豆乳女・高倉真琴の生活
豆乳女の友達登場
私、高倉真琴25歳は豆乳好きである。
健康のためにとかで豆乳を飲んでいる訳ではなく、ただ単に豆乳が好きだから飲んでいる。
現在、街の中心部にある書店で社員として働いている。
「はぁ・・・売上落ちてきてるって言われてもねー」
お昼休憩の休憩室で、パックの豆乳をくわえながら、同僚の山田佳子と話していた。
「でもまこちゃんのとこは一般書籍だからいいじゃん。うちなんか漫画だよ?このご時世何がヒットするか何かわからないって」
「でも得意分野なんでしょ?」
「まぁね。かなり勉強したし」
佳子とはここの書店に勤め始めてからの仲だ。
昔の彼女を知らないけど、簡単に紹介するなら彼女はオタクだ。
前からと言うわけでもなく、この書店に務めて漫画担当を与えられた時から勉強をしたらしい。
漫画担当として、漫画に関する知識を得なければ働いていけないということで、いろいろな作品を見たらしい。
とはいえども、そんじょそこらのガッツリしたお店ではなく、一般書籍のお共に漫画も置いてるような書店なので、深い知識は必要ないんだけど・・・
「そういえばこの間のアニメ見た?」
「え?どれ?」
「だから何回も見てって言ってたやつ。シスコン高校生が国を相手に仮面かぶって戦ったりするやつ!」
なぜか向こうの世界に引きずり込まれたみたいで、私を向こうの世界に引きずり込もうとしている。
「いや、私は見ないってば」
「このわからずやが!」
私の目をのぞき込んでくる佳子。
「アニメを見るんだ!!」
「見ません」
「うわー。これで反応しないとかホントに見てないんだね」
「なんで嘘つかなきゃならんの」
どんだけのめり込んでるんだ。
一つ目の豆乳を飲み終わったので、二つ目を開ける。
「あーあ。私にもナイトメアに乗った王子様が現れないかなぁ」
「悪夢に乗ってくるの?」
「もういいよ!」
アハハと互いに笑いあった。
私と佳子は仲が良い。
プライベートでもよく遊びに行ったりもする仲だ。
人見知りな私は、書店勤めが始まった当初、あまり職場に馴染めずにいた。
お昼休憩も休憩室を使わずに外で食べていた。
3日ぐらい経ったある日、いつものようにお昼休憩で外に出ようとしていた時だった。
「あ!いたいた。高倉さん」
「えーと・・・山田さんでしたっけ?」
「私たち同期だよ?同い年だよ?もっとフレンドリーにいこうよ!」
「え?同い年?」
「うわー。忘れてるし。私ショックだわー」
「なんかごめんなさい」
「別にいいよ。なんか食べに行くの?」
「うどんとか食べに行こうかなーって思って」
「うどん!?なんて色気のないやつ」
「色気!?」
「よしわかった。ラーメンに行こう!」
「ラーメンも色気ないけどねー」
「細かいことは気にしない」
その時から私と佳子の関係は始まった。
彼女は明るくて気さくなかわいい子だった。
私の場合顔見知りとは言っても最初に話かけるのが苦手なだけで、対人恐怖症とかではない。
私が豆乳を飲んでいても全然気にしてない。
「豆乳好きなの?」
「うん」
「私と豆乳ならどっちが好き?」
「豆乳」
「即答かよ」
こんな感じでよく話している。
私にとっては豆乳より好きなものなんてない。
2番目に佳子。3番目に本。みたいな順位だ。
「そういえばまこちゃん、今日このあと空いてる?」
佳子が私に予定を聞いてくるということは・・・
「空いてるけど、荷物持ちは嫌だよ?」
「今日は一緒についてきてほしいだけだって。何も荷物は持たせないからさ」
「ラーメンおごってくれるんでしょ?」
「もちろん!」
「ならば行ってやらんこともない」
「ありがたき幸せ!」
今日は佳子の好きなアニメの何かが発売する日なのだ。
それ関連の日が近づいてくると私の予定を聞いてくる。
しかもきまってラーメンをおごってくれる。
そこのラーメンが美味しいんだわ。
豆乳ラーメンっていって、豆乳スープの中にラーメンが入ってるんだけど、佳子に連れてってもらってからは病みつきになってしまっている。
「じゃあ終わったらいつものところで待ち合わせね」
「イエスマイロード!」
「・・・え?」
ここまで読んでいただき嬉しい限りです。
ここから本編スタートとなります。
これからもお付き合いください。




