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【完結】異世界誘拐物語 〜女神のギフトは甘い罠〜  作者: くれは
第四章

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第三十八話 黒い液体の形

 ガキーンッ!!


 鈍い音がして黒い液体は姿を変えていた。

 しかも、東京タワーと同様に見覚えのある姿をしている。


「なっ……。俺たちの、影に入ってたのか!」

「うえっ!? そ、その姿は――」

「魔法少女――ちゃん!?」


 二人はその正体が分かったように驚きの声をあげた。

 一瞬だけ見えたのは、黒い液体が出てきたのは誠がいた足元。


 しかも、竜化した多月の腕を受け止めたのは、機械化した手である。


 ――魔法少女なのに、機械なのか!?


 思わず視線を横に向けると戦闘が始まったというのに、拝むように両手を前に合わせ、目が輝いてみえる二人の姿に言葉を失う。


「――いや、戦闘開始だからな? それと、なんで魔法少女なのに機械の手をしているんだよ」

「えっ! それはね〜……。当時話題になってた機械の身体をした魔法少女なの!」

「そ、そうなんだよ! ロボットアニメ制作者と、魔法少女制作者が、コラボしたことで当時は凄かったんだよ!?」


 動揺よりも思わず冷静になってツッコミを入れてしまった。

 しかも、オタク語りのように饒舌(じょうぜつ)になる誠に驚く。


 そんな俺たちをよそに止まらないエレベーターの中、一人で淡々と攻撃を繰り出す多月がいた。


 狭い空間に接近戦な現状、自分の身体を武器にして戦う多月以外、攻撃は出来そうにない。


「中々やるじゃねェか! んで、機械魔法少女だってかァ。面白いな!」


 多月の邪魔にならないよう反対側に寄った俺は誠に空間を出すよう指示をする。


 それを聞いていた多月は、両足も竜化させて軽く足を振りかぶった。

 現代の技術で出来た機械に対しても、痛みがなさそうな多月の肉体には目を見張る。


「ここは、アタシが一番みたいだから、オマエらは誠の空間内に避難してろ! そしたら、空間が広くなる」

「分かった! 此処は任せる」

「い、いつでも、入りたいと思ったら、入れるように……許可して、おいたから!」


 思った通り誠の空間は、このエレベーター内でも出し入れ可能だった。


 俺たちは多月を残して空間内に避難すると、広くなったことで多月の動きが明らかに大きくなる。


 しかも、多月の合図で空間内を行き来できるようにしたようで、後退した際に背中が触れても壁のように、こちら側と繋がることはなかった。


「何か、弱点とかはないのか?」

「えーっと……あっ! 機械だけあって、水に弱いよ!」

「あー……!! 水に濡れたら、服が溶けるという副産物が! そして、ショートする……――たん!」


 最後の言葉は聞かなかったことにして。服が溶けても、機械ならマネキンのような形で問題ないだろう。


 此処は、まだ始まりに過ぎない。多月が俺たちパーティーの前衛であり、要だ。

 体力が高いとはいえ、極力消耗は避けたい。


 俺と誠が中に引っ込むと、ヒメが多月に声をかける。


「多月さん! 辛いけど……弱点を試してみようと思うの! 合図したら、横に避けて!」

「あァん? 何か策があるなら乗ったァ! 正直、機械の身体が壊れそうにねェからよ」


 杖を穴から突きだすと、多月と同様に華麗な動きで飛び回る魔法少女に狙いを定めた。


「それじゃあ、行くよ〜! 今! ――水針の球体(ウォーター・ランス)!」


 ヒメが合図を送ると、スキルを使ったように光速で横へ避ける多月の動きに追いつけない魔法少女は一時停止する。

 その瞬間を逃さず、杖の先から球体のような水の玉が鋭い針のように胸を貫いた。


 機械のボディは血もオイルさえ出ない。胸に風穴が開くとバチバチと火花が飛び散る。


 パーン!


 耳に響く音がして、弾け飛ぶように衣服がなくなった。


「って、溶けるんじゃないのかよ!」


 初めて見る光景に、思わず二度目のツッコミを入れる。


 思ったとおり機械の身体が露わになるが、鬼のような形相で振り返るヒメに軽く体当たりをされてよろけたことで、魔法少女の姿は見えなくなった。


「ひっ……!」


 その様子を一通り見ていた誠は短い悲鳴をあげる。

 当事者の俺は、情緒不安定なヒメの行動に目を丸くした。


「えっ……と、大丈夫か? 急に突き飛ばされて、驚いたけど……」

「ハッ! ご、ごめんね〜! 機械だから! 爆発するかもって思って」

「――案の定、爆発するぜェえ!!」


 今のやり取りを知ってか知らずか、穴に飛び込んできた多月に出入り口にいたヒメは押される形となって、俺の胸板に顔を埋める。


『――ガガ……爆発、します……』


 外から機械音が耳に届くと同時に、激しい音が鼓膜を揺らした。


 外に煙が充満している中、抱きとめる形となったヒメの肩を支えたまま呆気にとられていると、背後からガタガタと音がして振り返る。

 ベッドの下に頭だけ潜り込む誠の姿があった。


「あっ……そういえば、あのときと違って外の音が聞こえてきたけど、あれも調整してたのか?」

「ひっ……! あっ、そ、それね……普段は、外の音を、阻害してるんだけど……声も拾えなくなるから、今は聞こえるように、していたんだ……」


 気が付くと腕の中から消えているヒメに声をかけようとして止める。


 バンバンッ!


 情緒不安定が加速しているように、空間の床を叩く姿に自然と身体が震えた……。


 その理由を知っている様子の竜化を解いた多月に、背中を叩かれ少ないHPが減った。

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