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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第三章 王国
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第84話 悪魔の力を手に入れたアランはサイファーを倒せるか

「サイファー!!」


 サイファーの元へと一瞬でたどり着いたミルは叫んだ。


「あなただけは……許さない!!」


 ミルはそう叫んでサイファーに向かって電撃を放った。


 だがその瞬間、彼女の体に激痛が走った。


「うっ……!!」


 サイファーは彼女の攻撃を軽くあしらった。


「なんだァ? お前」


 サイファーはミルの方を振り返って言った。


「あなたを倒しに来たの! エリオちゃんやリンカちゃんをあんな目に合わせたあなたを!!」


 ミルは叫んだ。


 サイファーはため息をつくと、呆れた様子でミルに近づいて来た。


「俺はなァ、この国の王だぞ? お前みたいな雑魚が、王の邪魔をするとどうなるかわかってるのか?」


 彼はそう言って周りに居た手下たちに合図をした。


 するとすぐに彼らはミルを捕らえた。


「ちょ、ちょっと離して!」


「適当に牢屋にぶち込んでおけ」


 サイファーがそう支持をすると手下達はミルをどこかへ連れて行こうとする。


「私は確かに弱い……。でも、リンカちゃんやエリオちゃんを思う気持ちは誰にも負けない!!」


 ミルはサイファーの手下達に拘束されながら言った。


 そして彼女は電撃を放つと、周りにいたサイファーの手下達を吹き飛ばしてしまった。


 そして彼女はサイファーに向かって電撃を纏った拳で殴りかかった。


 だがまたしても簡単に止められてしまった。


「だから……邪魔だって言ってるだろうがァ!!!!」


 サイファーはそう叫んで杖を振ると、オーブの力でミルを吹き飛ばした。


 ミルは防御しようとしたが、圧倒的な力になすすべなくそのまま壁に叩きつけられた。


「お前もあいつらのように殺されたいか? ア?」


 サイファーはミルの首を掴んで言った。


 ミルはサイファーの力で身動きが全く取れない状態になっていた。


 そのまま彼女はサイファーに首を絞められる。


「うっ……」


「俺の邪魔をする奴は誰一人として許さない」


 サイファーはそう呟いてミルの首を強く締めた。


「私だって……。やればできるんだから……」


 ミルはそう言ってベルトのギアを上げていく。


 すると彼女の体から今までよりも強い電撃が放たれ始めた。


「やめて! ミル。それ以上やったらあなたの体が持たない」


 ミルを追いかけてやって来たニーナがミルに向かって叫んだ。


「ニーナちゃん。私のことは気にしないで。私はこいつに復讐できれば満足だから」


 そう言って彼女はさらにギアを上げようとした。


 だがそんな所に突然一人の甲冑を来た男が近づいて来た。


「おい、サイファー様」


 男は言った。


「なんだ? お前……。俺の邪魔をするな。今いい所なんだよ」


「でも緊急です。もう1つのオーブの場所が分かりました」


 その言葉にサイファーはミルから手を離して甲冑の男に近づいた。


「本当だろうな? どうでもいい内容だったら殺すぞ?」


「本当です。マジです」


 男は言った。


「で、どこにあるんだ?」


「え!? どこ? どこなんだろう? どこって言ったらいいの? お姉ちゃん」


 男はそんなことを言い始めた。


「そんなの知らないわよ! 適当に言ってよ!」


 どこからか小声で少女の声も聞こえてきた。


「あ……?」


 サイファーはそんな男を疑いの目で見始めた。


「あ、あっちです!」


 男はしばらく慌てた後、適当な方向を指さした。


「なんだ? お前は何者だ……? そんな甲冑を着て……。顔を見せろ!」


 サイファーはそう言って杖を男に向けるとその甲冑は砕け散り、白い煙と共に少年と少女が出てきた。


 その正体はアルルとルアルだった。


「あ~……。変化の術が解けちゃった……」


「ようし、バレたら仕方がない。僕たちの正体を教えてやろ~」


 2人は忍者の衣装に着替えて飛び上がるとタイミングを合わせてポーズを取った。


「1つ! ニンニン、忍法を使って悪を成敗する」


「2つ! あるある言って笑いも取っちゃう」


「スピード忍者! 姉のアルル!」


「見習い忍者! 弟のルアル!」


「そんな2人を人々はこう呼んだ!!」


 そう言いながら2人は最後の決めポーズを取った。


「「あるある忍者アルルアル!!」」


 そんな2人のポーズを見てミルは思わず拍手をした。


「す……すごい!」


「アルルとルアルか……。お前達、何しに来た」


 サイファーは言った。


「サイファーに裏切られたからね! 私達、正義の味方に転向することにしたの」


「そうそう。やっぱりそっちのほうがかっこいいんだよね」


 2人は言った。


「なにが正義の味方だ……。俺はお前達だろうと俺の邪魔をする人間は容赦なく殺すぞ」


 サイファーがそう言うと、2人は後ずさりをする。


「それは本当? あなたの中にもうウェインは居ないの……?」


 アルルは一縷の望みをかけてサイファーにそう聞いた。


 サイファーはアルルのその言葉に一瞬だけ足を止めた。

 

