いざ異世界へ1
段々と陽が昇るのが早くなり、暖かく心地よい風が吹くようになった春。
資源に恵まれており、緑生い茂る森に面したライト領では、森の恩恵で、領民達は豊かなのを表すように活気に溢れている。加え、四季折々の情景はとても有名だ。
王都に負けず劣らずのロークウェル王国自慢の領だ。
その中の一角にあるお屋敷の中のテラス。そこには程よい長さに整えられ色素が薄い金色の髪を持ち色気含んだ美青年。その隣には、まだ幼さを残し、桜の花のように鮮やかな髪色。それを表すように柔らかい雰囲気を醸し出した女性が腰を掛けていた。
二人は七大貴族の一つ。ライト家当主ベルフェリアとその妻ユーナ。それぞれ一人づつの使用人を後ろに控えさせていた。
ユーナのお腹には新しい命があり、ふっくらとしていた。
「もうすぐ、この子も生まれるのねぇ。長いようで短かったわ。女の子と男の子どっちかしら」
優しくお腹を撫でているとポコッとお腹を蹴った。
「あら、今お腹蹴ったわ」
ベルの手をとると、お腹に当てて
ほら・・・と。
「あ、また蹴った。この子も大きくなったね。僕はどっちでもいいかな。君に似たら絶対可愛くて優しい子に育つと思う」
「あら、私はあなたに似て欲しいわ。絶対綺麗だと思うの。でもそうねぇ。聡明な子だといいわね」
「君と僕が愛情を持って育てたら、優しく聡明な子に育つと信じているよ」
笑顔が絶えず、仲睦まじく話している二人とそれを微笑ましく見ている使用人二人。
それはしばらく続きました。