第81話 城に突入! サイファーとビビエルの直接対決
翌朝。ニーナとビビエル、そして熊は拠点を後にして城へと向かっていた。
「計画はこう。まずビビエルと熊が正面から突入して敵を引き付ける。その隙に私が裏から忍び込んで高速移動で剣を奪う」
ニーナがビビエル達に言った。
「おっけ~。任せて」
「簡単な役目だな」
ビビエルと熊は答えた。
「うん。お願い。じゃあ私は先に行く」
ニーナはそう言うとベルトを起動して一瞬で消えた。
「お姉ちゃん張り切ってるなあ~」
ビビエルが頭の後ろで手を組みながら言った。
「ようし俺達も行くぞ!!」
「え!? ちょっと待って~!」
熊も張り切って走り出したのでビビエルも慌てて追いかけた。
ニーナは早くも城の裏手に到着しており中の様子を伺っていた。
「思ったよりも人が多い」
彼女がそう呟いた通り、サイファーが増員したのか警備の数も増えていた為、高速移動を使ったとしても簡単に見つかってしまう状況になっていた。
彼女は慎重に壁を上ると、窓から中へと侵入してすぐに物陰に隠れた。
一方のビビエルたちは熊が先行して正面の門へと突入していっていた。
「オラオラオラオラ!! 悪魔のお通りだ!!」
熊はそんな事を叫びながらどんどん進んでいく。
「な、なんだ!?」
「おいお前達!! 全員構えろ!!」
城の門を守っていた警備員達はそんな事を叫びながら光線銃を構え、一斉に熊に向かって撃ったが熊には待ったく通用しなかった。
「悪魔にそんなちんけな銃が聞くと思うなよ~!! クマックマックマ~!」
熊は笑い声を上げながら突進していき警備員達を突き飛ばした。
「派手にやるなあ~」
そんな熊を見ていたビビエルもベルトに手を掛けて戦闘準備に入る。
だが彼女は1人の警備員に気づかれてしまう。
「おいお前! そこで何してる!! さてはあの熊の仲間だな? お前達! あの女を捕まえろ!!」
彼女の元にも光線銃を構えた警備員達が続々と集まって来た。
「行くよ。アラン。待っててね」
ビビエルは近づいてくる警備員達にも臆せずそう呟くと、そっとベルトを起動した。
「アクティベート!!」
彼女のそんな叫びと共にベルトからオーブによるエネルギーが一気に放出され、近づいて来た警備隊を吹き飛ばした。
彼女は緑色のオーラに包まれ、手を一振りしただけで10人以上いた警備隊を全員倒してしまった。
「すごい……。これがオーブの力」
彼女はそのまま歩いて城の門を通り、中へと入っていった。
中には彼女達が思っていた以上の数の警備員達が待機しており、彼らを待ち受けた。
だが暗黒エネルギーをその身に宿した巨大な熊とオーブの力を身に纏ったビビエルの敵ではなかった。
彼らは何十人もの警備員達を圧倒的な力でねじ伏せて城の中を進んでいった。
ニーナの計画通り城の警備は総動員で彼女たちの対処に当たった為、城の表側に警備が集中し裏はガラ空きになった。
ニーナはその隙を付いて王の間がある2階へと向かった。
サイファーに酷く破壊されていた2階部分だったが、一部は修復されており王の間への道は確保されていた。
ニーナは隠れながら少しずつ進んで目的の部屋へと向かう。
警備隊は思った以上に苦戦しているようで王の間の警備についていた警備員も次々に下の階へと向かっていっていた。
そのおかげでニーナはいとも簡単に王の間へとたどり着くことができた。
「ここが王の間……」
ニーナはその重い扉を音を立てないようにそっと開けると静かに中へと入っていった。
部屋の中には誰一人居ない。そしてかなり荒れ果てていた。
王様が貯めこんでいた金銀財宝が部屋中に放り投げられている中、1つだけ大事に壁に飾られている剣があった。
「あれだ……」
ニーナは音を立てないよう静かに剣の傍まで近寄った。
剣は青白いオーラを放っており、まだその中に魂が入っていることが感じられた。
「アラン……」
ニーナはそう呟いて剣に手を伸ばした。
だが、そこでピタリと手が止まった。
ニーナはどう力を入れても手が動かなくなってしまったのだ。
「ど、どうして……」
「おいおい。ニーナ・イェール。そう簡単に持っていけると思ったか?」
その声に彼女は咄嗟に振り向くと、そこにはサイファーが立っていた。
サイファーは杖を振って剣を自分の手元へと引き寄せると背中に背負った。
ニーナは咄嗟に拳銃を取り出そうとしたが、サイファーに手を掴まれて拳銃を落としてしまう。
そして彼がもう一度杖を振るとニーナは思い切り突き飛ばされて倒れた。
