豆乳女・高いところ?
これからまた本編です。
『どこか高いところ行きませんか?』
ある日、私は仕事が終わって帰りの仕度をしていた。
いつものように鞄をロッカーから取りだし、スマホのメールを確認したら、佐々木くんからメールが来ていた。
件名も何もなく、本文にあの文章が入っていただけだった。
とりあえず帰りながら(豆乳も飲みながら)考えてみた。
『高い』・・・値段。地上からの距離。敷居?こんなの使わないか。
あと何かあるかなぁ。
・・・天国?空の向こう?
なんか良くわからないや。
考えるのを放棄して、佐々木くんにメールを送った。
『高いところって何?』
私と佐々木くんが付き合い出してからだいたい4日たった。
その間も何回かメールもしたけど、互いに短い文章を何回か送り合うだけだった。
というよりは、何かある時は互いの仕事終わりに待ち合わせ、ご飯を一緒に食べたりとかもしたので、メールをする機会が少ないのも事実。
そんな佐々木くんとの関係が続けてきたけど、こんな内容のメールを突然送り付けてくるとは一体何事なのだろう。
『なんとなく送ってみただけです』
返信が返ってきて、こう書かれていた。
なんだそれ。ちょっと佐々木くんらしくない感じがしたので、思い切って電話をしてみた。
「もしもし」
『あ、こんばんわ。どうしたんですか?』
数コールで出た佐々木くんの声は、なぜか少し笑っているように聞こえた。
「さっきのメール何?」
『ちょっと思ったことを送ってみただけですって。深い意味はないですよ』
やっぱり笑ってる。
「さっきからなんで笑ってるの?」
『え?なんですって?』
「だから。なんで笑ってるの?って言ってるの」
『それはですねー・・・』
後ろから誰かが走って私を追い抜いた。
そして振り返った。
「『偶然高倉さんを見つけちゃったからです!!』」
スマホと目の前の人物から同じセリフが聞こえた。
振り返った人物はなんと佐々木くんだった。
「えへへ。びっくりしました?」
「そりゃビックリするわよ」
「いやー偶然ってすごいですね!」
「でも・・・佐々木くんの家って逆方向じゃなかったっけ?」
「あ、バレちゃいましたか」
「もしかして私に会いに来たの?」
アハハ、と言って頭をかく佐々木くん。
どうやら図星だったみたいだ。
「でもまたなんで急に来たの?先に言ってくれれば待ってたのに」
「高倉さんの書店の前で待ってたんです。でもなんか考え事してるみたいで声をかけにくかったんです」
「そんなに前から見られてたの!?」
「で、メールが来たから内容見てみてら、さっきのなんとなく送ったメールのこと考えてたんですねーって思って、なんか面白そうだったんで後ろに付いて歩いてました」
なんと。そんな前から見ていたとは・・・
でもそれではまるで・・・
「ストーカーみたいだね」
「え!?」
「・・・あ、警察ですか?ここに」
「いや!ちょっと!すみませんって!勝手に付いてきたのは謝りますから!」
スマホを取り出して電話を掛けるフリをすると、佐々木くんは慌てて謝り始めた。
「アハハハハハ!取り乱しすぎ!掛けてないって。掛けるフリだけ」
「なんだぁ。驚かさないでくださいよぉ」
「先に驚かせたのは佐々木くんのほうでしょ」
「まぁそうですけど」
「で、なんで来たの?」
「実は先輩から聞いたんですけど、豆乳を買いすぎたとかなんとか」
「うっ!」
山田さんから聞いたってことは、佳子が言ったのか。
佳子めー!
「で・・・って高倉さん?どうしたんですか?」
「いやなんでもない。それで?」
「で。それの処理を・・・って処理って言ったら変か。えーと。量を減らしにきました」
「なんとまぁ・・・」
なんか言いずらいなぁ・・・
「実はもうほとんど無いんだよね」
「え?」
「あと2本しか残ってないかな」
「だって4日ですよね?」
「私ね。一日1本ぐらいなら普通に飲めるんだよ」
「す、すごいですね」
「まぁね。もう豆乳無い・・・訳じゃないけどどうする?」
「どうしましょうか」
私に聞かれてもなぁ・・・あ。
「じゃあ今から家くる?」
「いいんですか?」
「どうやって豆乳を減らしてくれるつもりだったの?」
「えっと・・・」
「でしょ?じゃあいろいろご馳走してあげるからおいでよ」
「まさか高倉さんの手料理が?」
「男性諸君は手料理に惹かれるんだね」
「あ、いや、そーゆーわけじゃないですけど!」
「また心の声ってやつ?」
「あ・・・はい」
「でも心の中では思ってくれたんでしょ?」
明らかにうろたえる佐々木くん。
だんだんからかうのが楽しくなってきたけど、あまりからかいすぎても可哀想だしこのへんにしようかな。
「じゃあこうしてるのもアレだし行こっか」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とかあれば書いていただけると執筆意欲が高まります。更新速度も上がるかも。
次回もお楽しみに!




