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呪われた侯爵令嬢は、湖のほとりで無口な画家に恋をする。  作者: 久慈 美麗


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7/7

7. 視線

お茶会開宴の時間になり、招待客はそれぞれ指定された席に着いた。

席次を確認するまでもなく、王城の使用人が席までアテンドしてくれ、席に着いてみて初めてエルディネは驚いた。

侯爵とエルディネの隣の席が公爵夫妻なのは、爵位や職位の序列で分からなくもないのだが、向かい合った斜めの席には、何と側妃のジルヴァラ妃が座っていたからだ。

そして、ジルヴァラ妃の更に奥には、今日のお茶会のホストであるアリーシャ王妃の席という席次だった。

自分が、王太子妃候補としての序列のどの辺にいるかは何となく理解していたつもりではいたが…エルディネは、思わず姿勢を正した。


アリーシャ王妃の挨拶の後、王城の侍女たちが優雅な所作で一斉に各テーブルのカップに紅茶を注ぎ、お茶会が開宴した。


暑くもなく寒くもない、気候に恵まれた季節に行われるガーデンパーティーは開放的でとても気持ちが良い。

手入れの行き届いた庭園は広々としていて、秋薔薇は咲き誇り、花の色の配置もさすがというべき美しさで、提供される紅茶もテーブルを埋め尽くすかのように並べられたお菓子も、芸術的でキラキラと輝いて見える。

本来なら、きっと心ゆくまで優雅で楽しい時間を過ごすことができただろう。

その参加者が気心の知れた者たちばかり、であれば。


現実に引き戻されると、エルディネは姿勢を正したまま静かに深呼吸をした。

残念ながら今、エルディネは公爵家や筆頭侯爵家のフォルティス家、更に、斜め向かいにジルヴァラ妃、その奥にアリーシャ王妃と、国の最上位層と簡単に目が合ってしまう距離感の中にいる。

王太子妃になることに全く興味はないエルディネでも、父のために粗相や失態はできないという点で緊張していた。

それにーーー

先程から、感じるのだ。

エルディネを見つめる、静かな視線を。

それが誰からの視線なのかは、方向的に数人に絞ることはできる。

でもその“方向”が分かるからこそ、エルディネは迂闊に確かめられなかった。

その視線は悪意こそ感じなかったが、確かに、静かに、エルディネを観察している。


あぁ、早くこの緊張感溢れる時間が終わってほしい…。

せっかくの紅茶も美しいスイーツも楽しめないまま、エルディネは笑顔をキープしながら心の中で弱音を吐いた。

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