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逆襲のアルテミス  作者: 加藤貴敏
第4章「ウォー・ゲーム・オブ・ハザーズ」

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「ブースト」前編

「エテュオン、無事か?」

「・・・大丈夫」

「とにかく、足止めするぞ」

そう言ってアキレスは尾状器官から衝撃波を撃ち続ける。少し体力が回復すればエテュオンも飛び上がり、ドラゴンを上空から見下ろす。巨体故に動きは俊敏ではない。まるで山のよう。でも攻撃が災害のようで、私達の防御力ではとても対応出来ない。それでも逃げる事などは出来ない。そうエテュオンが巨体の弱点を見定めている最中、青カビの鱗はまるで無人機のように襲い掛かっていく。エテュオンが青カビの鱗を迎撃している傍ら、リュナークは帯電爆発鱗でドラゴンの足を狙う。ギョロっと眼差しが向けられ、リュナークはドラゴンと睨み合う。

「くそ、オレの鱗が刺さらない。いや、皮膚が厚すぎて電気でも爆発でもダメージが通らないのか。あっ!ホーン」

吹き飛ばされたホーン。超高熱状態のホーンでもその皮膚は貫けず、白い霧のような光の爆発によって返り討ちにあった。

「ホーン」

「・・・硬い。単に皮膚が分厚いだけじゃない」

「え?」

「あの霧だ。まるで砂のように衝撃を吸収される」

「どうしたらいいんだよ」

白から赤へ変わるホーン。立ち上がりながら、ホーンはドラゴンを見上げる。

「オレ達では、無理かも知れない」

「そんな」

「そんなもんかよ、アルタライザー」

振り返るリュナーク達。そこにいたのはジュピターズだった。リッショウをして電気爪状態のシュウズンを前に、2人はただ戸惑う。

「オレは、戦う為にウパーディセーサになった。戦わなきゃ生きていけない時代だからだ。ヒーローかどうかは分からないけど、オレが戦って結果的に街を守れるなら、俺は戦う。アルタライザー、諦めんのか?」

「そんな訳ないだろ」

リュナークがそう返せばホーンは頷き、再び超高熱状態となる。

「とにかく、やり続けるか」

「リュナーク」

「カルバーニ、どうしたの」

「あのドラゴン、別の国にも現れたそうだ」

「何だって」

「でも、もうアルテミスによって撃破されてる」

「え・・・」

「すぐにこっちにも来る」

その直後、シュウズンは素早く辺りをキョロキョロし、上空へと飛び立った。

「ドラゴンはアルテミスに任せた方がいいんじゃないないか?」

リュナークはふとホーンを見た。せっかくやる気になった途端、アルテミスが来ると聞いて、固まっていた。

「ホーン、周囲の被害状況の確認、しよう」

「そうだな」



第72話「ブースト」



シュウズンは空中で留まった。リッショウの気配。それは超感覚でビンビンに感じるから。

「おい」

シュウズンが見つけたのはアーサーと合体したテリッテだった。

「(邪魔だ)」

「あなたは?」

「オレ達はジュピターズ」

「あ、ルア達が魔法を教えたっていう。どうしたの?」

「これは、オレ達の戦いだ。手を出さなくていい」

「(それは、そいつを倒せる奴が言える事だ)」

するとシュウズンは言葉に詰まり、アーサーはそんな態度を鼻で笑う。それからシュウズンは振り返った。その一瞬で、テリッテのリッショウの質が変わり、色も変わった。超感覚が震えていた。何も出来なかった。そして蒼白い炎を纏った尾状器官の拳が叩き落とされれば、ドラゴンは地響きを轟かせて倒れ込んだ。それでもドラゴンは抵抗して青カビの鱗を無数に飛ばし、白い霧のような光でテリッテを覆い隠す。テリッテだけを狙った集中的な爆発。シュウズンはただ眺めていた。爆発も青カビの鱗も一瞬で吹き飛んでいったのを。

「はああっ」

テリッテが作った白い長弓から放たれた、蒼白く燃えて輝く光の矢。それは眩しくて思わず顔を背けそうになってしまうものだった。気が付けば、ドラゴンの体には大穴が空いていて、ドラゴンはもう動かなかった。