 だがまたすぐに近づいて来た。


「もう居ない……。あいつは死んだよ。跡形もなくな。俺がエリオを殺したのには色んな意味があった。エリオが居ることで俺の中にまだかすかにウェインの欠片が残っていたんだ。だがエリオはもうこの世には居ない!」


 サイファーは言った。


「そんな……」


「だから、わかるな? 俺はもう迷いなくお前たちを殺せるんだよ!!!!」


 サイファーはそう叫びながら杖を振り下ろそうとした。


 だが何者かに後ろから止められてしまう。


「早く逃げて!!」


 ミルはサイファーの腕を後ろから掴んで叫んだ。


 だがサイファーはすぐにミルを突き飛ばした。


「お前ら全員まとめてぶっ殺してやる!!!!」


 サイファーは叫んだ。


「みんな……早く逃げて!」


 ニーナが叫んだがサイファーは強力なエネルギーの塊を全身に溜め込みそれを放出しようとしていた。


 もう今更逃げたところでサイファーの攻撃に巻き込まれることは避けられない。


 全員がそう思った時、1人の少女の声がどこからか聞こえてきた。


「そうはさせない……」


 ミルたちがその声の方向を見ると、そこにはアランとビビエルが立っていた。


「ビビエル!」


 ニーナが言った。


「私のせいで……リンカが……みんなが……」


 ビビエルは俯きながらそう呟いた。


「だから、今からあいつを倒すんだろう?」


 アランは言った。


「うん。倒す…………。絶対に!!!!」


 ビビエルはベルトを起動させ、アランは暗黒エネルギーを開放した。


「アクティベート!!」


 ビビエルはそう叫んでオーブの力を開放した。


「お前のオーブは俺のものだ。ビビエル・イェール!!!!」


 サイファーは溜め込んでいたエネルギーを2人に向かって一気に放出したが2人はそれを難なく受け流す。


 そしてサイファーの杖とアランの拳がぶつかり合い、辺りに衝撃が広がった。


「す、すごいエネルギーだ……」


 そして遅れてビビエルもサイファーに攻撃を仕掛けた。


「サイファー! 私にはエネルギーの流れが見える。今の私達2人のエネルギーはあなたのエネルギーを上回ってる!!」


 ビビエルはそう言って拳に力を溜めた。


「俺を甘く見るなよ? このクソガキがァアア!!!!」


 サイファーはそう言って飛び上がると、周りにあったビルを動かし始めた。


 ビルが地面をすべるようにしてビビエルたちに向かって近づいてくる。


 だがそれでも彼らは動じなかった。


 ニーナ達が急いで逃げていく中、アランとビビエルの2人はその場で立ったまま、ただその手をビルに向かってかざした。


「君こそ、僕たちを甘く見ないほうが良い」


 アランはそう言って近づいてくるビルを一瞬で破壊した。


 一方のビビエルはサイファーからコピーした力を使ってビルを動かし、反対方向へと倒してしまった。


「調子に乗るなよ? これだけだと思うなァ!!!!」


 サイファーはそう叫ぶと今度は周りのビルをアラン達に向かってどんどん倒していった。


 アランとビビエルは高く飛び上がり、倒れてきたビルを避けてその上に乗った。


「サイファー!! 覚悟しろ!!」


 アランはそう言いながらさらに高く飛び上がるとサイファーに向かって拳を繰り出した。


 そのパンチはサイファーに直撃して彼を思い切り突き飛ばした。


 サイファーは地面にめり込むほど強く叩きつけられ、痛みに声をあげた。


「リンカの恨みだ!!!! 食らえ!!!!」


 アランは地面に倒れたサイファーに向かって飛んでいき、そのまま彼の胸を拳で貫いた。


「うああああああっ!!!!」


 サイファーは叫んだ。


「ハァハァハァ……」


 アランはそのまま立ち上がると、倒れたサイファーを確認した。


 アランの強力なパンチにより胸にはぽっかりと穴が開いており、もう息もしていない。


 彼は明らかに死んでいた。


「僕たちは……勝ったのか……?」


 あまりのあっけなさに疑問を持ちながらもアランはつぶやいたが、ビビエルはまだサイファーが生きていることを知っていた。


「アラン!! 気を付けて!!」


 ビビエルが叫んだがアランはそこに気付くのが遅かった。


「アハハハハハァ!!!!」


 生き返ったサイファーに腕を掴まれ、そのまま思い切り地面に頭から叩きつけられた。


「な……なぜだ……」


 アランは痛みに耐えながら呟いた。


「俺の命は無限だァ!!!! 何度だって蘇るんだよ!!!!」


 そう叫ぶ彼の胸にはすっかりアランに付けられた傷が無くなっていた。

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