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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
最終章 世界
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第94話 がんばれロンドさん

 そしてロンドはロッドを取り出して構えた。


「ロンド。大丈夫。私に任せて」


 そんなニーナの声がインカムから聞こえてきた。


「任せる? どういうことだ?」


 ロンドがそう言った瞬間、どこからか爆音で響き渡るエンジン音が聞こえてきた。


「な、なんだ?!」


 警備員達は音のする方へと振り返る。


 そこには巨大なバイクにまたがった小さな少女がいた。


 そして彼女はそのまま人混みの中に猛スピードで突っ込んできた。


 人々は大慌てで逃げていき、警備員達はそのバイクに突き飛ばされた。


「私がおとりになる。さあ早く行って」


 ニーナはロンドにそう言って再びバイクを走らせた。


「悪い! 助かった!」


 ニーナの思惑通り、その場に居た警備員達のほとんどが彼女を追いかけていったことでロンドは上手く逃げることができた。


 ロンドはビルの中に入るとすぐにドアの陰に隠れて、追いかけてくる警備員達を待ち構えた。


「ロンド海賊団の恐ろしさを見せてやる」


 ロンドはそのまま息を潜めて彼らが突入してくるのを待った。


 警備員達はそうとも知らず、走りながら勢いよくビルの入り口に突入してくる。


「そこだァ!!!!」


 ロンドは警備員達が見えたと同時にロッドで彼らを思い切り叩き、気絶させてしまった。


「はっは。どうよ。これがロンドロッドの力だ!」


 ロンドは得意げに言った。


 彼は倒れた警備員達をその場に放置してエレベータへと向かった。


 だがそこには運悪く別の警備員達が待機していた。


 彼らはロンドを見つけるとすぐに追いかけて来る。


「一体何人いるんだよ!」


「おい! 待て!!」


 再び追いかけられる形となったロンドはエレベーターで上に向かうのを諦めて階段へと向かった。


 最上階は30階。


 上を見上げればその階段は果てしなく高い所まで続いてる。


「くそっ! こんなの登ったら5キロは痩せちまうぞ」


 そんな文句を言ったロンドだが、後ろを振り向けば警備員達が未だに追いかけてきていた。


「やるしかないってことだな……」


 そう呟くとロンドは階段を走って登り始めた。


 警備員達もロンドを逃がすまいと必死に追いかけてくる。


 しばらく階段を走っていると、流石のロンドも息が切れてどんどん体力が消耗していく。


 このまま最上階まで持つとは思えない。

 

 だがそれは警備員達も同じだろう。


「おいお前ら! そろそろ疲れたんじゃないか!?」


 ロンドは追いかけてくる警備員達に聞いた。


「バカな! 俺たちはお前を捕まえるのに命を懸けてるんだ!!」


 警備員はそう叫ぶと、ロンドに向かって光線銃を撃ち始めた。


「あっぶないだろ!!」


 ロンドは必死に銃を避けながら階段を上り続けた。


「ロンド、こっちは全員装置の設置終わったよ。そっちは大丈夫?」


 そんなクリスの声がインカムから聞こえてきた。


「ああ!! 全然大丈夫じゃない!!」


「ロンドさん!! どうしたんですか!! 助けに行きましょうか!!」


 そんなピッカーの声が聞こえてくるがロンドは断った。


「部下に助けられるなんてごめんだ。ここは俺で何とかする。俺のことは気にせず計画を進めろ!」


 ロンドはそう言って一方的に通信を切った。


 体力の消耗で次第に走るスピードが落ちてきていたロンドだったが、警備員達はそのままの速度で彼の事を追いかけてくる。


 そのせいで彼らとの距離はどんどんと縮まるばかりだった。


「なんなんだあいつらは! バケモノかよ!!」


 このままでは追いつかれて彼らに捕まってしまう。


 そう考えたロンドは思い切って階段の踊り場で立ち止まった。


「なんだ!? もう諦めたのか?」


 追いかけてくる警備員はそう叫んだがロンドは答えなかった。


 彼はロッドを構えると目を閉じた。


 そして彼はゆっくりとロッドを回し始めた。


「ハァハァハァ……。ようやく追いついたぞ……」


 ついに警備員達はロンドに追いつくと彼に銃を向けた。


「ベン・ロンド! お前の負けだ! 大人しくしろ!」


 だがロンドは黙ったまま次第にロッドを回す速度を上げていく。


 ロッドが風を切る音がブゥンブゥンと奇妙な音を奏で始める。


「何をやってるんだ! やめろ!」


 警備員はそう叫ぶと、ロンドに向けて躊躇なく光線銃を撃った。


 だがその攻撃はロッドの風圧によっていとも簡単に弾かれてしまう。


「な、なんだと!?」


「いいか、よく聞いておけ。これが俺の、海賊旋風歌だァ!!!!」


 そう叫んでロンドはロッドを思い切り振り下ろした。


 すると強力な風の衝撃が辺りに広がり、警備員達を吹き飛ばした。


「うわっ!!」


 その衝撃を受けたのは警備員達だけではない。


 ロンドもその衝撃で上に向かって吹き飛ばされ、そのまま高く飛び上がった。


 ロンドは全身に風を受け、まるで巨大な手に後押しをされているような感覚だった。


 ゆっくりと流れる時の中、彼はしばらく空中にとどまっていたが、そのまま一回転して10数階上の階段に着地した。


「はっは~! 見たか! 俺の勝ちだ!! ざまあみろ!!」


 ロンドは上から警備員達に向かって叫ぶと、そのまま最上階目指して上へと上っていった。


「くそっ! しまった!!」


 警備員達は逃げられたロンドを追いかけて再び階段を駆け上がる。

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