第59話 ブラックウォール城に到着! 王様に会いた〜い!
「え〜!? お城〜? はやく行こう行こう〜!」
ミルはノリノリで歩き出した。
「ちょ、ちょっとまってよ〜!」
そんなミルをリンカが追いかける。
「だいたいアランはそんなのどこで見つけてきたの?」
ビビエルがアランに聞いた。
「これか?」
アランがエレメンタルジェムを取り出した。
「色々伝をあたって探したんだが、最終的にはミルの母親のところにあった。娘を助けるためだって言ったら譲ってくれたよ」
「ちゃんと返すんでしょうね〜?」
ビビエルが疑いの目でアランを見た。
「くれるって言ったんだから僕のものだ。お互い合意なんだからいいだろ?」
「そうやっていつもすぐ自分のものにするんだから」
ビビエルは呆れるように言った。
「アラン」
ニーナが言った。
「なんだ?」
「どうして来てくれた?」
「君のことを嫌っていた僕がどうして助けたかって? 答えは簡単だ。約束しただろう?」
「約束……」
「なんだ忘れたのか〜? これだから凡人は……」
「あんたも凡人でしょうが!」
「違うね。僕は魔術師だ。君たちとは一緒にしないで欲しい」
「は〜? なんでいっつもそう偉そうなのかな〜」
ビビエルがアランに文句を言う中、ニーナがアランの服を掴んだ。
「約束……ちゃんと覚えてるから」
ニーナはアランの目をしっかり見て言った。
「あ、ああ。そう。それならよかった」
いつもと違うニーナの様子にアランは若干戸惑った様子を見せた。
ビビエルはその様子をニヤニヤしながら横で見ていた。
だが、そんな時突然悲鳴が上がった。
「リンカちゃん!!」
ミルが倒れたリンカを抱えて叫んでいる。
アラン達が駆け寄ると、リンカは腕から血を流していた。
「だ、大丈夫。ちょっと腕を怪我しただけだから……」
リンカはそう言うが、辺りを見回しても怪我をするような原因が見当たらない。
「これは明らかに刃物で切られてる。誰かの仕業」
ニーナが言った。
「誰かって、誰もいないじゃん!」
ビビエルが言ったが、アランは何かの気配を感じていた。
「いいや……。何かいるぞ……」
皆は息を殺してその気配を読み取った。
「うああああっ!!」
今度はアランが声をあげて血を流した。
「アラン!!」
何かが起きているが、その場に居る誰も何が起きているのか分からなかった。
だがニーナだけは何かを知っているようだった。
「まさか……ソウルハンター」
ニーナが呟いた。
「ソウルハンターだと!?」
アランが言った。
「そう。サイファーの右腕、剣を持った殺人鬼。誰にもその姿は見えない」
「見えないって、どうやって倒すの!?」
ビビエルが言った。
その気配は再び彼らにゆっくりと近づいてくる。
「このままだと、僕達全員殺されるぞ」
アランが言った。
「でも、見えないんだったらどうしようもないよ。アラン! 魔法の道具か何かないの!?」
「僕は便利ロボットじゃないぞ! ただ……1つだけある!」
アランは黒くて小さな玉を取り出して見せた。
「何それ?」
「これを使えるのは1回きりなんだけどな。もったいないが……しょうがない」
アランはそう言って玉を投げた。
その黒い玉はまるで周りの光を吸い取るようにしてみるみるうちに大きくなっていく。
「な、何これ!?」
「これは光を吸い取る玉だ。僕たちを闇に包んで隠してくれる」
アランが説明している間にも玉は大きくなり、彼らを包み込んだ。
しばらくしてその闇が消えた時、彼らの姿はもうそこにはなかった。
彼らを逃してしまい、アダムは姿を現した。
「逃したか……」
彼はそう呟いて学園の中に戻っていくと、落ちていたリリィのステッキを拾い上げた。
しばらくそのステッキを眺めていると、突然後ろから来た男に奪われた。
そこに居たのはサイファーだった。
その後ろにはエリオも着いてきていた。
「リリィが死んだ」
アダムが呟いた。
「ああ。そんなこと見ればわかる……」
サイファーはそう言いながらも怒りに震えていた。
「お兄様……」
エリオはそんなサイファーを心配そうに見つめる。
サイファーはしばらくの間、ただステッキを眺めていたが、突然呟いた。
