くつひも
書き直してる途中
「なぁ山下、何故ヒトは群れで生きると思う?
あと靴脱ぐと匂いが広がるって知ってる?」
「どうしたんすか先輩、またなんかの本に影響されたんすか?」
「だから靴を……もういいや
世間一般的には1人では生きていけないから、群れで生きる生き物だから、などと言われているが、俺はな山下。俺はただ単に寂しいからだと思うんだ」
「先輩、それ昨日貸した本に出てくるセリフじゃないすか、影響されるの早すぎません?」
そう、たわいもない話をして今日もまた普段どうり過ぎ去るはずだった、そうはず『だった』のだ
目が覚めた
周りを見渡すと横に靴が浮いていた、くさい。他には何も無かった、空も地面も、強いて言うなら無があるとでもいうのか
「おーい!誰かーーー!!いませんかーー!!」
と叫んだはずだったのだが音が出ない、おそらく空気もないのだろう
というかなぜこんなに冷静に思考できてるんだろうか
あれ?てか俺の体どこ行った?空気じゃなく俺の体がなかったのか、でもじゃあなんで周りが見えてるんだ?
馬鹿なことを考えながら周りとみていると自身の真下になにか文字が浮いていることに気づいた
なんで半透明なんだよ、見にくいったらありゃしねぇよ
蛍光色とかにしとけよな
……読めってことだよな、この読みにくい文字を
しょうがない読むか、
背景 山下様
あなたさまにはくつからくつひもを抜き取るという仕事をしてもらいます
刑具
………………どこから突っ込めばいいんだ?
なんだよ背景って拝啓だろ?なんで急に景色の話してるんだよ、それと刑具ってなんだよ俺処刑されんの?怖いんだけどやめて?これ書いたの誰だよ
てか山下って誰だよ、俺の名前は……あれ?思い出せない…名前だけじゃない家族も何をしていたのかも、何も思い出せない
まぁいいか、思い出せないってことはどうでもいいことって事だ、俺は山下とだけ分かればいいや
さて仕事か、この靴のくつひもを抜けばいいのか?俺手ないんだけど……念じてみるか 開け!ゴマ!
・・・・・お、動いた!ぬけぴゃ!
頭になにか……ハッ!
山下に電流走る……!!!
よし、頭に電流が走った感覚がしたからなしょうがないよね、そして矢木が走ったおかげで記憶が思い出せたぞ!昨日の晩御飯がゆで卵だったことを!!
思い出したけどなんか虚しい気持ちになったぜ……
まぁそんなことはどうでもいい、どうでもいいんだ……
重要なのは仕事をすれば記憶が思い出せる……んじゃないかということだ!
そんなことを考えてると
あぁ、そういう事か
あぁ、人は1人では生きていけないってこういうことなんだな
あぁ、マジックテープなら良かったのにな……
〜完〜