豆乳女・栄養ドリンク男と買い物
「ここって・・・」
「いろいろ考えたんだけど、佳子と言えばここかなーって思ったの」
そう。あのアニメショップに来たのだ。
もともと一人で来る予定だったんだけど、佳子がいるのと居ないのとでは威圧感がハンパない。
一人で入るのは無理(恥ずかしい)と判断した私は誰かに一緒に来てもらおうと考えていた矢先、今回のチャンスが巡ってきた。
さっきのコンビニで豆乳も買ったし準備万端!
「高倉さん。何買うんですか?」
「えーと。この間の山田さんの買った赤いやつの仲間を買おうかなと」
「コードゼアスの零の仲間ってどんなやつですか?」
「さぁ?多分店員さんに聞けばわかるかと思って」
「意外と無計画なんだなぁ」
「失礼な。私はここまでは計画通りに進んでますよ」
「またか・・・って、俺とここに来ることも計画のうちだったんですか!?」
「それはさっき思いついた」
「結局行き当たりばったりじゃないですか」
「細かいことは気にしない。さぁ行くよ」
はいはい、と呟きながら後ろについてくる佐々木くん。
やっぱり誰かいると安心するなー。
店内に入り早速店員を探す。
しかしそこで私の人見知りが生かされた。
「すみません」
「はい」
「えーと・・・佐々木くん。なんだっけ?」
耐え切れなくなって、つい佐々木くんに聞いてしまった。
「えぇ!?俺に振るんですか?」
「お願い!」
「わかりましたよ。あのーコードゼアスの零の仲間のフィギュアってなんかありますか?」
「コードゼアスですか・・・こちらへどーぞ」
店員さんがフィギュアコーナーへと案内してくれる。
「佐々木くん。ありがと」
「いや、お礼なんていいですよ。タイトル忘れることなんてありますって」
「そうじゃないんだけど・・・」
佐々木くんは勘違いしているようだが、私は単に恥ずかしかっただけで、タイトルはちゃんと覚えていた。
店員さんも知らない人だから話しかけるのも一苦労だ。
むしろ話しかけただけでも褒めて欲しいくらい頑張ったと思う。
「このへんがコードゼアスのフィギュアですね」
「えーと・・・」
佐々木くんの背中を小突く。
そーゆーことですか、と呟いて、人見知りのことを悟ってくれたらしく、私の代わりに話してくれた。
「これってどれが人気あるんですか?」
「大体このへんが主要キャラになりますかね」
「ありがとうございました」
そんなこんなで佐々木くんのおかげで、無事佳子の誕生日プレゼントをゲットできた。
フィグマとかいう手足が自由自在に動くフィギュアの『翼』というライバルキャラのを買いました。
「今日はありがとね」
「いえいえ。でも高倉さんの人見知りはハンパないですね」
佐々木くんは笑いながら言った。
「ヒドイ。一応気にしてるのに」
「うわ。すんませんでした」
「なんてね。でも今日はすごく助かりました」
「俺も楽しかったです」
二人で丁寧におじぎをした。
お腹減ったなーと思って腕時計を見ると、時刻は8時。
そりゃお腹も減るわな。
そう思って豆乳を取り出そうと、カバンに手を入れた。
「なんかお腹減りましたね」
佐々木くんがつぶやいた。
「ちょうど私も思ってたところ」
「なんか食べに行きます?あ、でもおうちの人が心配するか・・・」
「私一人暮らしだから大丈夫よ」
「逆に心配しますよ。夜遅くまで出歩いてたら危ないですよ」
「まぁそうだけど・・・」
なんかこの話してるうちにすごいお腹が空いてきた。
帰って作るの面倒だなーとか思い始めている。
・・・ひらめいた!
「そうだ。なら佐々木くんが送ってくれればいいじゃん」
「え?」
「佐々木くんが送ってくれればいいじゃん」
「なんで二回言ったんですか」
「佳子のマネしてみた」
「わかりました。高倉さんがそれでいいなら良しとしますか。どこか行きたいところありますか?」
「今日は付き合ってもらったから、最後くらいは佐々木くんに任せるよ」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とかあれば書いていただけると執筆意欲が高まります。
次回もお楽しみに!




