尾山はるや
序章
1/2

プロローグ「俺の物語」

その日、俺の運命が変わった。





俺には親友が()()


親友と俺は同じ孤児院で育った。

俺はヤンチャでいつも怒られているような子供だったけど、親友は大人しく俺とは真反対の性格だった。

そんな俺たちだけど気はあった。


いつでも一緒だった。

飯も風呂もどこへ行くのも一緒だった。

そんな日常が突然、変わった。


親友は高い魔力量と潜在能力を秘めていることが分かった。


この世界には魔物(モンスター)と呼ばれる生き物やそれを束ねる魔王といわれるものが存在する。

そいつらは人間を襲う。

そいつらを倒すのが冒険者の仕事だ。

だが、どれだけ頑張っても全ての元凶である魔王に至っては倒すどころか姿さえ分からない。


そんな中、親友は魔王を倒しうる力を持って生まれた。

この世界には魔法やスキル、アビリティが存在する。


『魔法』とは魔力を消費して火や水、色々なものを出せたり付与したり出来るものであり、これは努力すれば魔力量を上げたり威力も上げることは出来るが、

生まれ持った才能や魔力量によって限界がある。


『スキル』は武器などを用いた時に使える技、みたいなものだ。

そしてスキルはその人が強くなっていくと自然と出現しそれは、ほぼほぼ皆、違ったものである。


そして最後の『アビリティ』

このアビリティは魔法や武撃とは違って使うものでは無く、いわばその人自身に宿る能力みたいなものだ。

そして、数や質は持って生まれてすぐに持つモノもあるが、大抵はその人が精神的にも、肉体的にも成長した時に勝手に生まれるモノである。


その中でも稀に異色なモノを持って生まれる人間もいる。


そして、それが親友だった。

親友は魔力量もバカ高かったが何よりアビリティがヤバかった。

何がヤバイか…、それはたくさんあるアビリティの一つに『勇者』というのがあったからだ。


そして、親友の特訓が始まった。

最初は嫌がっていたようだけど修行をし強くなる事で勇者としての自覚も出て頑張るようになった。

さっき言ってたスキル『勇者』、何がヤバイのか…、色々あるが一番は成長速度である。

アビリティで『勇者』があるだけで普通のひとよりも潜在能力や魔力量も凄く更に光のような速さで強くなれる。


それでも親友はそんな修行で忙しい時でも休憩時間には俺と遊んだ。


そして15歳になったある日、親友は村を出て旅に出た。

冒険者になったんだ。

親友は村を出る時、「行ってきます」とだけ言って出て行った。


それから7、8ヶ月ほど経ち俺も15から16歳に成長して間もない頃、親友が魔王を倒したという話が世界中を駆け巡った。

人間たちが必死で頑張ってきたことをたった7、8ヶ月でだ…。

有り得ないスピードだった。


それから更に2週間程経ったある日、親友が村へ帰って来た。

みんなが親友を褒め称え喜んだ。

ある者は、村の誇りだ、

ある者は、ウチの娘をもらってやってくれだの、と。


そして、俺ももちろんすぐに向かい

「お帰り」

と言おうとしたその時、

親友は

「俺はお前らの知っている俺ではない。

俺は勇者ではなく魔王だ」

と冷たく、そしてうすら


そして次の瞬間、親友が前にいた人を()()()

俺は最初、何が起きているのか分からなかった。

そもそもなぜ、親友が魔王を名乗っているのか、頭がついていけず戸惑っていると


親友が

「とりあえず村を破壊するか」

と言った。


俺はガマンの限界に達し飛び出し言った。

「おい、何してんだよ!

魔王って一体、どういうことだよ!

なあ、何とか言えよ、親友だろ」


「おい、誰だ、お前は

気安く喋りかけるな」


「なっ……!?」


「さて、やるか」


みんなが一斉に逃げ出した。

だが、親友はそんなこと関係無いといわんばかりに追いかけ回し殺しまくった。

泣き叫ぶもの、命乞いするもの様々だが親友は、全員殺していった。

俺は、ただ見ていることしか出来なかった…。


俺と親友の二人だけになった。

「何で…何で、そんなになっちまったんだよ

それに俺のこと忘れちまったのかよ…

いつも一緒だったじゃねぇか!

どうして…」


「お前と俺がどんな関係だったのかは知らん。全ての記憶を捨てたからな。どうせいらん記憶だったんだよ。なんせ、消すような記憶だったんだからな」


「じゃあ、何で、この村に来たんだよ!

力を示すためならもっと近場の村もあっただろ!

お前は会いに来たかったんじゃないのかよ!!

みんなに!」


「違う。この村に来たのはある()()のためだ。

残念だったな」


「何だよ…それ。どんな目的なんだよ」


「貴様に言う意味は無い」


「目的を言ってももらえねぇのかよ」


「ああ、そうだ」


「ふざけんじゃねぇぞ!」


「!?」


「人の…命はそんな簡単にお前が奪って良いもんじゃねぇぞ!」


「……まさか…、こいつ…まさか…、フハハハハ、何て幸運なんだ。こんなところで本当に見つけることが出来るなんて」


「何がおかしい!」


「フ、フ、フ

すまんな。こっちの話だ。

気が変わった。お前は生かしといてやる。今、殺しても()()()は逃げ生き延びるだろうからな」


「何のことだ!」


「お前もいつか分かるだろう」


フワッ


「くそ、待て!

どこに行く気だ!!

許さねえぞ!

逃げる気か!!!

おい!!!!!」


「これだけの俺…いや()()()への憎しみ、怒りそして()()を抜いたとしてもアイツ自身が持つ潜在能力。あれだけあれば1年…いや落ち着くまで考えて13ヶ月で十分か…」


「おい、聞いてんのか!

何、一人でブツブツ言ってんだよ!!

今、お前を逃したら俺は…、みんなに合わす顔が無くなっちまう!!!」


「じゃあな」


「くそっ!

おい、待て!

待てよ!! 待て…よ……」


それから数分、心に少しの余裕ができたため、状況を整理しようと周りを見渡すとそこは死体だらけだった。


それを見ると後悔と不甲斐なさで涙が溢れてきた。

「何も…何も出来なかった…

ただ…、ただ…見ていることしか出来なかった

くそっ……、くそっ……、くそっ……、くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!

絶対に…、絶対にあいつの暴走を止めてみせる!

これ以上、あいつのスキにはさせない!! 」


ひとしきり泣いた後、俺は隣村へ行った。

隣村の村人たちに何が起きたのかを説明し俺の村まで来てもらい、墓を建ててもらったりなど、色々なことをしてもらった。


それから1ヶ月後、俺は旅に出た。

理由はもちろん親友…いや魔王を倒す為だ。






これは(のち)()親友である【クローズ・サタイブ】を倒し、英雄と呼ばれながらも全てに絶望し後悔することになる俺、【ヒロ・ヴィラジャー】の()()()だ。






















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