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【完結】異世界誘拐物語 〜女神のギフトは甘い罠〜  作者: くれは
第三章

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第二十一話 残念祝杯

 領域支配に戻ってすぐため息がもれる。

 少し狭さを感じると、先ほどはなかったローテーブルに気がついた。


 そんな財前さんは相変わらずベッドに体育座りをしている。


「みんな〜! お疲れさま! ナイトくん、カッコ良かったよ!」

「あ、ああ……ほとんど多月のおかげだけどな。有難う」

「んァ? いいってことよ! それよか、レベル上がったかァ?」


 必死で、すっかり忘れていた。


 俺はレベル1だから、今の魔物で上がってもおかしくはない。

 ゲームのような効果音や、力がみなぎる感覚は一切なかったけど。


 まぁ、鑑定してもらえばすぐに分かる。


「えっ……えぇぇぇぇ!?」

「ど、どうしたんだ……?」


 横で鑑定してくれるヒメの叫び声に肩が揺れた。

 見る見るうちに青ざめていく表情に不安が脳裏を駆け抜ける。


「まさか……」

「多月さんの言うとおり……レベル1のままだよ!?」


 アレだけ大掛かりなことをして倒した魔物なのに、レベルが上がらないって……。

 パーティーを組んでいる2人のレベルが高かったとしても、あり得ない。


「もしかしたら……。鑑定じゃ、よく言う経験値は見えないの。レベル1で相当なステータスを持つナイトくんだから――」

「レベルを1上げるのに、アイツじゃ物足りなかったわけかよ。ナイト、オマエすげェな!」

「それは、良いことなのか……?」


 俺は多月に慰められるように肩をバシバシ叩かれる。

 正直、HPが減ってると錯覚するほど痛い……。


 多月がこんな性格だと判明してから同性のヒメも、俺へのスキンシップに対して気にしなくなって笑っている。


 いや、何を考えているんだ?

 ヒメが、俺を好きかも分からないのに……。


「あ、あのさ……冷蔵庫に、飲み物、とかも……あるから、祝杯とか……したら?」

「おっ。誠、オマエ……たまには良いこと言うじゃねェか! よっしゃぁあ! 初バトル、残念祝杯やろうぜ」


 多月の号令で残念祝杯が始まった。

 提案してくれた財前さんは、ベッドの上だけど。


 すぐに立ち上がる多月は、小型の冷蔵庫を物色し始める。

 まさか、財前さんからそんな言葉が出るとは思わなかったから正直驚いている。

 参戦しなかった彼だが、真剣な眼差しで戦いを見守っていたのは知っていた。何か思うことがあったのかもしれない。


 多月が適当に出してきた缶ビールや、カクテルなどをテーブルに並べる。

 タコやイカ、エンドウ豆など軽いつまみなどもあった。


「この空間、最高だな! それじゃあ、改めて初バトルお疲れェエ!」

「お疲れ」

「お疲れさま〜!」


 みんな大人だから、アルコールを飲むのを気にする必要がないのは助かる。

 当然、1番に酒を(あお)るのは多月だった。俺も、元の世界の缶ビールを眺めながら一口飲むと、自然とホッと息が漏れる。


「この空間は無敵って言ってたけど、元の世界のモノも、なんでも手に入るのか?」

「いや、ある程度……かな。娯楽は、無理……ゲームとか、漫画とか。それと、移動できないから……場所を、移すときは……大変」


 まぁ、なんでも有りは都合が良すぎるし、ギフトにしては強力すぎるのか……。

 移動できないにしても、空間がすでに防御力最強クラスだと思う。


 多月も言っていたように、財前さんも仲間に迎えたい。

 そのためには、ある程度の事情を伝えることと、彼のことを知る必要がある。

 少し年上に見える彼だが、この状態はこっちから歩み寄るべきだよな。


「実は、俺は此処にいるヒメに誘拐(召喚)されて異世界に来たんだ」

「えっ……? 僕、みたいに……子供の、ときに……来たんじゃなくて?」

「アタシと、ヒメは同じだぜェ! まぁ、まさか女神の魔法をパクってコイツを誘拐(召喚)したってのには、笑わせてもらったけどよォ」


 正直笑い話ではないけど……。今は、やめておこう。


 それからヒメの事情について詳しく話すと、あからさまに目を泳がせ動揺する財前さんに当の本人は笑っていた。


「怖がらなくて大丈夫だよ〜! ほら、私は色があるでしょう? それに、この姿だから、触れるんだよ〜」

「あっ……本当だ。それに、温かい……僕、ずっとここに引きこもってたから……他人と、触れ合うのも、10年以上前だから」


 積極的なヒメはベッドから少し身を寄せる財前さんの手をとって、両手で握りしめる。

 ほんの少しだけ、心がざわつくのは気のせいだろうか……。


 手を離すと、財前さんは少しずつ歩み寄るように椅子に座り向かい合う。


「実は、小4のときに……家の中で、誘拐(召喚)されたんだ……理由は、聞いたけど……想像力がある、子供……としか言われなかった」

「そこは、みんな同じみたいだな……それで、身の安全のために、このギフトを貰ったのか?」

「ううん……僕は、元の世界に、居場所がなくて……小学2年生から、ひ、引きこもってたんだ……」


 俺たち三人は思わず目を丸くする。小学2年生で部屋に引きこもるなんて、相当なことでもない限り思いつかない。


 幼稚園から小学生に上がる際、不安はつきものだ。場合によっては、仲良かった子が1人もいないこともありえる。

 今は少子化によって1クラスのみだってあり得る時代だ。

 だけど、1年のときは学校に行けていたことになる。


 それによく見ると、目は前髪で隠れているが顔立ちも良く、身長的に少し細いのが気になるが、一般人な俺と違って良い所のお坊ちゃんな気がした。

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