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バニラパンチ  作者: うみこん(宇宙みかんコンピューター)
第三章 王国
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第77話 ばばんと悪魔登場! クマックマックマッ!!

 ミルとニーナの2人は恐る恐る近づくと、それは布を投げ飛ばして突然叫んだ。


「あっちぃいいいい~!!!!」


 それは真っ黒で巨大な生物だった。


 悍ましいほど邪悪な黒いオーラを放っているが、そのシルエットはミル達にもよく見覚えのある動物だった。


「熊!?」


 それは明らかに巨大な熊の形をしていた。


 だが熊はそれを否定した。


「バカヤロッ! 俺は熊なんかじゃない!! 悪魔だ!!」


「でも、見た目は熊だよ」


「うるさい! それは前世の俺だ。今は世にも恐ろしい悪魔に生まれ変わってんだよ。ほら、その目で隈なく確かめろ? 熊だけにな! ア~クマックマックマッ」


 熊は高笑いをしながら言った。


「大体、せっかく人が気持ちよく寝てたのに無理やり外に引っ張り出しやがって。このバカヤロッバカヤロッ」


 熊はそう言いながらミルの頭をポカポカと叩いた。


「そうなの? じゃああの中に戻る?」


 ミルがそう言うと熊は慌てて否定した。


「バカヤロッ! そんなの嫌に決まってるだろうが! バカヤロッバカヤロッ」


 熊はまたミルを叩いた。


「じゃあ熊の悪魔さん。私の願いを1つ叶えてよ」


 ミルは言った。


「バカヤロッ。熊の悪魔じゃなくて、悪魔の熊だ。間違えるなよ? 大体な~んで俺がお前の願いを叶えなくちゃいけないんだ? 俺は魔人じゃないぞ? 暇人ではあるけどな。クマックマッ」


「だって私がそういう契約であなたを呼び出したから。これは魔術契約だから、破ればあなたは自動的に壁の中に逆戻りだよっ」


「すみませんでした。言う事聞きます。聞かせていただきます」


「それでよろしい」


「じゃあこれ」


 ニーナはそう言ってどこからか持ってきた鮭を熊に投げた。


「わあ!! 鮭だ!! やった~!! 大好き!!」


 熊は大喜びして飛びついたが、見られていることに気づいて咳ばらいをすると続けた。


「まあ、ありがたく貰ってやろう」


 そう言って熊は鮭を一口で平らげた。


「う~ん。やっぱり熊だね」


「で、お前の願いは一体何なんだ? 俺は早く自由になりたいんだよ。俺ってフリーダムな熊なんだよな」


「私の大切な人を生き返らせて欲しい」


 ニーナが言った。


「はぁ~? 何言ってんだバカヤロッ。そんなこと出来るわけないだろう? 俺にだってできることとできないことがある」


 熊は腕を組んだままそっぽを向いた。


「ゼロから生き返らせるわけじゃない。肉体は無くなってしまったけど魂はまだ生きてる」


「……ほう?」


「彼は魔剣グラによって殺された。その剣の中にまだ魂が残っているはず」


「なるほどなぁ~……。そうなると話は少し変わってくるな……。だが難しいことに変わりはないんだぞ? 調子に乗るなよ? う~ん、でもくまったな~……」


 熊はそう言って腕を組んでしばらく考えた。


「ようし! 分かった! こうしよう。1つ条件を呑んでくれたら生き返らせてやってもいいだろう」


「条件?」


「そうだ。そいつの人生の半分を俺にくれ。そうすれば生き返らせることができる」


 熊はそう言ったがニーナ達はあまり理解ができずしばらく固まった。


「どういうこと?」


「言ってるまんまだ。そいつはもう肉体がないんだろ? だったら俺の体をそいつにやろう。だが俺も同時にそいつとして人間の人生を半分だけ歩ませてもらう。どうだ? いい条件だろ? 俺は昔っから人間に憧れてたんだ~。人間っていいな~。クマックマックマッ」


「待って、他に方法はない?」


「無茶言うなバカヤロッ。肉体を作るなんてのはそう簡単にできることじゃない。だから俺の肉体を貸してやろうって言ってるんだぞ? 幸い俺の肉体はエネルギーで出来てる。その人間の魂が入ればそいつの容姿にあわせて変化するから安心しろ。熊人間にはならない」


「ほんと? よかった」


「おい、もしかしてお前は見た目の事で心配してたのか? か~! ムカつくね。よく見ろ、俺も十分かっこいいだろうが! ほら!! 恋しろ!!」


 熊はニーナに向かって顔を近づけたが、ミルが止めた。


「まあまあまあ、契約も固まったことだし、早く行こう?」


「行くったってどこに行くんだ?」


「魂が封印された剣はサイファーが持ってる。奪い返さないと」


「はぁ~!? ちょっと待て! そんなの聞いてないぞ!!」

 

