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角の少女とふたつの竜  作者: 樹(いつき)
第二章 シルトクレーテ
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39.報告

三人は、二日かけてシルトクレーテへと帰着した。

もう歩きたくないとは思いつつも、必死に足を動かしたために、体力が尽きる前に着くことができたのだ。


休憩する前に、三人はすぐ学校へ向かった。

何はともあれ、数日間姿を消していた理由を、学校長へ報告しなければならないからだ。


学校長室へ入ると、クレイ学校長は書類へ判を押す手を止めて、三人へ椅子へ座るよう促した。

逸る気持ちを抑えながら、ホルンたちは冷静に報告を行った。

砦で人さらいたちが待ち構えていたことや、彼らが異形であったこと、ローリィのおかげで助かったこと。


その三つを重点的に話した。

それ以外のことは、シロのことに触れなくてはならなくなるため、意図的に避けたのだ。


クレイ学校長は、ローリィを含めた四人が学校から消えていたことを知っていた。

ローリィが馬車を手配した記録はあったため、行方不明であるか外出であるか判断しかねており、まだ衛兵などへの通報はしていなかったらしい。


クレイ学校長は三人の話を用紙に書き写し、学校側でも調査をする、と約束した。

今日はもう休むように言われ、三人は寮へと帰るよう命じられた。


「やっと帰ってこられたわね」


アレクシアが寝室の壁に手をつきながら言う。

一刻も早く横になりたいという気持ちは、ホルンにもよくわかる。


ふと、ローリィのベッドが目に入った。

あれだけ騒がしかった彼女がいないと思うと、心に穴が空いたような気持ちになる。

アレクシアも、同じ気持ちなのだろうか。


それを確かめることはないまま、ホルンはベッドで横になった。


眠りに落ちるまでの間、異形について考えていた。


奇妙な外見をしていたが、その全てがこの世に元々存在する動物であったことが気にかかっていた。

異形は腐界の外では生きられない。

それを克服するために、腐界の外にいる生き物を真似ているのだろうか。

まるで、湖の魚を無理矢理陸に上がらせるため、無限に存在する掛け合わせを試しているかのような、そんな印象を受けた。


最終的な目的が人間だとしたら、人の形をしていた人さらいたちやローリィは、その試作なのだろうか。


そんなことを考えていると、やがて、砦のことを思い出していた。


スープを飲み干すサイ。

あの時は、何もそこまでしなくても、と思った。


麻痺する成分が入っているスープは、特殊な調合をされていた。

しかし、あの砦に薬物を抽出できるような施設や設備はなかった。


いったい、どこから仕入れていたのだろう。

その流通経路から、協力者を辿れないだろうか。


明日、目が覚めたら、あのいけ好かないカビーノの元へ聞きに行ってみようか。

彼なら何か知っているかもしれない。


それに、持ち帰った旗のことも調べなくてはならない。

これは図書館でフィリップに聞くのが一番早いだろう。


(あと、何すればいいんだっけ……?)


思考が段々と、鈍くなっていく。

そして、ホルンの意識は徐々に揺らいでいき、やがて、睡魔の混沌の中へと、溶けて消えた。

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