第87話 姉妹の別れ。ニンニン逃げろ! 捕まるな!
「ビビエル!!」
すぐに立ち上がったニーナは足を引きずりながらビビエルに近づいた。
そしてニーナは彼女の頬を思い切り叩いた。
「なんであんなことしたの」
ニーナは聞いた。
「アランは死ぬ気だった。だから。これで彼は死ななくて済んだでしょ?」
ビビエルは言った。
「でもサイファーを倒すチャンスも失った」
「だったらお姉ちゃんはアランが死んだ方がよかったっていうの?」
ビビエルはそっぽを向きながら聞いた。
「そうは言ってない」
「サイファーの側につけばもう仲間が傷つくのを見なくて済むでしょ。お姉ちゃんも戦うことない。彼に従えばいいんだよ。私たち全部間違ってたんだよ。それにようやく気づいた」
そう言ったビビエルにニーナは悲しい表情をした。
「私が彼につくことはない」
「どうして? 彼が間違ってるから? でももう彼はこの国の王様だよ。だったら彼に従うのは何もおかしくない。今までみんなそうやって歴史を繰り返してきた」
「私はあの学園の生徒会長。洗脳されたみんなを救い出す義務がある」
ニーナは言った。
「でもお姉ちゃんは辞めさせられたじゃん! 大体生徒会長だってアンナに言われてなったんでしょ? どうしてそんなものにこだわるの?」
ビビエルはニーナの方を見て叫んだ。
「みんな私を慕ってくれた。私に一度は投票してくれた人達。彼らを無碍にはできない」
「だからサイファーの側にはつけないの?」
「そう」
ニーナは小さな声で答えた。
「だったら」
ビビエルは光線銃を取り出してニーナに向けた。
「私たちはもう敵同士……。お姉ちゃん、私に殺されたくなければ逃げて」
「ビビエル……まだ遅くない。気が変わったなら……」
ニーナが言ったがビビエルは容赦無くニーナの足元の岩を撃って破壊した。
「早く!!」
ビビエルは叫んだ。
そんな彼女を見てニーナは悲しそうな表情のまま彼女の元を去った。
ニーナがいなくなったことを確認したビビエルは銃を下ろし、サイファーの元へと近づいて言った。
「サイファー。あなたの仲間になってあげるには条件がある」
「条件だと? ふざけるな。立場がわかってるのか?」
「あなたはもうこの国を乗っ取るという目的は達成した。その次には何が待ってると思う? このボロボロの国を立て直さなきゃ。だったら優秀なエンジニアは絶対に必要だと思うけど?」
ビビエルは言った。
「………条件ってのはなんだ?」
「お姉ちゃん達には手を出さないで。少なくとも向こうから手出しをしてくるまでは」
◇
ビビエルの元から逃げたニーナはミルとアルル、ルアルと合流した。
彼らはリンカの入った治療ポッドを運び出し、隠れながら移動している所だった。
「ニーナちゃんそんな足で歩き回って大丈夫だったの?」
ミルが聞いた。
「ちょっと無理をしすぎた」
ニーナそう言いながら痛そうに顔をしかめた。
彼らは路地裏に隠れながら道に出る機会を窺っていたが、ニーナ達を探す警備隊も増えてきて出て行くことができずにいた。
「くっそ〜! お姉ちゃん、透明の術とかないの〜?」
ルアルが聞いた。
「そんなものあるわけないでしょ」
アルルが言った。
「困ったな〜どうしよっか〜」
ルアルが唸っていると、アルルが突然彼の口を手で覆った。
彼らのすぐ近くに城の警備隊が近づいて来ていたのだ。