「お前はこれまで何度も俺の邪魔をしてきた。今日こそその清算をしてやろう」
サイファーはそう言ってニーナに向かって杖を突き出した。
「うああああああっ!!」
ニーナは突然叫び声を上げて足を抑え始めた。
「い……いたいっ……」
「ああそうだろう。感じるか? それが俺が感じてきた苦しみだ。俺は自分の進む道を邪魔されるのが何よりも苦痛なんだよ。お前もその苦しみを一緒に味わってくれ」
彼はそう言ってさらにニーナを痛めつけた。
「ん……あああああああっ!!」
ニーナはさらなる激痛に再び叫び声を上げた。
「なんだもう骨が折れたのか? 貧弱だなァ。もっと楽しませてくれよっ。じゃあ今度はこっちの足でどうだ?」
サイファーはそう言ってニーナの折れていない方の足に杖を向けた。
「うああああああああっ!!」
ニーナの足にまた激痛が走った。
「やめ……て……」
ニーナは静かに言った。
「何故やめる必要があるんだ? 今俺は最高に楽しいんだ。止めないでくれよ」
サイファーがそんな事を言っていると、ようやく部屋にたどり着いたビビエルと熊が入ってきた。
「お姉ちゃん!!」
ビビエルが叫んだ。
「ほう、また変わったのを連れてるな。それにお前の持っているそれはフラグメントオーブ……」
サイファーが言った。
「だったら何」
ビビエルは答えた。
「だったらもうお前は無事に家に帰れない。お前を殺してでもそれを奪う」
サイファーが言った。
「おい!! 俺もいるんだぞ! こんなにでっかいのに無視するな!!」
熊はそう言ってサイファーに襲い掛かるが、簡単に弾き飛ばされてしまう。
「いった~っ!!!」
「私はここであなたを倒すつもりで来た」
ビビエルはそう言ってベルトに手をかざした。
「いい度胸だ……。やってみろ!!」
サイファーはそう言いながらビビエルに向かって杖を突き出した。
するとビビエルの体が浮き上がる。
だがビビエルも同じようにサイファーに向かって手を突き出すと彼の体も浮き上がった。
さらには周りに落ちていたガラクタも共に浮かび上がる。
「何っ!? どういうことだ」
サイファーが言った。
「知らないの? このオーブの力はあらゆるエネルギーを操る力。あなたのオーブの力も私のものになる」
2人はその手からお互いエネルギーを放ち、宙に浮いたまま見つめ合った。
お互いの力は拮抗し、しばらく膠着状態が続いた。
「なるほどなァ……。面白い。だがお前は1つ勘違いをしているようだ」
サイファーは言った。
「お前が操れる力は俺のオーブの力の一部だけだ」
サイファーはそう言ってビビエルに向かってさらに強いエネルギーを放った。
するとビビエルは少しずつ押され始める。
「な、なんでっ!」
「確かにお前は大したものだ。魔力もないのに機械の力でオーブの力を操っている。だが完全ではない。それは未完成だ」
サイファーがそう言うとビビエルはそのまま彼の力に吹き飛ばされた。
「ビビエルっ!」
ニーナが叫ぶ。
「熊! ビビエルを助けて」
ニーナが言うが熊は首を横に振った。
「やだよ!! だってあいつ怖い……」
熊は怯えて部屋の隅で縮こまっていた。
サイファーは倒れたビビエルに近づいていく。
「お前の技術は素晴らしい。どうだ? 俺の部下として働いてみる気はないか?」
サイファーは言った。
「なんで私があんたなんかと組まなきゃいけないの? べ~! そんなことするもんか!」
ビビエルはそう言って立ち上がった。
「ああ。これがお前の生き残る最後のチャンスだったのになあ。惜しいことをした……」
「残念だけど。私はまだ力の全てを開放したわけじゃないから」
ビビエルはそう言ってベルトを操作した。
「ここからが本当の闘いだよ…………。ギアマックス。開放!!」
彼女はそのまま残りの力を一気に開放するとそのままサイファーにぶつけて彼を突き飛ばした。
そのエネルギーは部屋にあったガラクタを吹き飛ばし、天井や壁までも破壊した。
「ほう、少しはやるな……。だがまだ甘い!!」
サイファーはそのまま落ちていたガラクタをビビエルに向かって飛ばした。
だがビビエルはそれを全て避けてサイファーに殴りかかる。
サイファーも負けじと彼女の拳を杖で受け止めた。
「私がコピーできるのはあなたの力だけじゃない」
ビビエルはそう言って体から電気を放つとサイファーに電撃を浴びせた。
「うあっ!!」
そして高速移動をしながらサイファーを何度も殴った。
「流石のあなたもこの速さにはついてこれない!!」
ビビエルはそう叫んで彼を殴り続けた。