「被害状況は」

「テーマパークはほぼ壊滅状態。避難は済んでるから新しい負傷者はいない」

「そうか」

「それでデリス、どこから来たか分かったの?」

「発生源は不明だな。だが目撃情報によると、ここのドラゴンはベリカニアから来たと思う。先に撃破されたドラゴンもベリカニアだしな」

「つまり、蘇った人の力でドラゴンが作られたとして、その蘇った人はベリカニアにいる可能性が高いという事?」

「まぁ、かもな。蘇った人の力かどうか、アルテミスなら分かるだろう」

すると飛んでいったエテュオン。しかしアルテミスの誰かを連れてくるのかと思いきや、1人で戻ってきた。

「ルアに調べて貰うって」

「そうか」

「じゃあ、片付けるか」

巨体の解体作業、テーマパークの破壊跡の片付け、そんな最中、シュウズンはアーサーに向かっていく。超感覚で分かる、リッショウの差。だからシュウズンは簡単に受け流され、殴られ、蹴り飛ばされた。

「ふう・・・くそ」

「リッショウは3段階ある。でもやり続ければ強くなれる」

「オレも、そのリッショウが使えるようになるのか」

「いや、それは無理だ」

「え?」

「このリッショウは俺の魔法と混ぜて3段階目以上に強くなってる」

「混ぜる。魔法ってそういうもんか」

「まあな」

深呼吸したシュウズン。でもその態度は嬉しそうだった。一方、ロウタはドラゴンの体の一部を剥ぎ取り、地面に置いて眺めていた。青カビのようなものに覆われた皮膚、その皮膚の隙間から漏れる白い霧のような光。

「まぁ・・・・・その、さ」

共にいたルカトもそれを見下ろしながら、やがて苦笑いを漏らした。

「このドラゴンのDNA・・・も、と、投与・・・するのかな」

しかしロウタは重々しく溜め息を返しただけ。そこに迎えにきたジュピターズが到着し、そのドラゴンの体の一部を抱えて去っていった。

「ドラゴン。まぁ、カッコ良かったっちゃ、カッコ良かったけどね。人間に戻れなくなったらどうする?」

「それは、キツいけど。いや、今更か」

アーサーとシュウズンの特訓を眺めていたテリッテ。そこにパッとルアとヘルがやって来る。

「(イシュレにまた(スーヴェ)作って貰ったよ)」

「早速捜しに行くけど・・・」

ルアはそうアーサー達を見てから、微笑むテリッテと見つめ合う。

「私はアーサー達を見てるよ」

「うん」

それからルアとヘルがパッとやって来たのはベリカニアの海沿いの街トランタ。

「(景色良いなあ。海キレイ。絶対食べ物美味いよね)」

「ねー・・・あれ?」

すると(スーヴェ)は海の方へと向かっていき、海の中へと沈んでいった。

「ちょっと待って。戻って来て」

そう言えば(スーヴェ)は戻ってきて、目の前でシュシュッと上下に揺れた。

「(海の中に居るって事?)」

すると(スーヴェ)は左右に揺れた。

「じゃあ、海底洞窟、とか?」

すると(スーヴェ)は上下に揺れたので、ルアとヘルは「あ~」と見つめ合う。

「(じゃあ、目を飛ばして追うから)」

1回だけ上下に揺れると(スーヴェ)は海に潜っていったので、ルア達も海の中へと視点を飛ばしていく。海底に沿って海を進めば、やがて(スーヴェ)は洞窟に入っていって、空気がある空間にやって来た。(スーヴェ)のお陰で明るい洞窟内。コウモリが飛び交い、羽ばたく音が響き渡る。それからもっと広い空間にやって来ると、そこにはなんと草原が広がっていて、家屋らしき建物があった。

