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【完結】異世界誘拐物語 〜女神のギフトは甘い罠〜  作者: くれは
第四章

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第四十一話 一難去ってまた一難

「――三人共、先に中へ入ってろッ!」

「多月ッ!」

「あ、姐さん!」


 「誰が姐さんだァ!?」と声を荒げる多月の前には、透明な何か(・・)がいる……!



 多月と横並びに階段を上がっていた俺が先にドアを開けると、中を確認する前にヒメの判断で誠の空間を置くことにした。

 その中に誠から順に飛び込むと、多月が見える出入口で待機する。


 空間内では一切攻撃魔法は使えないが、武器を外に出せば使えるため、ヒメは杖の先だけを前方に向けて魔法を唱えた。


「――視えざるモノ(アピアーズ)()炙り出して(リヴィール)!」


 ヒメが杖をかざすと、目に見えなかった何かの姿が徐々に視覚化される。


「なるほどなァ? 面白ェ!!」

「そ、そんな芸当!? す、凄すぎる……」


 何かと思っていたら、まさかの空飛ぶ豚(・・・・)……!?

 いや、縁起がいいとか、有名な作品にもそんな言い回しは聞いたことがある。でも、元神のセンスの無さが浮き彫りになっている気がしてならない……。


 しかも、金銀銅の豚……。何かの物語が混じっている気がする。羽根は白くて小さくて、なんだか漫画っぽいな。


 そもそも、これはヒメの知識ということになる。

 おもむろに杖を引っ込めたヒメに視線を向けると、思ったとおり両手で顔を覆っていた。


 小学四年生の知識といったら、こんなものだろう……とは思う。


「……ヒメ、大丈夫だ。二人も好印象だし、気にするな」

「――それでも、恥ずかしいの〜!」


 魔法少女に憧れをもっていたのだから、ファンシーな生物が好きだったりしても、笑われる要素はない。

 大人になった今だから、恥ずかしいのだということは痛いほど分かる。

 これが、俗にいう黒歴史か……。


「あー。コイツら、若干可愛く見えてきて、倒すの迷うぜェ」


 多月もあんなことを言っている。


 それにしても、透明になって攻撃してくるのは良いとして、あいつら……どこで攻撃して、多月の攻撃を受け止めたんだよ。


 俺は興奮している誠の横から顔を出すと、自分の姿が視えるようになったことに気がついていない空飛ぶ豚が、多月に攻撃を仕掛けてくる。


「……あんな攻撃は、有りなのか?」


 まさかの、漫画みたいな羽根から高速で武器を飛ばしていた。

 主に投てきに近い。稀に剣や槍なども……。

 多月の爪と重なり合った際の金属音はそういうことだったらしい。


 そもそも、あの小さい羽根より大きいもの、どこに入っているんだよ……。

 まさか、ヒメみたいなアイテムボックスや、誠みたいな空間系か……?


 意外にも漫画みたいな羽根は、細かくて目を凝らしても内部は見えそうにない。


 ――自由すぎるだろう。


 元神でも、力は失われていないのが厄介だな……。


 先ほどと違って姿が視えることで、軽く(さば)いていく多月に焦りを感じた様子の空飛ぶ豚は、急に三匹揃って鳴き始める。


「ピギーー!」

「ピギギー!」

「ピッギー!」


「――鳴き方は、若干違うんだな……」


 思わずツッコミを入れる俺に、下品な笑い声をあげる多月は余裕そうだった。

 だが、そうも言っていられない状況が襲う。


 一鳴きした空飛ぶ豚は、横並びになると羽根を重ねて融合した。

 三倍の大きさとなった空飛ぶ豚は、天使の羽根のような立派な翼で飛んでいる。

 しかも、金銀銅が融合した色は虹色だった。


「……まぁ、虹色はレア度的にも強そうではあるけど」

安直(あんちょく)だね……。もう、なんていうか……眩しくて見えない! ってくらい、派手さが欲しいよ」


 自分の興味がある話になると流暢(りゅうちょう)になる誠に、思わず顔が引きつる。

 しかも、敵に塩を送るような発言だぞ……。


「可愛さが減ったし、(まと)がデカくなったのは殴りやすくて良い!」


 多月の武器は己の肉体だ。

 相変わらず器用に、手と足だけを竜化させている。


 巨大化した空飛ぶ豚は、遠距離攻撃しかしてこないため多月は手すりに足をついて、高く飛び上がった。

 空中を飛びながら投てきをする羽根に向かって、回し蹴りを繰り出す。


 巨大化したことで、その速さに回避行動が遅れた空飛ぶ豚に直撃すると、片翼にダメージを負ったことで地面に落下していった。


「ポギ〜〜〜!!!」


 なんとも呆気ない。

 加えて、鳴き声も変わっている。


 多月は、その羽根を足場にして階段に戻ってきた。竜の羽根を出す必要性もなかったらしい。


「なんか、弱いモノいじめして終わった感じになっちまったなァ?」

「まぁ、インパクトは大きかったな……。それじゃあ、中に入ろう」


 空間から出て、誠が再び閉ざすとドアから中の様子を覗う。

 相変わらずの多月は、そんな俺たちを他所(よそ)にズカズカと中に入っていってしまった。


 あとを追うように中に入ると、先ほどとは違い目立つものはなかったが、明らかに誘っているようにしかみえない四つのドアが、部屋の中心に鎮座(ちんざ)している。


「これって……さすがに、罠……だよな?」

「確実に、罠だね……しかもカラフルに富んでるよ」

「――な、なんだか……一つ、除いて、信号機……みたい、だね?」


 左から、赤、青、黄色、最後は黒だった。

 この色に意味があるのかも分からない。それに、黒って……異世界に来てからは特に悪い意味でしか思いつかないぞ?

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