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超能力週間  作者: 安田枝美
6/8

ゲーム4日目

木曜日。ゲームの4日目だ。もう毎日ゲームがあることになんとなく慣れちゃって、今までみたいな憂鬱な気持ちは少なくなってきた。


いつものように教室に入ると、何か違和感を感じた。いつもは私が教室に入っても何も反応はないのに、今日はやけに視線を感じる気がする。周りを見るといろんなグループが私を見て何かひそひそ話してる。え?何なの?寝ぼけて制服の着方間違ってるとか?不安になって自分を見直してみるけど、特に何も変わった所はない。


そうしていると、いつもなら全然話すことのないクラスのイケてるグループの女子が話しかけてきた。

「ねーねー、浅倉さん、草壁くんと付き合ってるってほんと?」

「…は?」何言ってんの?

「いや、昨日2人が放課後教室に残って話してる所を見たっていうやつがいるからさー付き合ってるのかなーって」

なるほど。あの時を誰かに見られてたのか。にしても、2人で話しただけでなんで付き合ってることにされなきゃいけないんだ。

「付き合ってなんかないよ。別に好きとかそういうこともない。ちょっと用事があったから話しただけ。」

私がそう答えると、クラス中から「違うの?」「違うんだってよ」「ほんとに?」とか色んな声が聞こえてきた。まさか、こんな噂がクラス中に広まってるのか。

「ふーん?用事ねえ…」

聞いてきた人は納得のいかない様な表情でこっちを見つめる。

「ほんとにそれだけ。何もない。」念を押すようにもう一度付き合ってないことを主張した。

「そ、じゃー、まーいいわ。」私に質問するのをやめてグループに戻っていったけど、絶対信じてない。それはこの人だけじゃなくて、クラスで私の言うことを信じている人はほぼいないみたいだ。そうだ、草壁くんはどこにいるんだろう。まだ来てないの?早く来てはっきりそんな関係じゃないって否定してもらいたい。


そう思っているとちょうど草壁くんが教室に入ってきた。クラス中の視線が草壁くんに集まる。そして私に聞いてきた人とはまた別の女子が草壁くんに話しかけた。

「ねー、草壁くんって浅倉さんと付き合ってるの?」

草壁くんもあまりに突拍子のない質問にびっくりしたみたいで、少し固まって、

「別に。」と答えた。えっ…それだけ?…もっと強く否定してよ!何なの「別に。」って。何カッコつけてんの。

クラスのみんなも短すぎる答えに戸惑っている。

「いや、別にじゃなくてさー、付き合ってるか付き合ってないか、どっち?」

女子が草壁くんにもう一回聞き直した。でも草壁くんはもう何も答えない。無視している。


クラスのみんなもこの話題に触れてはいけないという空気を感じとって、結局誤解は解けないまま授業が始まった。

なんではっきり否定しないの?ちょっと迷惑だ。

こんな状況でも普通にゲームするのかな?色々気になることが多くて、正直授業どころじゃない。というか今週は全然授業をちゃんと受けられてない。今度のテストは悲惨な結果になるかもしれない。


先生がプリントを配り始めた。前の席から順にプリントが送られてくる。


それにしても、まだ5月なのに今日は風が無いせいかやたら暑い。窓は開いてるけど、ほとんど意味はなさそう。


全員にプリントが行き渡ったみたいで、先生が説明を始めた。プリントに目を通そうとした時、風もないのにプリントがヒラヒラ動いて、私の手からバッと離れた。そしてそのまま窓の外へすごい速さで飛んでいった。あまりに一瞬の出来事で、窓の外を見たままちょっと固まってしまった。


いや、これは草壁くんの仕業…だよね?とりあえずプリントはないと困るから、時間を止めてプリントの回収に向かう。3階の教室から外に行くのはすごくしんどい。時間を止めてるから別に急ぐ必要はないんだけど、なんとなく早く教室に戻らないといけない気がして、小走りで階段を3階分降りる。靴箱で靴を履き替えて、1階の教室の横をプリントを探しながら彷徨う。すると校舎に沿って生えている植え込みの上にプリントが乗っているのが見つかった。はあ、やっと見つかった。またここから階段を登って教室まで帰らないといけない。さすがに疲れたから帰りは歩いてゆっくり帰った。どうせ超能力持ってるなら瞬間移動とかがよかったなと思った。


やっとのことで教室に戻って、疲れたから一口お茶を飲む。一人だけ異常に汗をかいてて、このまま時間を進めるのはなんとなく嫌だけど、そうは言っていられない。時間を進めてまた先生の説明が始まった。


なんか日が経つにつれて草壁くんのゲームが悪質になってきてるような気がする。今日も文句を言いたいけど、放課後残ってたらまた誰かに見られるかもしれない。どうしよう。


放課後。迷ったけど、結局教室に残ることにした。私が残っても草壁くんが帰っちゃうんじゃないかと心配したけど、草壁くんも残ってた。

少し周りを気にしながら、草壁くんが言った。

「いいのか?またこうやって二人でいる所見られたら、ごまかせなくなるぞ。」

「…それはそっちも一緒じゃん。だってしょうがないでしょ。草壁くんと喋る手段がこれしかないんだもん。」

「んー、確かにそうだな。よし、わかった」

草壁くんがそういうと、私のカバンから私のスマホがふわっと弧を描いて、草壁くんの手にうつった。

「え、ちょっと」

私が焦っている間に、何でもないように草壁くんは私のスマホを操作したかと思うと、「はい」とスマホを私の手に戻した。

「ちょっと、勝手に何したの」

「連絡する手段がいると思って、俺のLIKE追加した。あとはこれで話すことにしよう。」

LIKEっていうのは今一番メジャーなSNSだ。

「え、私ロックかけてたと思うんだけど…」

「そんなん超能力使えば解除出来るし」

当然という顔で草壁くんが言う。嘘でしょ。草壁くんの前ではどんなセキュリティも意味がないってこと?

「まあ、これでこれからは放課後残らなくてすむだろ。じゃあ明日でラストだな。最後までよろしく。」

そう言って草壁くんは帰った。


家に帰ってLIKEを確認すると、ほんとに新しい友達に「草壁真人」があった。何か送ったほうがいいのか迷っていると、ちょうど草壁くんからメッセージが送られてきた。

「今日はどうだった?」

「すごい疲れた」と正直な感想を送った。するとすぐに既読がついて、

「お疲れ笑」と返ってきた。誰のせいだと思ってんの。

「日が経つにつれて悪質になってる気がするんだけど」とまた正直に思ったことを言ってみた。すると、

「そりゃゲームだし徐々に盛り上がっていかないとおもしろくないだろ」と言ってきた。盛り上げ方が間違ってる気がする。返事を考えていると、草壁くんからまたメッセージがきた。

「ついに明日でゲームは最後だし、楽しんでよ。じゃあまた明日」

楽しんでよ…か。微妙だな。少し返事を考えたけど、結局新しい話題は話さずに、

「また明日」とだけ送った。


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