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さあ、とことんレベルアップをしよう! 外伝 ‐ベンゲルハウダーの新人冒険者‐  作者: えがおをみせて
第2章 ベンゲルハウダーの中堅冒険者

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第71話 ここはベンゲルハウダーだ




「来たか。こちらで全部平らげてしまうところであったぞ!」


「オリヴィヤーニャ様は相変わらずですね」


 オリヴィヤーニャさんが強がって、クリュトーマさんがそれに返事した。そういやお二人って同年代になるのかな。オリヴィヤーニャさんは滅茶苦茶若く見えるけど。


 広間に入ってすぐ、通路組は戦いに参加した。

『ライブヴァーミリオン』と『ブラウンシュガー』はマスターデーモンを、ボクたち三パーティはグレイデーモンだね。レベル80も超えたし、そろそろマスターも相手にできるかも。



「聞いておるぞ。先日陛下たちと戦場を共にしたそうだな」


「叔母様、あれはたまたまです。ターンがあんなこと言うから」


 陛下? ターン? なにそれ。ああ、ミレアの顔色がどんどん悪くなってくよ。ホントに大丈夫?


「して、超級になった者がいるともな。ここにいるのか?」


「わたし、です。アイネイアールス、です」


 紫のこん棒を振り回しながらリィスタがぼそって感じで答えた。すごいよね、オリヴィヤーニャさんに訊かれてるのに、全然物おじしてないんだ。


「ほう。『ブラウンシュガー』の……、リィスタであったか。前回の助力には感謝している」


「がんばり、ます」


 へえ、前回って第二次のヘルハウンドのときだよね。ん? てことは……。


「もしかしてワイバーンやっつけたのって?」


「おう。『ルナティックグリーン』と『ブルーオーシャン』、それとおれたちだ」


 そうなんだあ。けどさシローネ、なんで毎回腕を組んでるわけ? しかも『ブラウンシュガー』全員で。戦闘中なんだけどなあ。



「まあよい。ベンゲルハウダーの者どもよ、頼もしき援軍の到着だ! ドラゴンスレイヤーぞ!」


「あれが……」


「あんなにちっちゃいのが、かよ」


「いやあ、あれがまた強いんだ」


「シローネたちか。久しぶりだな」


 オリヴィヤーニャさんが高らかに援軍が来たって宣言した。

 周りの冒険者たちは驚いたり喜んだり、いろいろだね。最後のはカースドーさんだよ。知り合いだったんだね。



「いよいよ祭りも終盤だ。冒険者の意地を見せてみよ!」


「おおうっ!」


『ブラウンシュガー』と『ライブヴァーミリオン』が『一家』と一緒に一番前に出た。他のパーティが周りでグレイデーモンを相手にしてる。マスターデーモンも混じってるけど、ちょっとずつちょっとずつ、削るみたいにバトルフィールドに引き込んでるね。うまい。


「負けてられないね!」


「やるぞ!」


 フォンシーがノリノリなのって、冒険者になったころから思ったら変わったねえ。なんで笑ってるのさ。


「ラルカ、楽しいのか?」


「ん? ウル、どして?」


「ラルカ、笑ってるじゃない」


「ボク、笑ってた? そういうミレアこそ」


 フォンシーだけじゃなかった。ウルもミレアも、シエランもザッティまで、みんな笑ってるよ。たぶんボクもなんだね。

 しかも普通の笑い方じゃない。『フォウスファウダー一家』が見せてくれたみたいな、獲物を見つけた獣みたいな、そんな笑い方だ。これが冒険者なのかな。


 さあ戦おう。グレイだけじゃないぞ、もうボクたちはマスターデーモンにだって負けてやらないんだ。



 ◇◇◇



「……『シールドバッシュ』」


 ザッティの盾がモンスターを吹き飛ばした。


「ふっ!」


「がるあっ!」


 シエランがカタナで、ウルがダガーでそれぞれ敵を斬り裂く。

 もうスキルも使ってないや。あんまり残ってないのもあるんだけどね。


「まったく、こっちは囮ばかりだ」


「役割だから仕方ないでしょ」


 フォンシーは文句を言いながら攻撃を盾で受け止めてくれてる。ミレアも一緒で、なんかナイトとかロードの剣技スキルを使ってるみたいだけど、あんまり上手じゃないねえ。

 相手が魔法に強いもんだから、魔法スキルにあんまり意味がないんだよ。


「ふしゅっ! うん、いい感じだよ」


 敵の攻撃をギリギリですり抜けて、ボクは猫パンチを叩き込んでやった。もうグレイデーモンならたいして怖くないね。


 途中でジョブチェンジしたザッティは別だけど、ボクたちは全員レベル80の後半までいってる。マルチジョブの分もあるから、ステータスなら90台にはなってるんじゃないかな。そこにバフを乗せればマスターデーモンとだって十分戦えてる。いっぺんに二体が限度だけどね。



「あたしはレベル92だな」


「ずるいよフォンシー!」


「そう言うな。あたしとミレア以外はレベルと違う強さになってるじゃないか」


「どゆこと?」


 違う強さ?


「ウルの反応、マスターのテレポート先まで見えてるみたい」


「なんとなくだぞ!」


 ミレアまで混じってきたし。


「シエランの剣は凄いな。スキルを使っていないのに、あたしたちとはまるで違う」


「ザッティの盾もね。どうしてあんな風に受け止められるのかしら。AGIは低いはずなのに」


 まあそうだね。シエランとザッティもすごいよね。ねえ、ボクは? ボクはどうなの?


