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豆乳女・閑話~山田佳子の訪問

閑話その1

「お祝いに豆乳でも買っていってやるか」


そう思ってコンビニへと足を向けた。


友達のまこちゃんからメールがあった時、ちょうどいつも行っているアニメショップを出たところだった。

そのまま電話をして、付き合ってるって聞かされた時は驚いた。

主人公がモブキャラにフルボッコで負けるくらい驚いた。

でも友達に彼氏が出来たのはとても喜ばしいことだ。

しかも二人を会わせたのは、この私なんだから感謝してもらわないとね。

色々考えながら豆乳を買い、まこちゃんのマンションがあるほうへと歩きだした。


しばらく歩くと佳子のマンションが見えてきた。

4階建てのマンションでそれなりに新しい。

こんないいマンションの3階に住んでるなんて真琴さん。マジパネェっす!

マンションの玄関に入ると、インターホンでまこちゃんの部屋の番号を押す。

プルルルルルル・・・


「トゥルルルルル」


この音を聞くと、なんでも電話と勘違いしてしまう二重人格の少年を思い出す。


「っていないのかよ!」


なかなか出てこないインターホンにツッコミをいれると玄関を出た。

まだ帰ってないのかなと思い、当たりを見回していると家主が帰ってきたのが見えた。


「あれ?佳子。早くない?」

「近くに居るっていったじゃん。ってなにその豆乳の量!」


まこちゃんが持っていたビニール袋を見ると、大きい豆乳さんがたーくさん☆

1、2、3、4、5、6本!?


「あぁこれ?なんかセールやってて、2本でお買い得だったからちょっと買いすぎちゃった」

「買いすぎってあんた・・・」


程があるだろよ。この子恐ろしいわ。

賞味期限とか大丈夫なのか?


「あ、賞味期限なら大丈夫。これに書いてる豆乳ケーキ作るつもりだから」

「え?豆乳ケーキ?」

「そうそう。これね」


そう言って豆乳さんを一本取り出し、後ろの面を見せてきた。

そこには豆乳レアケーキの作り方が書かれている。


「こんなに作るの?」

「だってちょっと大きいの作れば2,3本は使えそうじゃん」

「でもこれって一つ作るのに300mlしか使わないみたいだよ?」

「え?」


驚いて豆乳を見るまこちゃん。

きっと1本で1個だと思ってたんだろうなー。


「佳子。どうしよう」

「私に聞かれても困る。とりあえず部屋行こうか」



家の中に入って、豆乳を冷蔵庫に押し込んだあと、ひとつの部屋に入った私たちはそれぞれ所定の位置に腰掛ける。

まこちゃんは座椅子。私はその向かいのベット。

まこちゃんの部屋は2DKのマンションだ。

しかしちょっと部屋の感覚がおかしいまこちゃんは、ひとつの部屋にテレビ、ベット、本棚、テーブルなどの生活の中心になるような家具を全部詰め込んでいる。

もう一つの部屋はパソコン(最近使っていないらしい)とパソコンラックと服の入っているタンスが置いてあるぐらいで、なんとも殺風景な光景になっている。

そして私たちは賑やかな部屋の方にいる。


「豆乳どうしよう・・・」


クッションを抱えて三角座りするまこちゃんは可愛かった。

だが今は豆乳なんかよりも佐々木くんの話だ。


「そんなことより!どうやって彼と付き合ったの!?」

「え?どこから説明すればいいのか・・・」

「最初から!全部!」


そう言うとまこちゃんは大まかに話してくれた。

私の代わりに本を渡したこと。一緒に買い物したこと。ご飯を食べたこと。送ってくれたこと。助けてもらったこと。告白されたこと。

それらにその時の思ったことを加えながら話した。

後半は聞いてるこっちが恥ずかしくなってきたが、まこちゃんを見ると思い出しながら照れているようで、クッションを抱きしめる力が強くなっていた。


「・・・というわけです」


こんなに顔が真っ赤になっているまこちゃんを見るのは初めてかもしれない。


「で。どうなの?」

「どうって?」

「全体を通しての感想ってゆーか、今の気持ちみたいなの」

「今の気持ちかぁ・・・なんかフワフワしててほっこりしてる感じ」

「何それ!わかりにくいよ」

「うーん・・・まだ実感がないっていうのもあるんだけど。ほら、昨日の今日だし。でも佐々木くんのことはすごい好き」


なんだろ。すごい恥ずかしくなってきた。

私もこんな恋をしてみたいな。


「あ」

「え?」


さっきまでのフワフワした空気を吹き飛ばすような間の抜けた声を上げた。


「なした?」

「いや、メール返すの忘れてた」

「佐々木くん涙目」


好きって言った直後にこれかよ。

さすが私の認めた女だ。


「よし!電話しよう!電話!」

「でも電車の中だったら・・・」

「ほら!善は急げって言うでしょ!」

「でも急がば回れって・・・」

「文句言わない!」


はいはい、と言ってまこちゃんはスマホで電話をかけ始めた。


「あ、うん。こんばんわ。私。今大丈夫?・・・佳子に聞いたら、別に気にしてないって。・・・うん。だから大丈夫だって」


なにを話しているのかわからないけど、私も話したくなってきた。


「ちょっと代わって?」

「え?あ、佳子が代わって欲しいって・・・うん。じゃあ代わる。はい」


まこちゃんからスマホを受け取り、ふざけてやろうと思った。


「あー。君が真琴の彼氏かね?」

『え?あ、はい』


できる限りの低い声で話した。

フフフ。困惑してるな。


「私の本を落としたっていうのはホントかね?」

『あ-・・・すみませんでした』

「まぁそれはいいんだよ。中のDVDは無事かね?」

『あ、それは無事でした。本とか角が折れちゃってますけど大丈夫ですか?』

「私は中が読めれば問題ないから大丈夫さ」


飽きてきたので、急に声をもとに戻した。


「そんなことより、まこちゃんと付き合い始めたんだって?」

『はい。って言っても昨日からですけど』

「ふーん」


まこちゃんも佐々木くんもお似合いだと私は思う。

まこちゃんの話だと、シンクロ率100%超えてるみたいだし。

なんか羨ましいなぁ。

私は最後に言いたいことを叫んでやった。


「まこちゃんを幸せにしろよっ!!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とかあれば書いていただけると執筆意欲が高まります。

更新速度も上がるかも。


次回もお楽しみに!

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