「くそ……。くそっ……。くそがあああああああああああああ!!!!」
サイファーは叫びながら目の前にあった建物を破壊してしまった。
「木崎リンカァ……。あいつだけは、あいつだけは絶対に殺してやる……。いいや、それだけでは済まさない……。地獄の果てまで追い落としてやるよ……」
そんなサイファーをエリオは複雑そうな表情で見つめていた。
「アダム、エリオ。着いて来い。次の段階に入るぞ」
サイファーはそう言って2人を連れてどこかへと向かっていった。
◇
「ほあ~、すっごいお城だね」
ミルが城を見上げながら言った。
彼らはソウルハンターから逃げ出した後、無事に城に到着していた。
「でも、どうやって中に入るんですかね?」
リンカがそんなことを言っていると、警備をしていた男が彼らに近づいてきた。
「お前達、何者だ」
警備員が聞いた。
「ニーナ・イェール。ここの王様に話がある。通して欲しい」
「はあ? 何言ってるんだ。そんな簡単に通せるわけないだろう? 約束のない人間は何人たりとも通すことはできない」
「いいじゃんかちょっとくらい! ケチだな〜」
ビビエルが文句を言う。
「どうしましょう……」
いくら言っても聞かない警備員に困っていると、そこにちょうど王子のトーマスが通りかかった。
「と、トーマス王子! お早いご帰宅で」
警備員がトーマスに挨拶をした。
「ちょっと嫌な予感がしてね、戻ったんですが。正解だったみたいですね。みなさんお揃いでどうしたんですか?」
トーマスがニーナ達に言った。
「サイファーがこの城にやってくる。だから王様と話をさせて欲しい」
ニーナが言った。
「はあ。サイファーですか。あの悪ガキですね。噂には聞いてますよ。学園を乗っ取られたんですってね」
「学園の皆が彼に洗脳されて操られてる。だから今すぐになんとかしないと」
「はっはっは。そんなガキ共。私達の敵だと思いますか? 見てくださいよこのでっかいお城! ああ、今日も美しい」
トーマスは城を見上げて言った。
「サイファーを甘く見ない方がいい。彼はあなたが思っている以上に強い」
「チッチッチ。いいですか? あなたよりも私の方が彼に詳しいんですから黙っててください。元々は私は彼と一緒に住んでいたんですよ? 私に言わせればあんな奴、ただの悪ガキですよ」
「いいから王様と話させて」
「いいえ。ここは通せませんね。どうしても通して欲しいというのならば、土下座の1つでもしたらどうですか?」
「元々は君がアーミーに遺体を受け渡すようなことしなければこんなことにはならなかったんだぞ?」
アランが言った。
「なんですか? 私のせいにするんですか? 今すぐあなたたちを追い返してもいいんですよ? さあどうするんですか? 土下座、するんですか?」
「私は……」
ニーナが膝をついた。
「おいやめろ」
アランが言った。
「土下座くらいで問題が解決するなら私はする」
ニーナはそう言ったがアランは彼女を止めた。
「あら、結局できないんですね。そのしょうもないプライドを恨むといいです」
トーマスはそう言って城の中に戻って行こうとした。
だが、何かに引っかかった。
「えっ!」
トーマスはその何かに両手を縛られて空中に吊るされてしまった。
「調子に乗るなよ? 僕は君のことを簡単に殺せるぞ?」
アランが言った。トーマスを縛り上げたのはアランの持っているエレメンタルジェムの力だった。s
「ちょ、ちょっと! アラン止めて!」
ビビエルが言ったがアランはやめない。
「こ、こんなことをして! どうなるかわかってるんですか!? 私は王子ですよ!?」
「けっ。王子だろうがなんだろうが、この城もどうせいずれはサイファーに乗っ取られるさ。いま生きてるだけで感謝するんだな」
「な、なんだと!?」
「ほら、僕達を快く通すか、ここで痛い思いをするか、どっちがいいんだ?」
アランはそう言いながらトーマスを縛り上げた。
「痛い痛い痛いっ!! わ、わかりましたわかりました! 通しますから!! 離してください!!」
ついに今日でストックがなくなってしまいました。大ピンチです。
ポワンポワンポワンポワン(サイレン)