「ラルカはまあ、よくもそこまでじゃれつけられるもんだって、驚いてるぞ」


「じゃれてないよ!?」


 こっちは必死でやってるんだけど!


「マスターデーモン相手によくやるわね。かすっただけでも危ないでしょうに」


「当たりそうになったら、こっちからちょいって触って、ずらすんだよ」


「それがすごいって言ってるのよ」


「どうして死角からくる攻撃を見ないで避けられるのか、あたしには意味がわからん」


 そうかあ、ボクってすごかったんだ。うぇひひ。



「……そろそろ終わる」


「そうですね」


 ボクたちの話を聞いてたんだかどうだか、静かに戦ってたザッティとシエランだけど、キッチリ周りを見てたみたい。

 もちろんボクもわかってたけどね。たぶんウルも。


「黒門ならさっき消えたよ」


「え?」


「……言われてみれば」


 ミレアとフォンシーは気付いてなかったんだね。ちゃんと周り見てないとダメだよ?


「残りは三つだな!」


 パーティでおバカな会話をしてる間にどんどんモンスターが減って、残ってるのはマスターデーモンが三体とグレイデーモンがえっと……、十二体だね。


 黒門も消えたし、いろいろあった氾濫も終わりが見えたね。最後になってみれば、なんとかなってよかったよかった。いやあ疲れたよ。

 あ、『ライブヴァーミリオン』が前にでた。最後はあの人たちでやるのかな?



「クリュトーマ、まて」


「どうしたの? シローネ」


 あれ? シローネが『ライブヴァーミリオン』を止めちゃったよ。『ブラウンシュガー』がやるってこと?


「ここはベンゲルハウダーだ」


 そうきたかあ。


「はははっ、なるほどなるほど。シローネはわれらに花を持たせてくれるか」


「そうじゃない。おれたちは助っ人だ。ワイバーンはしかたなかったけど、今はもうできるんだろ?」


「もちろんだとも!」


 うわあ、『一家』のみなさんがすっごい顔してるよ。笑ってるけど……、笑ってるけどさあ。

 シローネもシローネだよ。そんな言い方したらあの人たちがどうするかって、わかってるんだよね? 横でチャートも頷いてるしさあ。



「われら『一家』で締めるのも悪くないが、それではどうにも面白味に欠けるな」


 そんなこと言ってる場合なのかなあ。あ、『エクスプローラー』がグレイデーモンだけやっつけてるね。なんか楽しそうだけど、オリヴィヤーニャさんに付き合うのって大変そうだよ。


「ふむ……」


 そんなオリヴィヤーニャさんが辺りを見渡した。チラっとだけ目線が合った気がするけど、きっと絶対、気のせいだ。


「『おなかいっぱい』。貴様らだな」


 やだよ?



 ◇◇◇



「シローネよ」


「なんだ?」


「たしかに貴様らは若く力もある。われらよりも遥かに強いであろう」


 そうだね。ボクもそう思うよ。それがどんだけとんでもないかも。


「だがな、ベンゲルハウダーにも若き力は芽生えつつある。それこそが『おなかいっぱい』だ。どうだ、貴様らと同年代であろう。しかも女子ばかりときた」


「なるほど。たしかに」


 ねえ、それって若い女の子ってだけで、それ以外が全然違うんだけど。なんかさ、すっごい迷惑な話に聞こえるんだよなあ。



「はいっ!」


「どうしたラルカラッハ」


「『ラーンの心』がいいと思います!」


 うん、あの人たちの方がなんていうか、そう、冒険者っぽいよ。そうだよね!


「お、おまっ、ラルカラッハっ!? そういうとこだぞ。お前のそういうの良くないぞ!」


「えー、だってレアードさんってこういうの好きそうじゃないですか」


「好きだけどやだよ! なんでベンゲルハウダーの代表みたいなことしなきゃなんないんだよ」


 それはボクもだよ。

 じゃあさ、ほかの誰か……。なんでみんな目を逸らしてんのさ! しかも笑いながらだよっ!?

 オラージェさんとかカースドーさんたちなんて、もうゲラゲラ笑ってる。酷くない!? えっとならさ、あ、あの人たちなら若手だし──。


「迷宮総督閣下、僕もここは『おなかいっぱい』が適任かと思います」


「ほう、貴様もそう思うか」


「リーカルドさん!?」


『センターガーデン』のリーカルドさんが割り込んできた。口元が薄っすら笑ってるんだけど。


「先に言われましたね」


 ボクたちにだけ聞こえる声でシエランが言った。そういうことかあ。自分たち『ヴィランダー』に振られる前にってことね。憶えとくからね、このこと。


「先の氾濫において、僕は彼女たちと共闘しました。その際に思ったのです。『おなかいっぱい』は伸びると。そして彼女らは証明し続けています」


「ふむ、中々の慧眼だな」


「はっ!」


 なんか勝手に話進めてるよ。なんかどうでもよくなってきたなあ。

 ああ、マスターデーモンも困ってるよ。グレイデーモンを呼び出してるけど、現れたらすぐに倒されてるもんねえ。なんでボクはモンスターに同情してるんだろ。



「ラルカラッハ」


「はいっ!」


「やれ」


「……はい」



 こうして『おなかいっぱい』はベンゲルハウダー代表にされちゃったんだ。



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