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逆襲のアルテミス  作者: 加藤貴敏
第4章「ウォー・ゲーム・オブ・ハザーズ」

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「ユテス&エテュオン」前編

エテュオンはとっても頼りになるし、ちょっと憧れる。リーダーはアキレスだけど、エテュオンはいつも冷静で作戦を考えるのが上手い。岩獣は訳分かんないけど、それでも、オレたちなら、多分大丈夫。

「後方から蜘蛛!」

「オレが行く」

オレの尾状器官はみんなよりもただ伸縮性が高いだけじゃない。熱を放出させて、鉤爪を標的まで伸ばすスピードを上げた。尾状器官で空も飛べるけど、尾状器官を相手に叩き込む方が速い、と思う。伸ばした尾状器官を巨大な蜘蛛に突き刺し、そのまま岩壁に蜘蛛を叩きつけ、そしてそのままその尾状器官からゼロ距離で衝撃波を放つ。これで蜘蛛は簡単に倒せる。でも岩獣は手強い。

「ユテス!」

「いててて・・・あれ、でも、何かあんまり痛くない」

「リッショウとやらの効果だろう」

「そうなんだ。魔力と身体能力を上げるって、でも痛くないのは何でだろう」

魔力って言っても、ウパーディセーサベースのオレ達は、シューガーのギガスのように魔法は使えない。この熱を放出する機能は生物としての器官でやってる。でも、何でアーサーは魔法を。

「エテュオン!」

「問題無い」

「すごい、吹き飛ばされたのに、体が硬い上にリッショウでもっと硬くなったんだ」

「どんどん出てくるぞ」

どうしたらいいんだろう。一旦退避したとして、この岩獣が街に行ったら絶対マズイし、出来るだけここで倒した方がいいんだろうけど。

「フレイムジャベリン!」

アーサーが放った青炎の光槍は、衝撃だった。貫通していって、一気に3体の岩獣を倒した。何て強い魔法なんだ。オレもあんな風に出来たらいいな。



第69話「ユテス&エテュオン」



火光矢三層(スヴェンジャストレ・トリーソ)!」

独立自警団の人、あれ?何だ、光の花びら?・・・それに、光の花びらが蔦になって、勝手に蜘蛛たちを捕らえていく。・・・あれ、いいな!

「アキレス、あれすごくない?」

「・・・そうだな」

「オレ達も出来るかな?ああいう魔法」

「デュープリケーターが魔法を使えるなら、出来るかも知れない」

アルタライザーという軍隊。まだまだこれからだけど、ケルタニアの中でも、ケルタニア含め25ヶ国が加盟するホールズの中でも最強だと思ってた。でも、異世界とか言われちゃうと、何かもう、落ち込む。けど、ワクワクもしてきた。

「落ち着いてきたか」

「何十体を、30分ほどで。私達では到底無理だったな」

「まぁオレ達はデリス達を守りながらだけど、それでもかなり戦闘力に大差があったよな」

「あのさ」

話しかけると、オレに振り返ってもテリッテはすぐに微笑んだ。

「オレ達も、ああいう魔法使えるのかな」

「えっと、うん、出来ると思う。アーサー達も出来るし」

「ユテス、だったら、インストールすれば良いんじゃないか?ギガスのDNA」

「ああ、良いのかな」

新しい軍用車も来たし、岩獣も来ないので一先ず基地に戻ると、ちょうど第2チームも戻ってきた。でも見るからに、第2チームの面々は落ち込んでいた。

「何かあった?」

エテュオンが聞くと、第2チームのリーダー、ベリクロは深刻な雰囲気を見せた。

「蜘蛛の巣を見つけて処理に向かったんだけど、見たこともない形態の蜘蛛が居て、かなり劣勢を強いられた」

「え、どんな」

「大きさは変わらないけど、触れると麻痺させる糸を吐いてきて、しかも雷レベルの電気を放つ」

「何だよそりゃ」

ホーンがそう呟いた時、第2チームの人間組、ハイルークが背負っている袋を見せてきた。

「蜘蛛から採取した電気器官」

「うええ。でか」

それからすぐに、第2チームのアルタライザーたちにもリッショウとクウカクを教えてあげた。みんな喜んでくれて良かった。

「博士、ギガスのDNAインストールしたいんだ。魔法が使えるようになるんだろ?」

「言ってなかったっけ?あなた達アルタライザーは、ウパーディセーサベースで、ギガスも含めて様々なDNAが組み込まれてるわ?」

「そうだったの?何で言ってくれなかったの?」

「何を求めるかは、自分達で決めて欲しいからよ。最初から魔法が使えるなんて言ったらどうしてもそれを中心に考えて、基礎的な戦略を蔑ろにしちゃうでしょ?だからそういう情報は段階的に教えていった方が良いって、司令官も言ってたわ?それに──」

