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超能力週間  作者: 安田枝美
5/8

ゲーム3日目

水曜日。草壁くんとの変なゲームに付き合わされてから3日だ。ゲームの期間は1週間だけど、土日は学校がないから全部で5日間。今日で折り返しになる。気持ち的にはやっと半分、という感じがする。ずっと草壁くんとゲームをしているけど、草壁くんと話している時間はとても少ないと思う。放課後に一言二言話すだけだから、草壁くんのことは正直まだよくわかってない。なんでこんなゲームをしようと言い出したのかもわからないし、ゲームとか言っているけどその内容はあまり派手な物じゃない。今日は一体どんなことをしてくるのやら。とりあえず、何が起こっても時間を止めるだけだ。少しため息をついて、いつものように周りに注意を払い始める。


チャイムが鳴って1時間目が始まった。1時間目は現国だ。担任の岡本先生の授業ということもあってか、どこか緊張感に欠ける雰囲気。

「この段落は筆者の意見が書いてあって…うわっ?!」

教科書を読むのに夢中になっていた私は先生の声を聞いて初めて前を見た。

すると黒板に置いてある全てのチョークがふわふわと宙に浮いていた。

「えっ、ちょっ、何これっ」

ありえない出来事にパニックになる岡本先生につられて、クラス全体がざわざわとし始める。

まずい。私は急いで時間を止めた。周りが一気に静寂に包まれて、少し落ち着く。とりあえず黒板の前に行って、浮いているチョークを全部溝に置いた。


さて、ここからどうすればいいんだろ。今回はさすがに騒ぎが大きくなってるし、全員が気のせいで済ませてくれるとは思えない。でも、ここで私は気づいた。草壁くんが動かした物を時間を止めて元に戻せば私の勝ちなんだから、そこからどうなろうが私の知ったことじゃない。そうだ。これからどうやってごまかすかなんて、私は考えなくていいことだ。私はチョークを元に戻した。だから私の勝ち。うん、大丈夫。間違ってない。もう後は知らない。ほとんど無理やり自分は悪くないと納得して、自分の席に座った。もうどうにでもなれ!と時間を動かす。周りがまた騒がしくなって、少し落ち着いたように見える岡本先生が注意をしている。

「はい、静かに!もう、どうやったのか知らないけど、誰かがイタズラをしたんでしょう。はい、切り替えましょー」

正直これだけでごまかせるとは思えないけど、みんな先生の本気のお説教は喰らいたくないから、渋々というように静かになっていった。ほんとにこれでいいのか。チョークが浮いた騒動のせいで無駄な時間が増えて、ほとんど授業が進まないまま1時間目は終わった。もう今日のゲームは終わったから、ここからは普通の学校生活だ。何事もなく過ぎる。今週はゲームをしているせいで、何事もない普通の生活により安心する。やっぱり、私が望むのは超能力なんてない普通の学校生活だなあと思う。


そして放課後、また私と草壁くんは最後まで教室に残った。「今日はどうだった?」と、いつものように草壁くんが聞いてくる。

「今日のはほんとに危なかったでしょ。先生が無理やり授業に戻したからよかったけど、あのまま騒ぎが続いてたらどうするつもりだったの?」

「あー、あれはちょっとやばかったな。あんなに騒ぎになると思ってなくて。まあ、あまりにも騒ぎが収まらなかったらちょっと地震でも起こしてごまかそうかなと思ってた。」

こいつ、危なすぎる。ていうか、物を動かす能力って、地震まで起こせるの?色々信じられない。

「あ、地震起こすっていってもさすがに震度3ぐらいまでしか無理だし、この校舎ぐらいしか動かせねーよ?」

そういう問題じゃないと思う。

「まあ、ゲームもあと2日だけでしょ。ゲームにはしょうがないから付き合うけど、今日みたいに騒ぎになっても私は知らないからね。じゃあまた明日」

なんとなく真面目に会話するのが馬鹿らしくなって、今日は私から話を切り上げた。ん、じゃーなー。という草壁くんの間の抜けた挨拶を背中に受けながら、私は教室を出た。この時、私は自分が騒ぎに巻き込まれてしまうということを全く予想出来ていなかった。

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