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豆乳女。豆乳ケーキの魔力

豆乳ケーキは美味しいですよ。

みなさんも是非作ってみてください。

まさか初挑戦のケーキを佐々木くんに食べてもらうことになるとは思ってもみなかった。


「これが豆乳レアケーキですか」

「うん」


互いに初めての食べ物にドキドキしている。

多分豆乳の味がするケーキなんだと思っている。

作り方は簡単。

豆乳とゼラチンと砂糖を温めながら溶かして、氷水で冷やしたら、泡立てておいた生クリームとレモン汁を垂らして冷やすだけ。


「これ作るの大変だったんじゃないですか?」

「いや、簡単だったんだけど、ちょうどいい器が無くて・・・」


一人暮らしでお菓子を作らないような家に、ケーキを冷やすための器が存在している方が不思議だ。


「それでどんぶりなんですね」


佐々木くんはアハハハと笑っている。

なんか恥ずかしくなってきた。

冷やす時間もほぼ丸一日冷蔵庫に入れていた。

色々と計画性が無いのは自分でもわかってるけど、こうなるなら器ぐらい買っておくべきだった。


「さすが高倉さん」

「どういう意味よ」


答えによっては豆乳ケーキにケチャップをかけて食べさせてやる。

我ながら恐ろしいことを考えていると思う。


「几帳面に見えて計画性が無いってことです」

「もういいです。佐々木くんはもう帰ってください!」


泣きたい。シクシク。


「違いますよ!バカにしてますけど、そこが高倉さんのいいところなんですから大事にしていきましょう」

「バカにしてるんじゃん!」

「もう・・・そんな高倉さんが好きなんですよ!」


ちょっとこのタイミングで言うなんて反則じゃないの?

一発レッドで退場だよ!


「・・・どうせ扱いに面倒になったから言ったんでしょ?」


嬉しかったけどさ。


「どうしたんですか?」

「ちょっと心に傷を負いました」

「マジですか。言いすぎました。ごめんなさい」


素直に頭を下げる佐々木くん。

このまま取り返しがつかなくなっても困る


「・・・今度豆乳と肉まん買ってくれたら許す」

「わかりました。今度買いましょうね」


子どもをあやすみたいに頭を撫でられた。

一気に顔が真っ赤になったのが自分でも分かった。

今日、反則技使いすぎでしょ!


「じゃあ気を取り直して・・・」


改めてどんぶりの中に入っている白い物体を見る。

これ・・・ひっくり返してお皿に乗せたほうがいいのかなぁ?


「高倉さん。これ皿にひっくり返すの怖くないですか」

「私も思ってた。なんか形が崩れてぐちゃぐちゃになりそうな気がする」


それにどんぶりと皿をガチャガチャぶつけるのも好ましくない。


「じゃあこのまま食べますか」

「そうだね。スプーン持ってくるね」


スプーンを取りに行ったのは良かったのだが・・・


「なんでサイズ違うんですか?」

「だって一人暮らしだもん」

「だもんって・・・」

「佐々木くんにもスプーンを貸してあげるから、それで勘弁して!」


わかりましたよ、と言ってスプーンを受け取る佐々木くん。


「ではいただきます」

「いただきます」


大きいスプーンでガバっとすくってガバっと一口食べる。

ごくん。

なんかケーキって言うよりも、プリンに近い。これ成功してるのかなぁ?


「どう?」


恐る恐る訪ねてみる。


「ん?普通に美味しいですよ。でもケーキじゃないですよね」


同じことを思ってたみたいだ。


「なんかアレみたいな感じです。えーと・・・食べたことがあるんですけど・・・」

「あ、牛乳プリンじゃない!?」

「それです!実際豆乳の味もほとんどしないんで牛乳プリンに近いですよね!」

「だよね!」


牛乳プリンの上に若干生クリームをかけたような味だった。


「これって成功なのかなぁ?」

「成功じゃないですか?高倉さんめっちゃ食べてますし」


はっとして気づいた。どんぶりを見ると、半分以上を私の大きいスプーンが平らげていた。


「あ、ごめん。食べ過ぎちゃった。大きいスプーンだったからつい」

「つい、って量じゃないですけどね。あー!落ちる落ちる!」


佐々木くんが慌てて台ふきを取って支えてくれた。

私の持っていたスプーンからプリンが落ちそうになっていた。

慌てて私もスプーンの下に手をやる。

しかし時すでに遅し。

もうズボンの上に落ちていた。


「あちゃー」

「あー・・・」


台ふきを受け取ってズボンを拭く。

ほぼ水分で出来ているため、すぐに拭き取れた。

ズボンを横からのぞき込んでくる佐々木くん。


「シミとかにならなさそうでよかったですね」

「うん」


ふと顔を上げると佐々木くんの顔が目の前にあった。

きっと思ってることは同じだったと思う。


「あ、ごめん」

「あ、すみません」


ほぼ同時に顔を背けて謝った。

またキスしちゃうかと思った。

でもあの時は勢いと雰囲気でしてしまっただけで、改めて考えると爆発してしまいたいほど恥ずかしい。

赤面する佐々木くんを見ると、同じことを考えていると思う。

でもこのままもマズイよね。

ちょっとぐらいなら進展しても問題ないよね。


「ね、ねぇ。キ、キスしよっか?」


私は何を言っているのだろうか?

まだ手もつないだ事無いのに飛躍しすぎたと思ってる。

佐々木くんも驚いた顔をしている。

でも言ってしまったものは仕方ない。

仕方ないけど恥ずかしい。

恥ずかしい!恥ずかしい!

自分から言っておいてなんだけど、すごい恥ずかしい!

どんな顔すればいいのかわからない!

もうよくわからなくなってきた!

私ってこんなキャラじゃなかったはず!

無計画でクールなお姉さんキャラだったはずだ!(自称です)


「いいんですか?」


私に聞かれても困る!


「嫌なの?」


なんでそんな答えしたんだ!私のバカ!


「じゃあ・・・」


ズイっと佐々木くんの顔が近づいてくる。

佐々木くんに見つめられるとよくわからなくなってくる。

ここまできてちょっと待って!なんて言えない。


「真琴さん」


急に名前で呼ばれて驚いた。

こんな近距離で、心臓のドキドキが聞こえてしまわないだろうか?


「今度から名前で読んでもいいですか?」

「・・・はい」

「なので真琴さんも和って呼んでください」


頑張れ!私!


「か、和、くん・・・んっ」


最後はキスで口を塞がれた。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

どんどん仲を深めていく二人。

そして作者の思い描いていた内容からどんどん外れていく二人。

僕自身も二人の行方を見守っていきたいと思いますww


と冗談はさておき。

次回は番外編を挟みます。

本来はこうなるはずだったけど、ボツになった豆乳女と栄養ドリンク男の物語です。

パラレルワールドだと思って、佳子視点でお楽しみください。


追記:途中でスプーンのサイズを間違えていたので修正しました。

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