魔法を使えるDNAは元からあったみたい。でも思ったのは、そもそも魔法ってどう使うんだろうって事。元々ギガスは異世界のエルフが作ったもので、でもそのDNAを手に入れたとして使い方なんて分からないと思う。でも使えるなら、いいのかな。

「ギガスって、元素を自由に操るんだよな」

「あのさ、どうやって使うの?」

「え?それは・・・」

「リッショウと同じだろ」

ホーンがそう言った途端、ホーンの手から風が吹いて炎が燃え上がった。

「意識するだけだ」

「演習場行こうっと」

第2チームのアルタライザーたちが駆け出していったのでオレも追いかけた。気が付くと、エテュオンも一緒に来ていた。

「気になるよね。進化した蜘蛛」

「あぁ。限りなく生物的な生態で、でも進化スピードが速い。やはりこのままだとゼーレ帝国のように、街ごと支配されてしまう」

「でもさ、あの蜘蛛なんて、全部倒せるのかな」

「恐らく不可能だと思う」

「そう、だよね。きっと、ホールズ中に巣が出来ちゃってるよね」

「こっちも進化するしかない」

「うん」

「相手よりも速く進化して、ピンポイントでシーザーを倒す」

「蜘蛛よりも?」

「やるしかない」

元素を操る魔法と、リッショウとクウカク。これがあれば、もっと強くなれる。

「わあすごい。ベリクロ、体中から火が」

「2人とも、何立ってるのよ」

第2チームのアルタライザー、ティヒムが駆け寄って来た。何か楽しそうだ。ティヒムが尾状器官から帯電する刃を作り出すと、それをバチバチと振り回した。

「剣?」

「クウカクよ。魔力を物として具現化出来るなら、こうするのが良いでしょ?」

「クウカクで、そっか。そういえばアーサーも剣を作ってた。よーしオレも魔法やろっと」

確かに博士の言う通りかも。最初から魔法を使ってたら、軍隊としての質は落ちてたかも知れない。

「大変だぞ。ホールズ中で進化した蜘蛛が発見されてる。今、周辺国に俺達を派遣出来るように調整を進めてる」

「確か、ベリカニアに、ウパーディセーサベースの民間部隊があるんだっけ?」

「あぁ。他にも、リストヴニソフに、ウパーディセーサベースではない未知の生物兵器民間人が居る。ヒーローのような活動をしていて、ファンもいる」

「何とかなりそう?」

「さあな。何かあれば独立自警団アルテミスも向かうだろう。俺達は先ず、自分達の国を守る」

「うん」

「シーザーの警戒は?」

「シーザーの周辺の蜘蛛の巣を探す」

オレはエテュオンとデリスとジグとヴェッジと一緒にシーザーの居る国立保全樹海に向かったけど、国立保全樹海は総面積約70平方キロメートルはある大きな樹海。木々も繁って、洞窟も幾つもある。

「シーザーを守る為に蜘蛛が定住してる可能性は高いだろうな。つまりその分、進化も速い」

「だが、隊を分散させざるを得ない。もうすでに、いや最初から、私達は圧倒的に数で負けている」

「はあ・・・そうだな」

デリスが樹海の入口で軍用車を停車させた。急に巨大な蜘蛛がホールズ中に出てきたのは、やっぱりさっきの“仕返し”なのかな。

「デリス達、離れないで」

「分かってる」

「進化しても蜘蛛だからな。榴弾で十分だろう。お前らだって進化したんだから」

「でさ、どうやって探す?」

「シーザーに近付けば、警戒して蜘蛛が寄って来るかな?」

「あの岩の野郎が来るのは勘弁だぞ」

「だよね」

シーザーの居る洞窟の座標は分かってる。だからその周辺を巡回していく事にした。するとすぐに蜘蛛と出くわしたけど、例の進化系は居なかった。

「ユテスは3人から離れないで。私が広範囲に動く」

「うん」

至るところから何十の蜘蛛が現れてくるけど、今までとは戦いやすさが全然違った。リッショウのお陰で尾状器官を伸ばす速度が増して、衝撃波の威力も増した。クウカクでデリス達を守れるし、それに衝撃波に水と炎を混ぜてみたら、すごい事になった。