「(何これ)」

すると(スーヴェ)はその家屋の前で止まり、満足げに上下に揺れた。

「(あっちに道があるよ)」

(スーヴェ)に明かりになって貰って進む中、草原が終わると舗装された道となり、照明器具の列があり、線路があった。

「(鉱山、なのかな)」

「多分そうだと思う」

「(でも、廃墟だね。真新しい廃墟って感じ。てことはこのまま進むと・・・)」

しばらくするとエレベーターがあり、そしてトロッコを通りすぎてようやく、崩れて隙間しか空いてない入口が見えてきた。

「(出たーっ。ここは・・・)」

「山の入口だね。でも何か、閉店感すごい」

テリッテの下にパッと戻ってきたルア達。

「どうだった?」

「蘇った人居た。実際にはまだ見てないけど。居場所は分かった」

それを聞いていたのか、シュウズンを殴り飛ばすとアーサーがすぐに歩み寄ってきた。

「よし行くぞ」

「待て」

「ん?あ!テメエ」

いつの間にかやって来ていた見知らぬ男。アーサーの態度からの威嚇にも、男は全く怖じ気づかない。

「今は行くべきではない」

「うるせえよ。邪魔するなら倒す」

「アーサー、ちょっと待って。ねえ、お名前くらい教えてくれない?」

「・・・私はシザク」

「どうして今じゃダメなの?」

「戦力が足りない」

「何だとお?俺達じゃ勝てないってのか?」

「お前自身だって、その力をコントロールしきれてないと思ってるだろ?」

「それは・・・」

「今回の敵は、ガルゼルジャンよりも手強い」

真剣な顔で黙り込むアーサー。でもシザクへの敵意は薄れたみたいで、でもルアはその表情をただ見ていた。──私も、もっと強くならないと。

「お前は精々特訓に励んでいればいい」

「チッ。でも、油断しているところを襲えば殺せるはずだ。ガルゼルジャンより手強いなら、むしろ時間なんてかけてられない」

「未来は止められない。だが、未来を変えられる分岐点は必ずある。しかしそこを見定めなければ、悪い方に未来が変わる事もある。ガルゼルジャンのように、手がつけられないほど膨大に力を氾濫させたくないだろ?」

「くそっ。けど、俺達は未来なんか分かんないんだよ!」

「その時が来たら教えてやる。それまでは力を溜めておけ」

そう言うとシザクは歩いて去っていった。ガルゼルジャンとの戦いは、やっぱり“勝利”ではなかったのかも知れない。ルアがそんな顔色なのをヘルが察すれば、穏やかな感情をテレパシーで送る。それから禁界の合同キャンプ場に戻ってきたルア達。

「何なんだよあいつは」

ドカッと座り込んでアーサーがそう言うと、アンシュカが野菜スープを差し出す。

「でも良かったわね。教えてくれる良い人で」

「そうだよ。その人も被害を大きくさせたくないって思ってるんだよ」

ヒーターもそう言えばアーサーは落ち着いた溜め息を吐き捨ててスープを一口。

「(未来が分かるって、何かエイシンみたいじゃない?)」

「確かに。私達もエイシンにアドバイス貰った方がいいかも」

「それでも、どうせエイシンも今は修業しろって言うんだろ。ていうか、蘇った奴と戦うのを修業にしてたのにな」

「じゃあやっぱりカンディアウスさんに頼むしかないね」

「けどなぁ、もう戦い飽きたっつうか」

「え、そうなの?」

「だって嵐だけだぞ」

「昨日、クウカクで新しい武器作ってたよ?何か戦い方も変わってたって、グズィールが言ってた」

「マジか」

「カンディアウスさんも色んな戦い方を作りたいって、イキイキしてるんだよ」

「そうか」

「でもさアーサー、その前に僕とクロムの訓練に付き合ってよ。2人がかりならアーサーも退屈しないでしょ?」

アーサーが鼻で笑ってそれから、アルファと合体したヒーターと、シャークと合体したクロムと、アーサーと合体したテリッテは向かい合った。テリッテが蒼白い炎の鎧を纏えば、ヒーターは蒼白い電気の鎧を纏い、クロムは青黒い光の鎧を纏った。ヒーターとクロムも3段階目のリッショウが出来るようになっていて、魔法の鎧も強くなっていた。でもアーサーはそんな2人を相手にしても、全然負けなかった。テリッテの尾状器官の手と、ヒーターの白い長剣とがガツンッとぶつかり、テリッテの矢と、常に浮いているクロムの両腕から伸びて舞う“2本の鎖剣”とがガツンッとぶつかり合う。