「あなたも手伝ってよね熊さん。剣がないと契約不成立で壁の中に逆戻りだよ?」


「バカヤロッ! なんで俺が~!!」


「じゃあ、行くよ」


 ニーナがミルと熊の手を握って言った。


「ちょ、ちょちょっとまって、またあれやるの!?」


 ミルが叫んだ。


「俺は良いって言ってないぞ~!」


 熊も叫んだがニーナは容赦なく2人の手を引いて走り出した。


 2人は数分の間ニーナに振り回されながら拠点まで戻った。


「オエー!」


 2人は気持ち悪そうに便所に駆け込んだ。


「く、熊だ……」


 熊を見たビビエルは驚いた。


「ビビエル、オーブはどうなった?」


 ニーナがビビエルに聞いた。


「じゃじゃーん。これ見てよ」


 ビビエルが新しいベルトを見せて言った。


 そのベルトは緑色に輝いており、中にオーブがは埋め込まれていた。


「これさえあれば私でもオーブを使いこなせるんだから」


 ビビエルは自慢げに言った。


「ありがとう、ビビエル」


 ニーナは言った。


 そして彼女はリンカに近づくと、家にあったハヤトの置手紙を渡した。


 リンカはさっそく手紙を読むと心配そうな表情をした。


「彼はきっと大丈夫。彼も木崎源十郎の息子だから」


 ニーナは言った。


 彼女のその言葉にリンカは少し笑顔になった。


「そうですね……。ハヤトも凄く強くなりました」


 リンカは呟いた。


「あ!!!!」


 トイレから出てきた熊はリンカのことに気づくと突然飛び上がった。


「どうしたの?」


 ミルが聞いた。


「あ、あいつは俺を蹴飛ばした、ば、バケモンだ! なんでこんな所に! 今は弱っているみたいだ、ようし今のうちに倒しておかないと……。熊パンチだ」


「や、やめてよ。リンカちゃんは確かに暴力的だけど悪い子じゃないから」


 ミルが言った。


「も、もしかしてあの時の熊さん……?」


 リンカは聞いた。


「ああそうだよ! お前にぶっ飛ばされた熊だ! あ~恐ろし」


「あの時はごめんね。あなたが人を襲おうとしてから仕方なく……」


 リンカが言った。


「じゃあ、やっぱり熊さんが悪いんじゃん」


「だっておいしそうだったんだもん! あいつ、嫌い」


 熊は言った。


「ねえ、お姉ちゃん。剣を奪いに行くんでしょ? アランを生き返らせることって本当にできるの?」


 ビビエルがニーナに聞いた。


「ああできるさ。この俺が居ればな」


 熊はビビエルの元に近づいて言った。


「や、やっぱり熊だ、熊がしゃべってる……」


 ビビエルは熊を近くで見て驚いた。


「だから熊じゃない、悪魔だ!!」


「後のことは大丈夫。とりあえず今は剣を奪う事を考える」


「その剣って今どこにあるかわかってるの?」


 ミルが聞いた。


「うん。オーブのエネルギーを沢山浴びてるはずだからその痕跡を追ったんだけど、どうも城の中にあるみたいなんだよね。それも王の間に」


 ビビエルが答えた


「王の間……」


「普通王が居る部屋は侵入が難しいように城も設計されているはず。簡単には突破できない」


「なあに。この俺が居るんだ。一瞬でかっぱらって来てやるよ! クマックマックマッ!」


 熊はビビエルを思い切り叩いて突き飛ばしてしまう。


「おっと悪い。やりすぎた」


「ていうかこの熊何~!?」


 ビビエルが叫んだ。


「悪魔だって言ってるだろう!!」


「気にしないで。しばらく手伝ってくれることになった」


 ニーナが答えた


「バカヤロッ! 少しは気にしろ!! 熊にだって心はあるぞ!」


「今日は城でみんな宴をやってるみたいだから、狙い目は明日の朝だね」


「分かった。じゃあ明日の朝出発する」


「わ、私も行きたい」


 ミルはそう言ったがニーナは首を横に振った。


「だめ。危険すぎる。あなたはここに居てリンカの事を見ていてほしい。万が一の可能性があるから」


 ミルは悲しそうに俯いた。


「それに、あなたのお陰でアランを生き返らせる希望が見えてきた。凄く感謝してる。ありがとう」


 ニーナはミルの手を取って言うと、ミルは笑顔になった。


「分かった。じゃあリンカちゃんは私に任せて」


 ミルが言った。

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