閑話 女子会と言ったら、鉄板の恋バナ 〜結束ヒメ〜
私の肉体を使って、あんな建物を造るなんて……何を考えているのか、サッパリ分からない。
そんな不安を払拭するように、聞き捨てならない単語が思いもしない人物から出てくるなんて……。
「えっ!? 女子会……?」
「おう! 今まで、ヤロウ共も一緒で話せなかったが……恋バナだァア!」
「えっ……ぇぇぇええ!? こ、恋バナ!?」
思わず耳まで赤くなるような勢いで、顔に熱が押し寄せてくる。
ニヤニヤ顔で窓側のベッドに胡座をかいて座る多月さんは、手招きして近くに来るよう促してきた。
ベッドの端に座っていた私は、おもむろに多月さんの近くまで移動する。
「誠は気付いてるか知らねェが、ヒメは最近すげェ、ナイトのこと意識してんだろォ?」
「そ! そうかなぁ!? そう……見える?」
「恋愛に興味ねェアタシにも分かるくらいだ。ナイトも同じ気持ちみたいだしなァ?」
ニヤニヤ顔が止まらない多月さんは、完全に私たちで遊んでいる気がした……。
でも、最近になって自分でも意識している気がしてならない。
なんでか分からないけど……普段多月さんがナイトくんに絡んでも、まったく気にならないのに……。
数日前からナイトくんと誠さんが怪しく見えるんだよね!
同性だし、大丈夫と思う反面……差別は駄目だって思うと、そっちも有り!? って、悪循環だし……。
ナイトくんは、名前のとおり優しくて、男前で……顔もイケメンだけど……。
誠さんは、ああ見えてナイトくんより身長高いし、まさかのイケメン違いだったし!?
ナイトくん、カッコいいけど、可愛いところもあるから!
「オ〜イ。顔が、すげェことになってんぞォ」
「えっ!? 急に、恋バナとか言うから……でも、そうだね。最初にナイトくんを誘拐したときは、なんでだろうって思った部分もあったけど……今なら分かる。もう一度、ううん……成長した彼に会いたかったから」
「クククッ……すげェ、惚気聞かせてもらったなァ!」
惚気というパワーワードに、ハッと我に返ると恥ずかしさに両手で顔を隠す。
指の間かお腹を抱えて笑う多月さんに軽く頬を膨らませた。
「の、惚気って……まだ、恋人同士でもないよ〜……」
「んー……両想い片想いって言うのかァ? 良く分からねェけど、付き合う前ってのも楽しめよォ!」
「そう、だね……ナイトくんも、私のこと……好きだと良いなぁ」
何度も、私にかけてくれた言葉を思い出すと熱が戻ってくるように隠していた顔から、頬に手を添える。
ハッ!
此処の宿屋……部屋の壁、薄くない!? 大丈夫かな……万一にも聞こえていたら恥ずかしいじゃ済まされないよ〜。
こんな状態で、元神様に明日遭うかもしれないのに……。
冷静になれ〜私〜。
最悪、魔法でどうにでもなるな……さすが、魔法少女!
「オ〜イ。また、百面相になってんぞォ。まぁ、ここに酒がねェのは残念だぜ」
「明日に支障をきたすからね! そもそも、私の恋バナをお酒のつまみにしないで〜」
「ハッハッハ! 良いじゃねェか。幸せは、仲間にお裾分けするもんだぜェ?」
からかわれているのに多月さんの言葉からは暖かみを感じた。
やっぱり、パーティーの姐さん! なだけあるよね。
私にもお姉ちゃんがいたら、こんな感じだったのかな〜……。
みんなで、無事に元の世界に帰って……現実でも仲良くできたらいいな。
それと同じくらい、私の肉体を取り返したい。それから……ナイトくんに言いたい――。
仮初の姿じゃ、伝えられないよ……。
「うん! そうだね。有難う、多月さん……緊張を解してくれてるんだよね?」
「あァ? なんのことだ? 恋バナをしたかったのは、本当だったしなァ」
「ふふっ……でも、私も……うん。最初は無自覚だったから、聞いてもらえるのは〜……嬉しい、かな?」
正直、女子会も恋バナも憧れだった。当時、小学四年生だったけど……今の子は、ませてるからね!
多月さんは、私より10歳も年上だけど……恋愛に興味ないのか〜。
私は前屈みになって顔を近づける。
「ねぇ、多月さんの好みはないの〜? 恋愛に興味ないって言ってたけど」
「んァ? そうだなァ……この世界に誘拐されたことで、人生狂っちまったから……最後に関わってた男共がガキ過ぎてなァ……」
「あー……分かる。小学生の男子って、余計に子供だよね〜。まぁ、ナイトくんは……昔から、大人っぽかったけど」
墓穴を掘ったことに気がついたのは、再びニヤけ顔が貼りついた多月さんがいたからだ。
私は、首をブンブンと左右に振って軌道修正する。
「ちが〜う! 今は、多月さんの恋バナだから! それじゃあ、ナイトくんや誠さんに出会って、何か感じたりとかは?」
「んー……ナイトは純粋だなァ、って思ったな。加えて、初めからヒメを意識してたぜ! 誠は、情けねェ男だなァ……って思うが、腐ってはいない。優しい男だと思う」
「なるほど〜。少しは、男を見る目が変わったってことだね! って! ナイトくんが私を!? えっと、誠さんは、気が弱そうだけど……私の分析だと、二重人格タイプな気がするんだよねぇ」
少しずつ恋バナからズレていっていることに気づかず、多月さんも誠さんの話に食いついてきた。
自然とお互いに顔を近づけて内緒話をするように声も小さくなる――。




