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09

エルメル隊長が部屋を退出した後、僕らは冒険者ギルド内になる訓練場に移動する。

訓練場のスペースはかなり広かった。

既に訓練場には結構な数の冒険者が的に向かって剣を振るったり、矢を射たり、魔法を使ったりと励んでいた。

そんな中、僕はクロハやギルドマスター、他職員数名に連れられて来たことで、かなり注目を浴びていた。

できればひっそりとした場所で試したかったが贅沢を言える立場ではないのでしょうがない。


比較的人がいないスペースまで移動し、そこでギルドマスターが<竜化>を使うよう指示した。

SA無しで<竜化>が発動できるか不安があるけども、頑張ろう。

目を瞑り、SA有効状態のドラゴン姿の半分ぐらいの大きさをイメージしながら竜化>と念じる。

すると、意外とあっさりと発動したようで、体がカっと熱くなり、目を閉じていてもわかるぐらい発光しだした。


目を開けると、SA有効時より低い、高さ4メートルほどだろう、ドラゴンの姿に変身した。

少し首を動かし、自分の体を少し動かしてみると、体感ではSA有効時のドラゴンの姿を小さくしたものに感じる。

どうやら僕の竜化中のドラゴンの容姿は、システム側が決めているようなので、容姿のイメージはしなくてもいいようだ。

ひょっとしたら<竜化>スキルLvがあがれば容姿も変えれるのかもしれないけれども、先は流そうだ。


そんなことを考えていると一気に周りが騒がしくなりだした。


「おいおいすげぇ、ドラゴンだぜ!」

「シークレット種族の一つはドラゴンなのか」

「でけぇ…」

「白いドラゴンとか神秘的ねぇ…」

「綺麗……」

「最初からあんなドラゴンに変身できるなんてバランスおかしいんじゃないのか?」

「いやそんなことよりも美少女がドラゴンに変身するロマンがだな」

「あの儚そうなお嬢様系美少女が変身するドラゴン姿も気品を感じるな」

「美少女ドラゴンハァハァ」

「よく考えたら今って全裸なんじゃね?」

「「「お前天才か」」」




……うん、後半は聞かなかったことにしとこう。

美少女やらお嬢様系とかの単語も聞こえたけど幻聴だろう。

そういうことにしておく。


ギルドマスター達の方を見てみると、ギルド職員の人達は驚いたり少し怯えたりと反応をしていたが、ギルドマスターは腕を組んだまま平然としているようにみえた。

さすがは冒険者ギルドのギルドマスターさん。

そう思っていたけど、それから一向に動く気配が無くよく見てみると白目を向いていた。

おいギルドマスター。

冒険者ギルドの長が職員の人より肝が小さいってそれでいいのだろうか。


ちなみにクロハは何故か胸を張ってドヤ顔をしていた。

他の男性プレイヤーが顔赤くして凝視してるからやめたほうがいいと思う。



暫くしてようやく再稼動したギルドマスターがどの程度の物まで持てるのか確認したいと言った。

まずは色々備品等が入った大きな木箱をまず指定された。

持ってみると軽々と持ち上げることができた。

多少小さくなってもステータス上昇効果は十分期待できるようだ。

ついでにギルドマスターが同じような木箱がまだ5箱ほどあるらしいので、今も持ってる木箱も含めて移動させてほしいと頼んだので頷く。

ドラゴン姿で歩くと人よりは移動が早いが効率が悪いので<飛行>スキルを使用して低く飛んでみた。

「おおっ」といたるところから驚きの声と感嘆の声が聞こえてきた。


一つ運び、また木箱の場所に戻ると、職員の人達が5箱全てを縄で纏めていた。

歩くと1個づつぐらいしかもてないけれど、確かに<飛行>を使えば安定して運ぶことができそうだ。

縄の持ちやすい場所を確認して、<飛行>を使用。

多少は重くはなってはいたけれどまだ余裕があって、<飛行>も問題なくできた。

運び終えて戻ってくるとギルドマスターはニヤリと笑って、うんうんと頷いて職員の人達と何か熱烈に話をしていた。


ギルドマスターが職員との話を終えるまで待機していようとおもっていたら、周りで訓練していた冒険者もいつの間にか集まってきていた。

見られているのは恥ずかしいので、僕は黙ってぺたんと座った。

すると


「なにこの可愛いドラゴン」

「大きいのに恥ずかしがってる姿にギャップ萌えだわ」

「恥じらう姿にトキめいちゃったわ。これが恋かしら」

「早く人の姿にならないかなwはやくwはやくwはやくw」

「ドキがムネムネしてきた……」

「ミツキ姉さん可愛いです……」

「きっと今人の姿に戻ったらあの可愛らしい顔が真っ赤で……ふぅ」

「ドラゴンちゃんみてうっとりしてるエルフちゃんも可愛すぎるここは天国か」

「美少女ドラゴンちゃんと美少女エルフちゃんは私の嫁よ!」

「よろしい。これより聖戦を行う」



……なんなのこの冒険者(ヒト)達は。

もっとまともな人はいないのか!

というかクロハさん、さり気なく混じって何を言ってるんですか。

貴女もロックオンされてますよ!


職員の人達との話を終えたギルドマスタがーが僕の方に近寄る。


「どうだ、余裕だったか?」


僕は頷く。


「そうか。それで、腹のほうは大丈夫か?」


そう問われ、まだお腹は余裕がある感じだったので頷く。


「分かった。それじゃあ、もう暫くそのままの姿でいてもらってもかまわんか?どのぐらいの時間その姿を保てるのかも見ておきたいんでな」


その言葉を聞いてこれも頷く。

しかし、お腹が次空くと食べ物を買うお金が無いから少し困るな。

そう思ったのでクロハをちょいちょいと手招きして地面に文字を書いてギルドマスターに伝えてもらう。

文字書いてるときも「何これ可愛い」とか言われたけど、キコエナイコトニシタ。

僕の書いた文字のことをクロハは伝え、それにギルドマスターは頷く。


「ああ心配せんでいい。お前さんがさっき運んでくれた木箱の礼も兼ねて職員に料理を準備させるから」


その言葉を聞いてホっとする。

そのとき思わず犬のように尻尾をブンブンとしてしまい、また周りが騒ぎだしたことは省略する。

尻尾での感情表現って無意識になるんだなと思い、今後は注意することに決めた。



それから僕は竜化中の姿でついでに<息吹>を試すチャンスだと思い、クロハを通じてギルドマスターに伝えてもらい、了承をもらった。

もしもの為に用に壊れてもいい的を選んでもらった。

集まった人達もこれから何が起きるか興味津々のようだ。




さあ、いざ<息吹>(SA有り)――




――カッ!!




――ドゴンッ!!





――ゴオォォォ……





――結果、僕のドラゴン姿と同じぐらいの高さの火柱が立ちました。

的?そんなものは消えてなくなりました。


周りに居た人は皆唖然としていた。

ギルドマスターにいたっては「ふえぇぇ……!」って叫んでいた。

うん、街の外にでたときに試さなくて良かった!




それから3時間が経過したぐらいで、竜化が解けた。

どうやら空腹になりすぎると自動で竜化が解けるようだ。

人の姿に戻った僕は、一歩も動けずすぐ座りこんだ。

僕が座る際、クロハが素早く支えてくれた。


それからすぐに、ギルドマスターが職員に料理を用意するように手配してくれた。

料理が用意されるまでの時間、僕はクロハや集まった冒険者、ギルドマスターの人としばし談笑を楽しむことにした。



――ぐきゅーきゅるる


――嗚呼、どんな料理が来るのか、楽しみだなぁ。




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