プロローグ
超能力っていうのは、人間の普通の能力とは違う特殊な能力のことを言うらしい。まあ、そんなの使える人はそういないと思うけど、その存在自体は認めざるを得ないと思う。
何を隠そう私、浅倉律香がその超能力を使える人だからだ。私は時間を止める能力を持っている。何で普通の女子高生の私にそんな力があるのかというと、多分、遺伝のせいだ。
私の父、浅倉源太郎は物を消す超能力を持っている。あまり使えそうにない超能力だけど、あろうことか父はその超能力を活かして、本当に種も仕掛けもない手品師をやっている。父親ならもっと安定した職業に就いてもらいたいものだ。
その父が言うには、私の時間を止める超能力は、超能力者の中でも選ばれたごく一部の人間しか使えないすっごいレアな超能力らしい。
でも私は父みたいに超能力を活かして生きる気も、そのレアな超能力を誇りに思うこともない。時間なんて止められたってなにもいいことない。小さい頃はよく遊び半分で時間を止めてみたりしたけど、自分ひとりしか動けないし、すぐに飽きる。
だから私は自分から超能力を使う気は全くないのに、この超能力の厄介なところは、自分に使う気がなくても、驚いたり、危険を感じた瞬間に勝手に超能力が発動してしまうことだ。
この前も、クラスメイトの男子が目の前で花瓶を割りそうになったとき、気が付いたら周りがみんな止まっていて、超能力が勝手に発動していた。
私は超能力なんて使いたくない。私は普通の高校生として生活したいのに。
まさか一週間も自分から超能力を使わなければいけなくなるなんて。
もう全部超能力のせいだ。
私の平凡な一週間が、壊れてしまったのは。




