第97話 すいとんの術!!
「ルアル! 手裏剣攻撃だよ!」
アルルはそう言って追いかけてくるロボットに向かって手裏剣を投げる。
ルアルも言われた通り手裏剣を投げるが、その硬いボディには全く通用せず少し傷が入る程度だった。
「お姉ちゃん! 全然効かないよ!!」
その間も巨大ロボは彼らに向かって銃弾を打ち込んでくる。
「クリスに貰った爆弾は!?」
アルルが聞いたが、ルアルは首を横に振った。
「もう無くなっちゃったよ! こんな時にあれがあれば……」
ルアルが肩を落として落ち込んでしまう。
アルルは必死に手裏剣やクナイで攻撃を続けたが、やはり全く通用していなかった。
「お姉ちゃん、もうダメだよ~。僕たちあの巨大ロボに食べられちゃうんだ……!!」
ルアルがそんな弱音を吐いていると、巨大ロボはそれに追い打ちをかけるようにアルルに向かって手を伸ばし彼女を掴み上げてしまった。
「うあっ!!」
強力なアームで体を締め付けられてしまったアルルは必死にもがくもその腕から抜け出すことができない。
「お姉ちゃん!!」
ルアルは足を止めロボに向かって走って近づこうとしたが、ロボが投げた爆弾によって吹き飛ばされてしまう。
さらにはロボから無数の銃弾が放たれ、もはや近づくことすらもできなくなってしまった。
「ルアル。私は大丈夫だから!」
アルルはそう言って必死に抜け出そうとするが、彼女の力でそのアームの力を解くことは到底できそうにない。
巨大ロボはアルルを掴んだまま自らの頭部に引き寄せ、彼女に向かって何やら光を当て始めた。
「な、何……?」
その奇妙な行動にルアルは疑問を浮かべた。
その疑問に遅れてやって来たビビエルが答えた。
「アルル。あなたの脳をスキャンして抵抗軍の情報を貰うよ」
「そ、そんなこと絶対にさせない!」
アルルはそう叫んだが、その間にも彼女の脳は着々と読み込まれていった。
「このままじゃ……」
どうすることもできずただ立ち尽くすルアルだったが、アルルはまだ諦めてはいなかった。
彼女はアームから抜け出すことを諦め、術を唱えるポーズを取った。
「一か八かアレに賭けるしかない」
「お、お姉ちゃん! まだ何か忍術があるの!?」
そんなルアルの質問に、アルルは力強く頷いた。
「忍法、すいとんの術!!」
アルルは叫んだ。
「お姉ちゃん! すいとんの術はこんなところで使うものじゃないよ……!!」
ルアルは愕然として言ったが、アルルはまだ術のポーズを取ったま何かを待っていた。
「私のすいとんの術はそこらのものとは一味違う。その名の通り、すいとんの術……」
そんなアルルの言葉にビビエルとルアルは上を見上げた。
何かミシミシという嫌な音が天井から聞こえてくる。
「ま……まさか!!」
「逃げて!! ルアル!!」
アルルがそう叫んだ瞬間、天井を這うようにしてひび割れが広がった。
そして、弾けるように破片を飛び散らせながら巨大な穴が開いたかと思うと、そこから巨大で真っ白なすいとんが落ちてきた。
飛んできた天井の破片によってダメージを受けたロボは動作を停止し、アルルはそのアームから抜け出すことができた。
「お姉ちゃん! 良かった!」
解放されたアルルに近づいたルアルだったが、安心したのもつかの間、ある恐ろしいことに気づいてしまう。
「お姉ちゃん、あれ、大きくなってない……?」
ルアルの言う通り落ちてきた巨大なすいとんは次第に大きくなっていき、さらにはその巨大化するスピード自体も速くなっていっていた。
「そう。それがすいとんの術だから」
「そう、じゃないよ! あれどこまで大きくなるの!?」
「うーん。分かんない」
彼らがそんなことを話している間にもすいとんはどんどん巨大化して、周りの物を弾き飛ばしてきた。
それはすぐにアルル達の元まで迫り、彼らはどんどん窓の方へと追いやられてしまう。
「ど、どうしよう! もう階段までの道塞がれちゃったよ……!!」
「じゃあ、飛び降りる?」
「何言ってるの! ここ10階だよ!!」
「大丈夫大丈夫。私達、忍者でしょ?」
「アホ! 忍者にもできることとできないことがあるでしょ!!」
叫び声を上げるルアルを他所にアルルは躊躇なく窓を蹴破ると、外へと乗り出した。
「うんうん。視界良好。風向き良し」
そう言ってアルルはルアルの肩を掴んだまま後ろに下がった。
「お、お姉ちゃん、冗談だよね!?」
「じゃあ、行くよ!」
アルルはそう言ってルアルと共に窓に向かって思い切り走り始めた。
そしてそのまま直前で踏み切って窓の外へと飛び出した。
「うああああああああああああああああ!!」
2人はそんな叫び声を浴びながらそのまま下へと落ちていった。
そして……。
グチャ。
「う……うえ……。な、なにこれ……。ベトベトするぅ……」
「すいとんの術、パート2だよ」
アルルは直前ですいとんを地面に敷き、それをクッションにしたことで2人は落下の衝撃に耐えることができた。
「えっ!? じゃあまたこれも大きくなるの!?」
「どうかな~? あんまり力を込めてないから大きくならないと思う」
彼女の言った通り、2人に潰されたすいとんは潰れたままくたりと横たわっていた。
「アルル! ルアル!」
そんな2人の元にバイクに乗ったニーナが到着した。
「私達は大丈夫。それより……」
アルルは後ろを振り向いた。
するとそこにはこちらに向かってゆっくりと歩いてくるビビエルが居た。