「いいな、これ」

そう言ってデリスが、満足げにオレが作ったクウカクを叩く。演習場にあるやつ。銃口を出せる四角い穴のある壁。移動する時にはすぐに消せるし、戦いになればまた作れる。こんな便利な魔法があるなんて。

「また出たな?よっし」

「でも巣が見つけられてないよね」

「全方位から来るからな、方向性すら特定出来ない」

「数を減らせば何か分かるんじゃない?」

「かもな」

エテュオンが冷気と強風を合わせたものを放てば、蜘蛛たちは瞬く間に動きが止まっていく。すごい。

「あ、あの蜘蛛、逃げていく」

「追いかけたら巣に行けるかな?」

「私が先行する」

「気を付けてね?」

飛んでいったエテュオンを追いかけていくと、そこにはようやく蜘蛛の大きな巣があった。しかもその直後から蜘蛛が孵化してきたからすぐに焼き払った。

「ん?」

「デリス、どうかした」

「警戒しろ、誰かいるぞ」

デリス達が銃口を向けた方向を警戒していると、やがてゆっくりとオレ達の前に蜘蛛でも岩獣でもない、知らない奴が姿を現した。

「何だあれ、人間か?」

遠いけど目が合った。でもそいつからは敵意を感じなかったので、オレもただ見ていた。そいつはどうやら、何かを探してるようだった。ゆっくり辺りを見渡しながら、どこかに去っていった。そんな時だった、あの足音が聞こえてきたのは。

「・・・岩獣が来た」

「巡回か?」

「ボディーガードだろ?」

「オレが行くよ」

「分かった」

さっきまでだったら、たった1人で立ち向かおうとすらしなかったと思う。でも今は自信に満ちてる。岩獣が立ち上がって、水圧で岩を飛ばしてきたけど、そんなのはクウカクで無力化した。尾状器官を伸ばして岩獣の頭を掴み、ゼロ距離で“水蒸気爆発衝撃波”を撃ち込んだ。水と炎を同時に生み出して水蒸気爆発を起こしながら、それを衝撃波で飛ばしていく。すごい威力だ。一瞬で岩獣がバラバラになった。

「さっきの人大丈夫なのかな?」

「多分人間じゃないんじゃないか?じゃなきゃ1人でうろつかないだろ」

「そう、かな」

「雰囲気からそうだった。きっと戦闘力が高い」

エテュオンが言うなら多分そうなのかな。しばらく樹海を進んでいるとまた蜘蛛の巣があったので焼き払い、蜘蛛の群れも殲滅したけど、オレは何となくずっと気になってた。さっきの人は、誰の指示で偵察しに来たのか。

「蜘蛛が出たぞ!・・・ん、おいエテュオン、あれ」

デリスが遠くに見つけたのは、例の進化系だった。赤錆色のボディーに、黄色い毒々しさが増したような見た目だった。それにそれだけじゃなかった。外見から刺々しい、青白い巨大蜘蛛。初めて見るタイプだった。

「ユテス、オレ達の事は気にするな。中に居れば安心だ」

「うん」

黄色い蜘蛛の糸は痺れるって言ってたっけ。

「エテュオン」

「青いのは未知数だから近付かない」

「うん」

「ユテスは黄色いのと普通の奴に集中して」

「分かった」

先ずは衝撃波で普通の蜘蛛を倒していきながら、黄色い蜘蛛にも気を付けていると、黄色い蜘蛛は早速広範囲に糸を吐いてきた。それは見るからに毒々しい黄色い糸だった。でもクウカクで体を守っていれば、全く痺れなかった。その直後、どこからともなく青白い大きな針がクウカクに刺さった。クウカクに突き刺さった時点で、それが相当な威力と鋭さだという事が分かった。針を飛ばしてきたのは分かっていた。青白い奴。グサグサと地面や木々に刺さった、青白い針。でもエテュオンは尾状器官から炎を吹かして飛んでいき、青白い蜘蛛に冷気を浴びせた。このまま動きを鈍らせられると思ったその時だった、オレの目の前でクウカクに刺さっていた青白い針が爆発したのは。

