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超能力週間  作者: 安田枝美
4/8

ゲーム2日目

日付が変わって、火曜日。

草壁くんと変なゲームをすることになって2日目だ。草壁くんが超能力を使うのは1日に1回らしい。だったら早く使っちゃってほしい。そしたらもうあとは普通に学校生活を送れるから。

一週間だけだと思ってゲームをするなんて言っちゃったけど、本当に大丈夫かな。もしかしたら超能力者だってばらすっていう脅迫なんて無視したほうがよかったかもしれない。昨日腹をくくったはずだったのに、すぐに不安な気持ちが頭をよぎる。

ずっと周りに異常はないか、勝手に動いている物はないかと注意を払わないといけないから、正直授業どころじゃない。


1時間目から4時間目まで、私はずっと警戒していた。でも、何も起こらなかった。今日だけで何回草壁くんを見たのかわからない。そして、昼休みも何も起こらないまま、5時間目の音楽の授業になった。


先生のピアノの伴奏にあわせて、みんなで「ふるさと」を合唱しているとき、私は音楽室にかかっているベートーヴェンの肖像画と目が合った。どこの音楽室にもある、機嫌の悪そうなベートーヴェンだ。


すると、ベートーヴェンの目が動いて、キョロキョロと周りを見渡し始めた。草壁くんだ。でも、こんなのどうしろっていうの?時間を止めたところで、ベートーヴェンの目の動きを止めるなんてできない。私が困って何もできないでいると、ベートーヴェンの肖像画がガタガタと動き始めた。周りの生徒も何人かそれに気づき始めたようで、少しざわついている。まずい。とにかく、ベートーヴェンの動きを止めないと。


私は時間を止めて、ベートーヴェンの肖像画に手を伸ばす。それでもギリギリ届かない。ああもう、めんどくさいなあ…私は近くの席から椅子をとって、その上に乗った。やっとのことでベートーヴェンを掴んで、しっかりと壁にかけ直した。椅子を元の席に戻しながら、無駄だとはわかっているけど、草壁くんを睨んだ。めんどくさいことさせやがって!そうして元の自分の立ち位置に戻って、時間をまた動かした。周りはまたざわめいて、みんなの視線がベートーヴェンに集中していた。でももうベートーヴェンは動く事は無かった。「怪奇現象だ!」なんて騒ぐ生徒を、あながちまちがってはないな、なんて思った。


それから後の6時間目は何事もなく終わって、放課後になった。今日はずっと気を張っていたせいか、すごく疲れた。草壁くんと話すために、最後まで教室に残る。別に休み時間に話してもいいのかもしれないけど、話題が話題だし、周りに人がいないほうがいい。約束しているわけじゃないけど、放課後は草壁くんは最後まで教室に残っているから、話す機会を作ってくれているのかもしれない。

「今日はどうだった?」

と草壁くんが聞いてくる。

「いや、なんでもいいけどもっと早くやってほしいかな。ずっと気を張らなきゃいけないから、疲れる。」

「そっか、じゃあ明日からは早めに終わらせるようにするわ。で、このゲームは楽しい?」

「全然。私に何もメリットないし、疲れるだけで全然楽しくない。」

「ふーん。金曜日までには楽しくなるといいな。」

そう言った草壁くんは少し寂しそうに見えた気がした。

「まあ、今週は絶対付き合ってもらうから。明日もよろしく。じゃあな。」

そう言って草壁くんは私の返事も聞かずに帰っていった。草壁くんは人の話を聞けない人なのかな。いつも自分だけ言いたいことを言って勝手に帰ってしまう。

楽しくないもん。「楽しくなればいいな」って、なるわけないでしょ。明日もまた、こんなことが続くのかと少し絶望して、2日目は終わった。

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