「(すごいねえクロム。あれがクロムの武器か)」

3段階目のリッショウと、それが影響して強くなった魔法の鎧。でもテリッテのは、そのリッショウと魔法の鎧、エクスカリバーが、翼の力に融合している。やっぱりその差は歴然だった。エクスカリバーのように尾状器官の手は鋭く、蒼白い炎の一閃を飛ばしていく。

「うわあっ」

ヒーターが吹き飛び、白い長剣が転がっていく。それでもそれを素早く拾えば、白い長剣を青雷の大剣へと変えて再び向かっていく。それからクロムが宙を舞いながら、周囲に作り出した幾つもの光球を盾にしたり、刃にしたり、飛ばしていったりする攻撃でテリッテを追い詰めていく。

「(よーし、ボクも行っちゃうぞ?んんー!フェニックスソウル!)」

いきなりヘルが参戦して3体1になったと思いきや、ヘルは気まぐれにテリッテ達全員を攻撃していく。それでもテリッテ達はそれぞれお互いを攻撃しながらヘルの攻撃も捌いていき、何ともカオスな状況になった。

「ルア、あれからどうなった?ルアの武器」

そんな時にそう声をかけてきたのはロックエル。

「まだ出来てない」

「そうなんだ。じゃあクウカクで武器は?」

「ううん」

「何で?」

「何か武器がいっぱいありすぎるのも困るかなって」

「んー。オレさ、自分だけの武器と、メアの武器ともう1つ、2人で考えたクウカクの武器を使っていこうって思ってるんだ」

「そうなんだ。すごいね」

「確かにちょっと大変だけどさ。不利になる事はないでしょ?」

「そうだね。でも私の場合は、色んな矢を作って撃つ方が合ってるかな」

ケルタニア、軍基地、シーザリアン対策モニタールーム。

「どう思う?シザクって人が、アーサー達に言っていた事。今回の敵はガルゼルジャンよりも手強いという言葉」

シーザリアンがいなくてもずっとモニターを見ているアキレスに、エテュオンが問いかける。

「ガルゼルジャンより手強い、つまり、戦い方を間違えれば、被害はゼーレよりも甚大になる可能性があるという事だろう」

「戦い方って言ったってさぁ。オレ達にだって未来なんか分かんないよな。そのシザクって人?全然素性が掴めないけど、味方にした方が良さそうだな」

「リュナークでさえ追いかけられないのか」

「だって、結局消えちゃうんだもん。どこの国の人かも分かんない」

「本当に待つしかないのか?」

ホーンが問いかけると、アキレスは振り返る。

「今の内に暗殺するべきだと、俺も思う。だが、俺達に、恐らくそれほどの力はない」

「そんなの、やってみなくちゃ分かんないんじゃない?」

「私は自分達をより強化するべきだと思う」

「どこを?」

「やっぱり、魔法?」

「んー、でも絶対時間がかかるでしょ?」

「むしろ、あっちが動く前に出来る事はするべき」

真っ先に立ち上がったのはホーンだった。当然行き先は演習場。すると他のアルタライザーも「じゃあ行くか」と席を立つ中、リュナークはタブレットを手に取った。開いたのはSNSのアプリケーション。

〈ケルタニア軍所属、アルタライザーのリュナークです。突然で悪いんだけど、1番早いリッショウの強化方法を教えて下さい〉

禁界の合同キャンプ場。ルアの下にパッとやって来たのは“窓口担当”のストライク。

「ルアちゃん。SNSにDM来たよ」

いつものようにストライクが知らせに来てくれれば、ルアは“圏外”から自宅に戻り、タブレットを見る。

〈ルアです。でしたら、濃縮魂子をおすすめします。魔法は元々、魂子というもので出来ています──〉

ケルタニア軍基地、アルタライザーチーム専用演習場。リュナークが向かうと、すぐにみんなを集めた。

「・・・・・これで完成っと。これが濃縮魂子ってやつで、普通の魔法より何倍も強い魔力があるって。このリッショウボールを使ってリッショウすると・・・・・うおおおおっ!」

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