第二十七話 討伐依頼『ダンジョン』
ダンジョン名:???
ダンジョンランク:A
推奨レベル:50
ダンジョンボス:???
レベル:50
主なドロップアイテム:不明
宝箱報酬:不明
ヒメの鑑定によってダンジョンの概要を把握する。
彼女や、魔法使いが使える鑑定は本当に便利だ。
此処のダンジョンは洞くつタイプらしい。
入り口は植物で覆われていて中は暗くて見えないけど……。
やけに地面が湿って感じた。
そんな中、一つだけ分かったことがある。
「此処も、色があるぞ……」
「ダンジョンは謎が多いから……神様でも色を奪えなかったとか?」
「いや……ダンジョンが生きている説も、あるんじゃねェか?」
ダンジョンは、どの世界でも未知数なのが多い。生命体だと言われても納得できる。
内部に踏み込むと、さらにジメジメして感じた。湿度が高いのか、洞くつ内は外よりも暑く感じる。
「ダンジョンは何が起きるか分からないから、みんなのステータスを確認しなきゃ!」
「ステータスか……」
魔法使いは隠ぺい魔法もできるらしく、ヒメは頑なに戦闘ステータスを隠し、多月に詰め寄られていた。
そして俺のステータスはというと――。
「うん! あのとき鑑定してるから、分かってるよ!」
当然、レベルは1。
なんせ、あのときからバトルというバトルをせずにここまで来てしまった。
まさかの俺は経験値が高い可能性があるらしく、レベルが変わらないのだから、当然ステータスも変わらない。
なぜか哀れみというか、誤魔化しというか、ヒメに励まされた。
隣で同じく鑑定した様子の多月は、下品な笑い声をあげている。
ヒメによって、すでに多月にも見えているのに、わざわざ再鑑定するとか……コイツ、意地が悪い。
パーティーを組んでいると、鑑定結果を仲間も見ることが可能になる。
「私のレベルは50だよ〜。本当は、もっと高かったんだけどね!」
本人いわく、魂の存在になったことでレベルが下がったらしい。
そして、引きこもっていたが森でバトルをしていたという多月は、驚異のレベル99だった。
五十嵐多月
年齢:35
性別:女
レベル:99
力:999
命中力:900
持久力:999
敏捷力:850
知力:999
精神力:800
魅力:777
「大船に乗った気持ちでアタシに任せなァ!」
「大丈夫だよ! 私が守るから。それに、あの魔物より確実に強いだろうから、今度こそレベルが上がるはず!」
ぐんと上がることを期待したい。
実物のダンジョンを前にして、次第に本当のゲームみたいで、楽天的に楽しんでいる俺がいた。
――実際に魔物を見るまでは……。
覚えてから使う機会がなかった、光の初期魔法、点灯を使って中に入る。
壁はゴツゴツした岩で出来ていて、外のように蔓や苔などが生えているのも確認出来た。
すると、直ぐに大きな黒い影が現れる。
点灯によって照らされた魔物はシルエットどおり鑑定すると正体が判明する。
沼ガエル
ランク:C
レベル:35
特徴:ドロを投げる。ドロは臭くて、粘り気がある。身体につくとキレイな浄水で流さないと落ちない。皮膚にドロがかかると、分単位で体力が削られる。粘着タイプでウザい。
生息地:沼でなくとも、ジメジメした場所に生息している。
メモ:レベルが高いだけあって、単独行動タイプ。まれに、沼トカゲが一緒にいることがある。
レベル差があったことで、難なく沼ガエルを倒すと、遂に俺のレベルが上がった。
「ここは、ゲームとは違うんだな……」
「うん、レベルアップしても分かるのは体感かな〜」
レベルは当然見れないし、ステータスも見れない。
でも、ステータスが上がったことによる体感で分かった。
ゲームと同じならレベルが高くなるにつれて、伸びるステータスは減り、レベルも上がる速度が遅くなるはず。
「魔法使い以外の職業は、ステータスをどうやって調べるんだ?」
「それは、当然ギルドだよ! ギルドにはお抱え魔法使いがいてね〜。ゆ、有料だけど……」
世知辛い世の中である。
今はダンジョン攻略が優先のため、俺のレベル確認は後回しだ。
まだ50mも進んでいない中、多月が右手を横に広げストップをかける。
再び暗闇から姿を現したのは、先ほどの沼ガエルの2倍はあるだろう、地面を這う魔物だった。
その巨大さに思わず後退る。
「――鑑定!」
沼トカゲ
ランク:B
レベル:40
特徴:口からドロ爆弾を放つ。威力は意外と高く、下手をすると直撃した部位が吹っ飛ぶ。
生息地:ジメジメした場所に生息している。
メモ:レベルが高いだけあって、単独行動タイプ。まれに、沼ガエルが一緒にいることがある。
今しがた倒した沼ガエルのメモってヤツに書いてあった説明文そのままだな。
まれにとは書いてあったが……これは、俺の魅力200のせいじゃない。
多月の方が上だし、ヒメも超えているはず。
ただ……特徴が、狂気的すぎるだろ!
ドロ爆弾とか、確実に遠距離攻撃だし……。
攻撃をされる前に、ヒメによって防御魔法が飛んできた。
加えて泥トカゲが口を開くのと、ほぼ同時に多月も大きく口を開く。
「(ドラゴンブレス!!)」
雄叫びのような火の渦が泥トカゲより早く放たれると、その身体は原形を留めず消え失せた。
だが、俺たちは洞くつの中で火を使うことが、いかに危険かを思い知る。
いや、これはドラゴンの炎が原因だ。
飛んでいった火の渦が奥の壁にぶつかって飛散すると、立ち込める煙と熱に口と鼻を押さえる。
「ゲホ、ゲホッ……そういえば、洞くつで炎はダメだろ……」
「ケホッ、ケホ……今、水の魔法で、どうにかするよ! ――水の息吹!」
ヒメの魔法によって、どうにか俺たちは中毒にならずに済んだ。
「ハハハッ! 悪ィ悪ィ……まさか、ドラゴンブレスが、あんな威力で……こうなるとは思わなくてよォ?」