「ぐっ!・・・」

青白い爆風でクウカクは砕けて、オレも吹き飛んで、そしてオレの全身は痺れた。

「く・・・」

運悪く黄色い糸に引っ掛かってしまった。力が出ない。魔法も上手く出せない。すると黄色い蜘蛛がオレに近付いてきた。このままだと、マズイ。オレを捕まえて余裕の態度で歩いてきた黄色い蜘蛛。でもその直後、蜘蛛の頭に数発の榴弾が撃ち込まれた。

「おいおい大丈夫か?」

「ダメみたいだな」

ジグがそう言えばデリスも仕方ないと頷き、普通の蜘蛛に榴弾を撃ち込んでいく。動けない。エテュオンがどうなってるかも分からない。そうユテスが何とか体から炎を燃え上がらせようとしている一方、エテュオンはユテスを確認しながらも自分を包囲する蜘蛛たちに攻撃していた。

「青白い爆発、冷気か?」

クウカクの壁を覆っているのは、季節外れの霜。更には近くの草はもう完全に凍っていた。

「電気の次は氷か」

デリスはエテュオンを遠く眺める。

「氷の蜘蛛の体の一部、持って帰れそう?」

ヴェッジがそう聞くと、デリスは難しそうな顔で溜め息。

「ユテス、今助けるからな?」

ヴェッジが狙いを定めたのは、ユテスを捕まえている黄色い糸。それを燃やす為に榴弾を撃てば、爆発と共に糸は燃え始めた。

「さすがにユテスに榴弾は撃てないだろ」

「じゃあどうする」

するとヴェッジは長い木の棒を手に取り、それでユテスから糸を剥がし始めた。ジグも良い具合の木の棒を探して辺りを見渡すが、デリスが声をかければその態度に、ジグは銃を構えた。ヴェッジに蜘蛛が向かっていけば2人が榴弾を撃ってそれを阻む。

「2人共」

「エテュオン。氷の蜘蛛は」

「問題無く倒した。2人は周りを警戒して?私がユテスを助ける」

「あぁ。じゃあオレ達は氷の蜘蛛の体を採取するか」

「だな」

「あ、エテュオン」

エテュオンが来た時にはもう半分ほど糸が剥がされていて、上半身は動けるようになったユテスが自分で糸を燃やしていた。

「大丈夫?」

「うん。ヴェッジが助けてくれた」

「おーいエテュオン。一度戻るぞ」

「分かった」

デリス達が採取した蜘蛛の一部を基地に持ち帰ると、博士は驚きながら喜んだ。でもまた新しい蜘蛛が出た事には不安そうだった。

「ユテス達戻ってたんだ」

「あ、ベリクロ」

「黄色い蜘蛛とは別にまた進化系が現れたから、体の一部を持ってきた」

「あーそれって氷の蜘蛛?」

「ん?氷・・・じゃない。鎌みたいな脚で炎を吐く、赤い蜘蛛」

「え、炎の・・・蜘蛛」

それから国中での蜘蛛の侵略を退けたみんなが帰ってくると、それぞれの報告に博士も司令官も驚いた。そして第1と第2チームの合同会議。

「現在確認されている進化系は5種。電気、氷、炎、水、岩。蜘蛛や岩獣は魔法の存在というより限りなく生物的な生態。更に元素を生態に組み込み、より強力になってる。今後は蜘蛛だけじゃなく、岩獣の進化系も現れるかも知れない」

「シーザーの意思なのかな、モンスターの進化って。生物的に見えるけど、本当はたった1人の意思で動いてるんだよね?」

「真相は分からない。もしかしたら、創造される瞬間や進化する瞬間以外は、AIのようにモンスターにも意思があるのかも」

「ケルタニアはとりあえず守れたけど、他の国は今も相当危険な状態だって。本当に体制が崩壊する国が出てきてもおかしくないよ」

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