豆乳女・豆乳ラーメン女
私は限界だった。
知らない人が二人もいる空間でなにもしないで、ただ座っているのは限界だった。
そしてお腹が減っていた。
豆乳ラーメンのために、ここまでの道のりでは豆乳を飲まないでお腹を空かせてきたのだ。
「さあ、皆さん。なに食べます」
私は豆乳ラーメン一択なのでメニューを向かいの二人に渡す。
「俺は味噌しか食わないからお前見ろよ」
「えーと。何が美味しいんですかね?」
「お前・・・そのくらい自分で決め」
「豆乳ラーメン美味しいよ!!」
「・・・え?」
やってしまった。
隣で佳子が隣で馬鹿笑いしている。
好きなものを薦める時、私はテンションが上がってしまう。
「豆乳ラーメンってなんですか?」
「珍しいだろ?」
「あ、はい。って先輩はここの店知ってるんですか?」
「知ってるも何も」
「私と五郎は大学の頃からよく来てるもんね!」
「ん?あぁ。そうだな」
山田さんの話を遮るような形で佳子が言った。
よっぽど仲良いんだなぁ。
「で、なんなんですか?その豆乳ラーメンって」
「文字通り豆乳のラーメンだ」
「なんならまこちゃんに語らせようか?」
「ちょっと佳子っ!冗談やめてよ!」
「はいはいわかりましたよー」
これは全然わかってない。
「そんなに気になるなら食べてみたらいいじゃないか」
「そうします」
というわけで、山田さんが味噌、佳子がじゃがバタコーン、私と佐々木さんが豆乳ラーメンを注文した。
「ごちそうさまでした!めっちゃうまかったです!」
「おう!そうかそうか!うちの真琴が薦めたラーメンなんだから美味しいに決まってるさ!」
「おごったのは俺なんだからまずは俺だろ」
アハハハと笑いながらお店を出てきた。
この頃には私も二人に慣れてきていた。
「そういえばなんで私を連れてきたの?」
忘れていたが、今思い出して佳子に聞いてみた。
「え?特に理由はない!」
「えぇ!?」
「なんとなく五郎に会わせようかなーって思ったから連れてきた!」
相変わらずの気分屋というかマイペースというか。
そこが佳子のいいところでもあるんだけどね。
「あ。そういえば。佳子さん」
佐々木さんが思い出したかのように佳子にたずねた。
「あの・・・あれ?なんてタイトルでしたっけ?」
「あれか。『通常』だな」
「『通常』がどうかしたの?」
「こいつが貸して欲しいんだってよ」
「はい。さっきアニメショップで読んでたら意外と面白くて」
「ふむ。君はなかなか見どころがあると見た。よし。お姉さんが貸してあげよう!」
腕を組んで偉そうな態度の佳子。
「で、どうやって貸せばいいの?」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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