2.現実
投稿だいぶ遅くなりました…
微睡みから戻ってくる。
カラスの鳴き声やトラックのエンジン音が意識に届いてきて目が覚めてくる。
ふわりとしていた感覚から布団の中の自分の中に戻ってきたようだ。
実際はここから一歩も動いてはいないけれど。
布団から体をずらして携帯を見る。
どうやらかけていたアラームよりも10分ほど早く起きてしまったらしい。
布団の暖かさが名残惜しいが二度寝してしまっては確実に遅刻してしまうだろう。
アラームの設定を消して布団から出て洗面所へ向かう。
横の棚からタオルを出しながら鏡を見るとTシャツ短パンでボサボサの髪の自分が映る。
いつも通りだ。何も変わっていない。
顔を洗って寝癖を直して着替える。今日はバイトだからジーパンはダメだななどと考えながらテレビをつけるとちょうど天気予報が流れている。今週は全国的にあまり天気はよくないそうだ。
食パンをレンジにセットして焼けるのを待ちながら携帯を確認すると夜中にラインが来ていた。
タカからだ。
「今週空いてるか?飲みに行こう。」とのこと。久しぶりに来た飲みの誘いを断る理由も見当たらず、
「唐突だな笑。いいよ。今週は大体空いてる。」と返信する。
ジャムを塗って冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出しコップにそそぐ。
そんなことをしているとレンジから音がした。
テレビでは先ほどの番組が終わり最近始まったニュース番組が流れている。
人気の芸人が司会をやるとのことで注目を浴びていたやつだ。
新聞の記事がボードに貼られて、それを棒で指差しながら解説の人が何か言っている。
また芸能人の不倫かよ。最近ほんとに多いな。
芸能関係のニュースばかり取り上げていて正直つまらないと思っていたら国会の映像に切り替わった。
こっちはこっちで何を言ってるのか正直わからん。
また脱税だのなんだのとくだらない話をギャーギャーとしているんだろうと横目で見ながら朝食を完食する。
食器を流しに下げてバイトへ行く準備をしているとラインが来た。タカからの返信だ。
「今日とかはどうよ?」
「大丈夫ー」
返事はすぐ返ってきて、
「お、よかった。じゃ、19時にいつものとこでいいか?」
「わかった」
ラインをさっさとすませて家を出た。
よかったのか悪かったのかはわからないが、
このとき、この約束が俺にあんな意味を持つとは考えもしなかった。