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呪われた侯爵令嬢は、湖のほとりで無口な画家に恋をする。  作者: 久慈 美麗


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1. プロローグ ー目覚めー

彼女が深い眠りから目覚めたとき、「わたし」も目覚めた。


ぼんやりとしていた視界が少しずつ晴れると、まず目に映ったのは白亜の高い天井。

そのまま視線を落とすと、繊細な模様が施された壁、それから自分に掛けられてる白地に美しい刺繍があしらわれた寝具が目に入ってきた。

わたしは、()()()()()()にひとり、横たわっていた。


「…まぶし、い」

目が覚めたばかりで、柔らかな陽射しでも眩しく感じられたわたしは、独り言を零す。

それは掠れたひどい声で、誰に届くこともないだろうと思えるくらい小さな呟きだったはずなのに。

次の瞬間、ガタン、と大きな音がしたかと思うと、淡い紫色の髪の少女が突然現れて、わたしの顔を覗き込むようにして見つめてきた。

明るい茶色の瞳がまんまるに見開かれ、涙まで浮かべている。歳は5歳くらいだろうか。

1人だと思っていた部屋には、他にも人がいたらしい。


「お、お母さん…!エルディネ様が・・・起きたよ…!」

「!」


少女の言葉を聞いて、今度は少女と同じ髪と瞳の色を持つ女性がわたしの側まで駆け寄ってきた。

「あぁ、良かった…。お母さんはみんなを呼んでくるわ。それまでエルディネ様を見ていてね」

その女性はそう言うと、足早に部屋を出て行った。


わたしは、わたしを見つめたまま動かない少女と2人、広い部屋に残された。

少女と彼女の母親の会話から得た情報。

エルディネ、それが今のわたしの名前。 

そしてもう1つ、何となく感覚がおかしい気がして、寝具から自分の手を出してみて思わず閉口してしまったこと。

大人の女性の大きさだったはずのわたしの手は、目の前の少女とたいして変わらないであろう大きさになっていた。


わたしは…やっぱり死んでしまったのね。

「わたし」が最後に見た、赤い記憶が脳裏に浮かぶ。

道路に飛び出して、車に轢かれて死んだ、21歳のナナミ。

それが、一番最後の「わたし」だった。


「エルディネ様、大丈夫…?」

自分の手を見ながら固まるわたしに、少女が心配そうに声を掛けてくれる。

「ええ、大丈夫よ」

「…私のこと、分かりますか?」

わたしはゆっくりと一度目を閉じてから言った。

「…ええ、もちろん」


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