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豆乳女・チョコまん

本編はここで最終回です。

私の家に寄って、近くのバス停からバスに乗り、和くんの家の近くまでやってきた。

ホントは電車のほうが近いらしいんだけど、私の家に寄ったせいで遠回りになってしまったため、今日はバスで向かった。バスで行くと少し歩いてしまうらしい。

そして10分ぐらい歩いたけど無事到着。


「いやぁ、意外と歩きましたねー」

「私は常に徒歩通勤だから問題けどねー。それに肉まんと豆乳も奢ってもらっちゃったし」

「約束は約束ですからね」


二人で肉まんを買ってきた。ホントは私の分だけ買う予定だったんだけど、和くんも見てたら食べたくなったんだって。

だからDVDを見ながら食べる予定だ。


「じゃあさっそく見ますか」

「わくわくわくわく」

「テンション高いですねー」


笑いながら準備する和くん。

たしかに私のテンションは高かった。

それは『通常』のDVDが見れるからではなくて、和くんの家に来たからだ。

和くんの家は1Kのマンションなんだけど、何よりも物が少ない。

ベッド、テーブル、テレビ、PS3(ゲームはあんまりしないから主に再生用らしい)、あとは冷蔵庫とかの必要最低限の家電がキッチンの方にあるだけだった。

巨大本棚のある私の部屋とは大違い。


「じゃあ再生しますよー」





放映終了。


「いやー笑った笑った!」

「僕も二回目ですけど、腹筋割れるかと思いました!」

「もう割れてるじゃん!」

「なんで知ってるんですか?」


アハハハと笑った。

DVDは予想以上に面白かった。

漫画を読んでいない私でも十分楽しめた。


「結局肉まんも食べませんでしたもんね」

「そうだね」

「しかも豆乳が・・・」

「いや、だってあれはシャケが!!」


せっかく奢ってもらった豆乳をストローで吸った瞬間に、画面の中で女の子の上にシャケ落ちてきて、笑って吹き出してしまったのだ。


「あれはシャケが悪い!」

「え?」

「あ、いや、すみませんでした」

「まぁ面白かったんでいいですよ」


爆笑しながらティッシュと台ふきで掃除してくれた和くんには頭が上がらない。


「DVDも見終わっちゃいましたね。何します?」

「とりあえず肉まん食べたい」

「じゃあ冷めてるんで温めてきますね」


そう言って肉まんを持って台所へと向かった。

私も暇だったからついて行った。


「なんでついてきたんですか」

「だって見たかったんだもん」

「何も見るものないですよ」

「いいからいいから。気にしないで」

「そんなこと言われても・・・気になるんですけど」


レンジに肉まんを入れる和くん。

なんとなく冷蔵庫を開ける私。


「わぁ」

「あ、ちょっと!何見てるんですか!」


思わず声が出てしまった。

冷蔵庫の中には栄養ドリンクはもちろんだけど、意外と食材が沢山入っていた。


「もう!恥ずかしいじゃないですか!」

「和くんって料理するの?」

「やっぱり一人暮らしだと外食ばっかりだとキツイですからね。って栄養ドリンクは取らないで!」


やっぱり和くんをイジるは面白い。

ピー。


「あ、ほら!肉まんできましたよ!もう!向こう戻ってください!」

「はーい」


からだでグイグイと押されて部屋の中に戻った。


「なんであんなに冷蔵庫ばっかり見てるんですか・・・」

「じゃあ何見てれば良かったの?」


いじわるしてみた。


「まぁたしかに見るものとかないですけど。ほら、俺とか見てたらいいじゃないですか」

「じゃあ今見てもいい?」

「ダメです。さっき限定です」

「えー!」


和くんが反撃してきた!

これはちょっと予定外。


「ほら。肉まん冷めますよ」

「うん。いただきます」

「いただきます」


うん。この時期は肉まんが美味しい!

・・・あれ?なんか和くんの肉まん色が変だ。


「それ何まん?」

「これですか?チョコまんですけど?」

「あんなの食べる人居るんだ!」


チョコまんはいつも気になってたけどなかなか手を出しにくい中華まんの一つだった。

肉まんと同じケースに入っていて、他にも時期によってはハンバーグまんとかプリンまんとかある。


「あんなのとは失礼な。意外と美味しいんですよ?」

「なんかすごい甘そう」

「まぁチョコですからね。俺は甘いの好きですもん」

「ねぇ。私にも一口ちょうだい?」

「いいですよ。はい、あーん」


和くんの差し出したチョコまんの真ん中にかぶりついた。

和くんが「なんで真ん中に・・・」とか言ってたけど気にせず咀嚼する。

モグモグ。うん。甘い。

パンにチョコ塗って食べてるみたいだ。


「どうです?」

「あまい」

「まんまじゃないですか」


甘すぎて豆乳飲みたくなってきた。

テーブルに置いてあった豆乳のパックに手を伸ばして中身を吸った。

うん。美味しい。


「豆乳に合うね」

「どうして豆乳中心なんですか。そろそろ俺にも肉まん食べさせてください」

「え?」

「え?ってくれないんですか?」


見つめ合う二人。

その瞬間。和くんの手が私の肉まんを持っていた左手をつかんだ。

そのまま引き寄せて一口。


「あー!」

「フフフ。モグモグ。油断大敵ですよ。モグモグ」

「むー」

「そんなに唸らないでください。おあいこですよ」


たしかに一口ずつ交換だけど、口の大きさが違う。

明らかに和くんのほうが食べている。


「和くんのほうがたくさん食べた」

「一口は一口ですよ。真琴さんだって真ん中の一番美味しいところ食べたじゃないですか」

「なら私のも真ん中食べたらいいのに」

「肉まんの真ん中食べたら・・・ぷっ!」


和くんが急に笑い出した。


「何?」

「真琴さん。チョコついてますよ」


きっとさっき食べたときだろう。

ほっぺを指さす和くん。

それを見て指で拭ってみるけど、チョコはとれない。


「違いますって。こっちですこっち」


近寄ってきて、ほっぺについてるチョコを指で取ってくれた。

お礼を言おうとしたら今度は顔が近づいてきた。

今度は唇にキスをされた。


「え?何?」

「チョコがついてたんです」

「そーゆーことか。和くんの口にもチョコ付いてるよ?」

「取ってください」


私は自分の唇で、和くんの唇についていないはずのチョコを取りに行った。

和くんの唇は肉まんの味がした。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


前書きでも言いましたが、ここで本編は最終回となります。

終了を迎える理由は次のあとがきにて書かせていただこうかと。


というわけで次回の真の最終回もお楽しみに!!

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