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呪われた侯爵令嬢は、湖のほとりで無口な画家に恋をする。  作者: 久慈 美麗


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3/7

3. 不安

エルディネが目を覚ましてから、しばらくは平穏な日々が続いた。

最初は鉛のように重く感じられた身体も、今は思うように動かせるようになり、食事も大分取れるようになった。

全ては元通りに、今までの生活に戻っていく中で、わたしは、どうして3日間も自分が意識を失うことになったのか、ずっと考えていた。



今から1週間ほど前。

エルディネは、5日間ほど侯爵家の領地で過ごすために執事のベイス、侍女長のアマリー、侯爵家の騎士数名と馬車で現地に向かっていた。

絵を描くのが好きなエルディネに、今の季節は気候も良く、花もたくさん咲いていて美しいだろうからと、父が馬車で半日ほどの領地への旅を勧めてくれたのだ。

父は仕事の関係で、後ほど合流すると小さな娘に約束し、エルディネの乗った馬車を見送ってくれた。

好奇心旺盛で、少々破天荒なところがあるエルディネは、道中、他の貴族の下働きと一悶着を起こしたが、それをベテラン執事のベイスが丸く納め、リラとその母ヴィオレの2人が、エルディネ一行に新たに加わることになった。

領地に着いた頃にはもう陽が落ち始めていたため、初日は領地の邸の内でゆっくり過ごした。


次の日からはリラを連れて近くの湖まで出掛けて、絵を描いたり、花冠を作ったりしながら遊び、領地の邸に戻ると、色とりどりの美しいお菓子を食べたりして楽しく過ごした。


3日目には、新しい友だちができた。

リラが母ヴィオレの看病を願い出たため、1人で(と言っても護衛がちゃんと付いているのだが)湖畔で絵を描いていたら、同じようにスケッチブックを持った、金色の髪の子どもに出会ったのだ。

エルディネより背が高く、綺麗な顔立ちをしたその子はとても絵が上手く、見せてもらった絵はどれもエルディネを感嘆させた。

また会おうね、と、約束をした気がする。

邸に戻ってからは、いつも通りに過ごし、アマリーに促されてベッドに入ったところまでは覚えている。

それから先は、何も覚えていない。

それが、意識がなくなる前の最後の記憶だった。

 


領地へ同行したベイスやアマリーの話では、エルディネは4日目の朝、前日まで絵を描いていた湖の畔で、ずぶ濡れの着衣のまま仰向けで横たわっていたそうだ。

最初にエルディネを発見したのは、ヴィオラのために薬草摘みをしようと早起きをしていたリラだった。

リラは慌ててベイスを呼びに行き、ベイスと護衛がエルディネを邸に運び込んだ。

元々その日に領地で合流するはずだった侯爵は、到着するや否やエルディネの状況を知り動揺したが、すぐに落ち付きを取り戻すと、ひとまず領地内で様子を見ることにした。

そして娘が丸一日目を覚さなかったのを見て、王都の医師に診せるために本邸に戻ることを決めたそうだ。



つまりエルディネは、夜ベッドに入ってから早朝までの間に、無意識のうちに自分で部屋から抜け出したか、何らかのトラブルに巻き込まれて湖畔に倒れていたことになる。

侍従長のアマリーが、朝部屋を見た時にはバルコニーに続くガラスのドアが内側から開いていたと言っていたが、例え部屋のバルコニーから落ちたとしても、エルディネが倒れていた場所までは大分距離があるから、転落したわけではないだろう。

それなら、夜中に誰かがエルディネの部屋に侵入し、連れ去った?

それも、エルディネを抱えたまま3階にあった部屋のバルコニーから飛び降りるのは不可能だし、エルディネの部屋の前には護衛が必ず居たから、正面突破したなら誰か必ず気付いただろう。


一歩間違えば、死んでいたかもしれない。

そう思うと、何とも言い難い恐怖を感じ、体が震えた。

それでも、どんなに考えてみても、結局自分が倒れた理由はわからないままだった。



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