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超能力週間  作者: 安田枝美
3/8

ゲーム1日目

月曜日が来た。ただでさえ憂鬱なのに、金曜日にあんなことを言われてしまったから、余計に学校に向かう足取りも重くなる。「ゲームしようぜ」草壁くんのこの言葉が土日の間も頭から離れなかった。私はゲームなんかするつもりはない。草壁くんが勝手に物を動かして、大騒ぎになればいいんだ。私は何があっても絶対動じないと心に誓って、校門をくぐった。


一時間目は数学だ。数学担当の森谷もりや先生は、言っていいのかわからないけど、頭頂部に悩みがあるようで、その・・・はっきり言ってしまうと、カツラをかぶっている。しかもそれが生徒のほぼ全員に知られてしまっているので、なんだか見ている方が悲しくなってくる。

それはそうと、「学校で物を動かす」って、授業中ってこと?いつかわからない。だいたい説明が大雑把すぎる。いや、別に関係ないけど。


高校の授業はだいたい眠い。席が窓際の一番後ろっていうこともあるのかもしれない。と思って周りを見渡すと、ほとんどの人がうなだれてる。席はあまり関係なさそうだ。偶然草壁くんが目についた。珍しくいい姿勢で黒板を見つめている。草壁くんの席は廊下側の後ろから二番目だから、右を向けばちょうど見える。

突然、草壁くんがこっちを向いた。目が合って、なんとなく気まずい。草壁くんがにやりと笑う。なんなの。草壁くんから視線を外して、前を見ると、信じられない光景だった。


森谷先生の、かつらが浮いてる。私はびっくりして、あ、と思った時には遅かった。時を止めてしまった。こんなことできるの草壁くんしかいない。先生のかつらを動かすなんて、性格悪い奴だなあ。


結局、私は草壁くんのゲームにのってしまったことになる。でも、先生のかつらとハゲがみんなに晒される所なんて見てられない。私は席を立って先生の元に向かう。空中で止まっているかつらをわしづかんで、先生の頭に戻す。かつらを触った手を洗いたいけど、とりあえず席に着いて時をもう一度動かす。すると何事も無く授業が進む。ほとんどの人が寝てるから、気づいた人は少ないだろうし、気づいた人も一瞬の出来事だから目の錯覚とでも思うはずだ。被害は最小限かな。

そして私は一日中、また草壁くんが何かやるかもしれないとハラハラしながら過ごした。


そして放課後。みんなが次々と帰っていく中、私は教室に残る。草壁くんにガツンと文句の一言でも言わないと気が済まない。残っててよ、草壁くん。


私の思いが通じたのか、草壁くんは教室に残っていた。みんなが教室から出ていったのを確認して、私のところに来た。

「どうだった?今日のゲームは」

「どうだった?じゃないよ。あんなの先生がかわいそうでしょ。」

「いや、面白いかなと思って。」

「残念だけど全然面白くなかったわ。あと、私もうこんなのやらないから。ゲームだかなんだか知らないけど、超能力なんか使いたくない。」

「ふーん。でも、絶対やってもらうって言ったら?」

「どういうこと?」

「俺とゲームしてくれないなら、バラすよ?浅倉さんが超能力者だってこと。」

…めんどくさ。

「別に言ったらいいんじゃない?小学生じゃないんだから、誰もそんなの信じないよ。」

「そうかな?俺が金曜日に浅倉さんに言ったみたいに、実験の結果も含めて話したら、全員は信じないかもしれないけど、何人かは興味を持つんじゃないのか?そうなると、その興味を持ったやつらにいろいろ聞かれるぞ。あんたはそんなことにはなりたくないんだろ?」

確かに、誰かに興味を持たれて騒がれるなんてことは避けたい。

「わかったよ。やるよ。1週間だけでしょ?しょうがないから、やってあげる。」

「言ったな?もう逃げるのはなしだぞ。それから、細かいルールも説明しとく。俺が物を動かすのは1日1回だけだ。1回終わったら、もうその日はハラハラしなくていい。」

1日1回ね…先に言っといてよ。今日1日ハラハラしてたわ。

「じゃあ、そういうことで。改めて明日からよろしく。」

そう言って、草壁くんは帰っていった。

私も、腹をくくった。もうやるしかない。やるからには、負けたくない。あと、絶対に超能力のこともバレない。


外ではもう夕日が沈みかけていた。

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