オオカミ君とウサギ君
ある世界では、動物たちが人間のように街を作って、生活していました。
そんなある街に、オオカミ君とウサギ君が、住んでいました。
二人は、子供のころからの仲良しです。
オオカミ君は、街を襲う魔物たちを狩る、狩人です。
ウサギ君は、山菜採りの仕事をしています。
ある日、オオカミ君は、ウサギ君の家を訪ねました。
「あれ?
どうしたのかな?誕生日なのに・・・」
呼鈴を鳴らしても、出てこないウサギ君を待つうち、大分時間が経ってしまいました。
「しょうがない・・・
置いていくか・・・」
オオカミ君は、美味しそうに処理された、魔物の肉を置いていきました。
魔物の肉は、この世界の動物たちの重要な、食料なのです。
しかし、何日経っても、ウサギ君は出てきません・・・
ようやく出てきたウサギ君は、オオカミ君に言いました。
「迷惑なんだよね!毎日、肉なんか!」
そうです・・・
オオカミ君は、ウサギ君が「肉を食べない」なんて、知らなかったのです・・・
「ごめんよ・・・
僕は、迷惑だよね・・・」
オオカミ君は、そのまま家に帰ってしまいました・・・
そして、一週間後・・・
森の方で、一発の銃声がしました。
「こいつ・・・街一番の狩人だろ・・・」
お猿さんの職人が言います。
「見ろ・・・
頭を猟銃で、一発だぜ・・・」
シマウマの八百屋さんが、言います。
そう・・・
そこには、変わり果てたオオカミ君の、遺体があったのでした。
頭を、散弾で撃ち抜かれて・・・
「うっ!」
ウサギ君は、その場から去ろうとしました。
しかし、アヒルさんとブラックスワンさんに手を掴まれました。
「な・・・なんですか!?」
「あいつな・・・
保険金の受け取りを、お前に突然、変更したんだよ。」
「そうそう。
何か、あったんじゃないのか?」
二人が、怖いです。
「はあはあはあ・・・なんだって言うんだ!?」
ウサギ君は、いつの間にか逃げ出し、いつしかオオカミ君の家にたどり着いていました。
家のドアが開いています・・・
「・・・」
なんとなくですが、オオカミ君の家に入ります。
「これは!?」
ウサギ君は、驚いてしまいました。
いつもなら、本棚にびっしりの「ウサギ君との思い出」のアルバムが、なくなっていて、ガスコンロに、灰が積もっています・・・
ふと、オオカミ君の書斎で、キレイに畳まれた紙を見つけました。
どらやら、遺書のようです・・・
「僕は、迷惑なんだよね・・・
だから、僕は死ぬよ。
そうでないと、僕は君に許してくれそうもないから・・・
「ごめんなさい」って言ったら、むしろ、許してくれないと思うから。
後、君との思い出の品は全て、壊していくよ。はは・・・
後、僕の葬儀には、こないでね・・・
君には迷惑だろうから・・・」
そう書かれていました。
ウサギ君は、ずっと立ちつくしていました・・・
さて・・・
オオカミ君とウサギ君・・・
どっちが悪いのでしょうか・・・
誰にもわかりません・・・